第5話「開幕」
3月9日、スーパーフォーミュラ開幕戦、予選日。
朝から各チーム調整を行っていた。
パドックに1台の車が入ってくる。
その車から、チーム代表、田邊、松下の3人が降りてきた。
3人で戦略などを話し合いながらピットへと入っていった。
「今日の予選、どのくらいで終わりたい?」代表に聞かれる。
「そうですね…予選Q2進めたらいいですかね。」
「じゃあ、トップ10狙わないとな。日本トップクラスのレースだ。容易ではないぞ?」
「大丈夫です。やるべきことをやれば結果はついてきますから。」
予選10分前
2人ともマシンに乗り込む。
『松下、今日は好きなタイミングで行っていい。特にどっちが優先とかはない。』
「了解です。」
目の前のモニターにはセッションの残り時間や順位表が表示されている。
その時計が動き出す。予選開始だ。
「行きます。お願いします。」無線で伝える。
メカニックたちがモニターを片付け、マシンをガレージ前でピットレーンに斜めに向くように止める。
レーシングカーの舵角(ハンドルが切れる角度)はとても狭く、あまり小回りがききにくいからだ。
目の前のメカニックが他のマシンが来ないか確認し、GOサインを出す。
それを確認し、ピットを離れる。
1回目の計測が始まる。
着実に、丁寧に一つずつコーナーをクリアしていく。
コントロールラインを通過。
『3位、3位だ、このままもう一回計測して。』
少しずつコースインしてくるマシンが増えてくる。
そのマシンたちをひらひら追い抜いていく。
この追い抜きも楽しい。
ステアリングのモニターに表示される情報を確認する。
「タイムもまずまずだな。」
『計測は終了。一旦ピットに戻ってきてくれ。』
ピットイン。
ガレージイン。
『とりあえず、周りのタイムが出揃った中であのタイムだ。もうこのあとは計測しなくていいだろう。』
「分かりました。タイヤの温存も必要ですからね。」
『タイヤを使いすぎると決勝で使える新品タイヤが減ってしまうからな。』
次に予選Q2(2回目)が始まる。
ここでは予選1回目(Q1)でグループ分けされていた上位のマシンたちが一同に会する。
結果、田邊は4位、松下は9位で予選を終えた。
「すごいな、松下、有言実行じゃないか」
斉藤代表も笑顔になる。
「やる時はやってみせますよ。」自信満々に答える。
「よーし、じゃあ明日は優勝目指すか!」
「え〜…それはちょっと厳しいかと…」
「なーんてな。とりあえず、明日はスタートを成功させることと、完走することを考えろ。」
「分かりました。」




