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3、乙女の祈り


『出来た』と言ってたけど、動いてるようにないし、何も変化しないけど?

じっと見つめてしまった。


不思議だと顔に出ていたのだろう。

笑いながら、解説に入ってくれた。私に理解できるかしら。


「コレ単体では動かないよ。心臓部といえば心臓部だ。コレは、」


「カイッ! すまないが奥の荷物を片付けてくれないか。中途半端になってて。頼むよ」


神父さんの声で彼の言葉が途切れた。礼拝堂の方から聞こえる。

さっき誰かが訪ねて来たようで、教会の扉が叩かれた。その対応に向かったのだったが。


「分かったッ! すぐ終わらせるよ」

私に向かって『静かに』と唇に人差し指を当て、神父さんに向かって声を張った。

膝の上の機械を素早く包み、小振りの手提げトランクに入れる。どういった仕掛けなんだろう。さっきの小箱といい、空間と物が合わない。


私の手を引いて勝手口に向かおうとして立ち止まる。

私にも分かる。外に気配がある。


私が出て行けば、全て終わる気がする。

手を解こうとすると固く掴まれた。痛い。

彼を見ると首を横に振ってる。

でも…。


彼の手を解こうと手を重ねる。

引き寄せられて、抱きしめられた。温もりにホッとしてしまう。

どこにもやらないと言われてるようだ。


あっ!

テーブルの隅にある包みを思い出した。

『いい事を思いついたわ』そっと囁いた。

腕が緩んだ。

手早く引き寄せて秘密道具を取り出す。

これを被れば…。


彼はコレが何なのか知ってるようだった。


手を引かれて、隣の小部屋へ。神父さんの私室のようだ。箱がいくつか積んであった。本当に荷物はあった。その影に入ると布を被った。


「荷物なんてどこにあるんだ?」


ドヤドヤと人が何人か入ってくる音がする。

勝手口が開き、外にいた人と口論になっている。私を逃したかとかだろうか。


「ここにありますよ。カイは何処かなぁ? 大勢入って来てびっくりして隠れちゃった? 大丈夫だよ?」

私をぎゅっと『安心して』と抱きしめ、布から出て行った。


「ここにいるよ。隙間に…コレが……取れたッ」

「そんなところにいたのかい」

「荷物を運んでたら、隙間にコレを挟んでしまって…」

紗の向こうで私が忘れてたと思ってた布を彼が振ってる。

私が居る箱の影を覗き込んでくる人が…。


「あちらでお茶でも、さっきまでカイの友人も一緒だったんで散らかってますが」

神父さんが訪問者達を誘導しようとしてる。


「俺たちが散らかしたみたいに言わないでくれよ。元々だろ?」

戯けた声で賑やかしてる。

「神父としての尊厳に関係してくるから、いい加減な事を言わないでくれよ」

二人は笑ってる。訪問者もその様子に当惑しながらも部屋から出て行った。


「神子さま? ここに? 神子さまは王都でしょ?」

向こうで神父さんがお茶を準備しながら話してる。


私が城外に出たとしたら、向かうのはここしかないと思われてる。ここしか私は知らないんだから仕方がないけど…。


遠くで男達の声を聞きながら、彼の残して行った鞄を抱えてる内に、その鞄に凭れて眠ってしまった。




「さぁあ、行こう!」

眠い目を擦りながらついて行く。

勝手口を抜けて納屋へ。その影へ手を伸ばして、空間を掴む。

『隠匿の布』が剥がれる。


空間に出現した物体に目を奪われる。


でっぷりとした厚さと丸みのある楕円の板のような物にポールが3本それを繋ぐ様にコレまた輪を描いて手摺りのような物がついてる。

その輪の一部を開いて乗り込むと私に手を差し伸べた。

乗り物?


「ごめん、コレまだ試作機なんだ。大丈夫。ちょっと出力が不安定になる事があるけど……大丈夫ッ」


不安で彼にひっついて立ってる。

「急ぐからコレで、敵地に行こう」


「え? 敵地?」


「あの塔。コレを設置しに」

ふわぁんと浮いた。


神父さんが勝手口から現れた。

「行くんですね。あの人たちは神子さまのお母さんの里へ向かった。応援も呼ぶとか。ここからずっと遠い。人手は裂けたんじゃないかな」


手を振る神父さんが眼下に小さくなる。


飛んでる。


「コレは、『星の神子』に成る物です。始まりは乙女の『守りたい想い』が一人の天才を動かし、『星の神子』を作り出してしまった。人がその力を持ち、その力を増幅させる力を存在させてしまった。その天才は力を持つ血族にその荷を負わせる物を創ってしまった。彼は、自責の念に駆られ研究にのめり込んだ。そして、賛同した者たちが集まり、出来たのがコレなんです」


足元のトランクの中にアレがある。


「コレを増幅器の塔に仕掛け、祈りの力を込めれば、彗星の欠片を撃ち落とす装置が完成する」


「彗星の欠片?」


「君には見えるんだろ? あの空で流れる光の軌跡が」


彼が指を指す方を見上げた。


遥か、ずっと遥か上空に大きな塊が見える。そこから溢れるカケラ達。

降ってくる。

流れ星になる。


「あの塊は落ちて来るんですか?」


「落ちはしない。落とさない方法を模索してる。最終目標はあれとの軌道交差を問題なく行なう事。それもあと少しかかる。もう一息なんだが、俺ひとりなんでね。今は並走しながら降り注ぐカケラをやり過ごす事にしたんだ。運悪くこの国がカケラが降り注ぐ地点だったんだ」


「星と星の話?」


「そうなるかな? どうかした?」


「話が大き過ぎて、想像出来ない…。私はここで暮らす人たちを守りたいと思うだけだもの」


「始まりの『星の神子』も故郷を守りたい。風景を残したいという想いだったらしいよ」


何代も続いた神子たちの事。あの古びた本の事。途方もない時間の流れを想った。

これからも続くであろう膨大な時間を想う。


「見えて来た。これも見えにくくなってるはず。あの布と同じ作用起こしてるけど、あそこまでの精度はないんだ。ーーーー塔の……あった。あそこに内部に入れる通路の扉があるんだ」


前から謎の出っ張りがあるなぁとは思っていたが、そこに着陸する事になるとは。


神子の部屋の隠し扉と同じ感じで通路への扉のスイッチを押した。

内部は暗かったが、一歩踏み込めば柔らかい光が次々と点って行く。

後ろは閉じたが、前は開かれている。


手提げトランクを片手に私の手を取って、彼は進んだ。

壁の向こうで微かに物音がする。

部屋や廊下の隙間が通路になってるようだ。


扉に行き着いた。


「ここだ。ちょっと目眩が起きるかも。俺の手をしっかり掴んで」


指と指を絡めてしっかり握った。


『血』と『知』が出会い、創造された物がこの奥に。




終わらなかった( ̄▽ ̄;)

いつ投稿できるか分からないので、ここまでで投稿しました。


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