表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

シトラスの香り

作者: 各務 史

某ラジオ番組に投稿しましたが、採用ならずでした。

高校生の部活終わりが舞台です。

放課後の学校、部活終わり

顧問:・・・以上が今回のレギュラー。それから、補欠として・・・

アキ:(うそ、レギュラーどころか、補欠にも入ってない。)

菜々美:なんか、ごめん、アキ。アキだって頑張ってたのに…

アキ:ダイジョブ、ダイジョブ。下手なのが悪いよ。次回頑張る。

   それより菜々美、レギュラー入りおめでとう!

   奈々美が選ばれて、私嬉しいよ。良かったね。

菜々美:ありがとう。アキの分まで頑張るからね。

アキ:うん、ガンバレ!


下校

アキ:あ、ごめん。忘れ物した。取ってくるから、先に帰ってて。

アキ、一人踵を返して、学校へ戻る


校庭にある水道場

アキ、タオルで口を押さえながら号泣

アキ:う、う、うぅ…。練習は裏切らないなんて、ウソじゃん!

   私、誰より練習したのに。なんで、上手くなんないの!?

3年生男子:これでも囓って元気出せよ。

アキ、ぎょっとして顔を上げる

アキ:誰っ!? あ、3年生の先輩…? 

3年男子、レモンを差し出す

アキ:あの。貰う理由ないですから!

先輩:大丈夫だよ、国産レモンで、無農薬。丸ごと齧っても、腹壊したりしねぇから。

アキ:や、そう言う問題じゃなく。

先輩:ま、いいから、いいから。齧ってみな。甘いから。

アキ:そんな、レモンが甘いわけ… 甘い…

先輩:だろ?レモンてな、究極まで疲れると甘く感じるんだよ。知らなかったろ?

二人、レモンを囓る

先輩:メンバー落ち、残念だったな。

アキ:何で知っ…

先輩:何で知ってるかって言うと、ずっと見てたんだよ。好みの子だなーって。

アキ:え…

先輩:大抵どこのクラブにもいるんだよね。俺好みの子って。

   俺さ、ドンくさいのに頑張るやつって好きなんだよ。いるだろ?どこのクラブにも。

   報われないことのほうが多いのに無駄な努力するやつ。

アキ:ムダって!!

先輩:レモンが甘く感じるほど頑張るやつってさ、応援したくなるんだよな。

   俺が前にそうだったから。こう見えても、俺、サッカー部なんだ。

   もっとも、怪我してからサッカーはもう出来ないんだけどな。

   だから、今度は、がむしゃらにやってるやつを応援してやろうって決めたんだ。

   で、出来ないくせにサッカー部に残ってる。

アキ:そう…なんですね

先輩:さっき、どのクラブにも好みの子がいるなんて言ったけど、

   実は、女の子を応援するのは、これが初めてなんだ。

アキ:え? えぇっ!?

先輩:お前さ、諦めんなよ!諦めなければ、メンバーに残れなくても、

   自分の中には、絶対何か残るからさ。

先輩、夕焼けを背に笑いかける

アキ:(やばい。立ちこめるレモンの香りの魔法で、私、恋に落ちたかも…)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
爽やかなレモンの香りの魔法にかかって、これは恋に落ちますね〜 特に「実は、女の子を応援するのは、初めてなんだ」が印象的です。 某ラジオパーソナリティさんの「青春っ!」が聞こえてきそうです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ