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ロストデウス〜神去りし地にて〜  作者: 北乃ロバ
第2章 金の魔導士
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第12話 坑道調査

 翌日、マゼンダを伴った俺達はフィノ山の坑道へと向かうべく、神都アディトの奥へフィノ山の方を目指して歩いていく。やがて巨大な塀と石門が現れ、坑道へと続く道を塞いでいた。

「普通なら、日中はこの門も開けっ放しなんですけど。」

 呟いたマゼンダの視線の先には美麗な細工が施された石門がピッタリと閉じており、二人の門番が槍を持って警備にあたっている。


「ここから先の立ち入りは現在禁止されている。今すぐ立ち去れ!」

 そのうちの一人が俺達を見るなり声を上げる。

「俺達は国王陛下の依頼を請けて坑道調査にきたハンターだ。通してくれ。」

 言いながらハンターズで貰ってきた受注票を彼らに見せると、彼らは念入りに確認し始めた。

「た、確かに正式に依頼を請けたパーティーみたいだな。『暁の明星』か。聞いた事が無いが神都の者ではないのか。」

「ああ。ファリーナから来た。それで、通っても?」

「それは構わないのだが・・・。そちらのお嬢さんとあっちのメイドを引き連れた赤いローブの女性もパーティーメンバーなのか?というか、何故メイド服??」


 門番は視線をマゼンダの方とトリス、エリの方に向けながら尋ねてくる。普通の町娘といった出立ちのマゼンダと、メイドを引き連れたトリスについて疑問に思うのは当然だろう。誰だって尋ねるし、もし俺が門番でも尋ねる。

「マゼンダの方は坑道の入り口まで案内してもらうだけだ。赤いローブとメイドの2人はパーティーメンバーなんだが、まあ、メイド服については気にしないでくれ。」

 なぜメイド服かなんて俺も知らないしな。そんな俺の後ろでは

「エリ。物凄く細かい彫刻がされてて綺麗な門だわ。」

「そうですね。ですが、お嬢様。観光が目的ではないのでは?」

「はっ!そうだったわ!」

 なんて主従2人が暢気な会話をしている。そう。結局トリスは俺の提案を受け入れて、ハンター登録を済ませたその足で『暁の明星』に一時的ではあるが加入していたのだ。


 俺は戦力が得られて嬉しい、トリスは本来請けれない依頼について行けて嬉しい、お互いに利益のある話のはずなんだが、能天気な姿を見ると不安を覚えるな。

「これを見るとやっぱり我が国の教育は間違ってると思うわね。人族以外の人種が劣等種だなんて。」

「そうですね。お嬢様。」

 薄々他国人では?と感じてはいたが、トリス達はセプトアストルム帝国の人種だよな、これ。人族以外の人種を劣等種よばわりして教育を施す国なんて、唯一の人族至上主義の国であるセプトアストルム帝国くらいだろうし。

 一瞬、帝国のスパイかとも思ったが、俺はその考えをすぐに否定する。仮にトリスがスパイならこんな目立つ行動や迂闊な言動はしないだろう。それに見ず知らずのマゼンダの事を心配して依頼を請けようとする優しさもあるし、トリスについては悪い娘には思えないんだよな。メイド(エリ)はよく分からないが。


 石門をくぐって更にフィノ山の方へ歩いて行くと直ぐに山の中腹に巨大な穴が空いてるのが見えてくる。その穴の中に入ると、様々な場所に幅200メル、高さ300メル程の穴が斜め下に向かって掘られているのが分かった。

「あの穴の一つ一つが過去に採掘されていた坑道になります。鉱石が採れなくなったのではなく、坑道自体が長くなり過ぎて、廃棄された物がほとんどらしいです。」

 マゼンダが解説をしながら、案内の為に先頭を歩いて行く。しばらく歩いて一つの坑道の前で立ち止まる。

「ここが、今掘り進めている坑道になります。何回か父に着いて行った事があるから、知ってるんです。」

 そう言うとマゼンダは首にかけていたペンダントを外し、俺に手は渡してくる。見事な銀細工の縁に青色の魔石が収まっている。


「これは?」

「私が作った物です。安全を願って父にも同じデザインのペンダントを贈っています。私のと違って魔石は黄色ですけど。父はそれを肌身離さず身に付けているので、見本に持っていってください。」

「分かった。・・・大切に預からせてもらう。」

「昨日も言いましたが、私の父は『鋼の心』の皆さんを案内する為に一緒に坑道に入って行きました。ハンターでも何でもない父が無事な可能性は低いかもしれません。ですが、私はそれでも諦めきれないのです。どうかよろしくお願いします。」

 そう言ってマゼンダは深々とお辞儀をした。

「出来る限りのことはする。任せてくれ。」

 返事をしつつ、俺は受け取ったペンダントを懐にしまいながら後ろを振り向く。


 ミクは切れ長の目を更に細め、右手で刀の柄を撫でながら坑道の奥を見つめていた。クロは腕を組み目を一言も喋らずにつぶっている。

 トリスは大きな赤い魔石を先端にあしらった杖を両手で握り、坑道の方を見つめるその顔は不安そうな表情を見せている。

 エリはトリスの背後でいつもと変わらずに静かに佇んでいるが、その両手にはゴツいトゲトゲがついた金属製の手甲を装備しておりメイド服との対比でかなりの違和感を醸し出していた。・・・あんな物で頭を殴られてたらあっさり中身が飛び出そうだな。

「じゃあ、いくぞ!」

 こうして俺の号令の下に、俺達『暁の明星』は様々な困難が待ち受ける坑道へと足を踏み入れていった。


 元々鉱石を掘り出す為に山に穴を開けて作られた道なだけあって、坑道内は明かりを灯す設備がそこら中に点在している。進路上にある魔石を燃料にした照明器具をつけていくと、坑道内は人工的な白い光に照らされていった。

 先頭を歩くのは斥候役のクロ、次に俺、トリス、エリ、殿がミクといった順番で隊列を組み、警戒をしつつ坑道を進んでいる。因みに坑道調査にあたって、アウグスト王から極秘の坑道の地図を預かっているのだが、クロは少し読み込むだけで内容を全部覚えてしまったので、地図は一応このパーティーのリーダーである俺が持っていた。


 坑道を20分程歩いたところで、何の構造物も無い半球状のだだっ広い空間に辿り着いた。地図にある第一野営地跡地だろう。フィノ山の坑道はある程度掘り進めた所で大きな空間を作り、宿舎や食堂、売店、酒場などの小さな街とも言える野営地を作り上げてから周囲の採掘を本格的に行うらしい。

 そうして周囲の鉱物を粗方掘り尽くしたら、また離れた所に野営地を築いていく事を繰り返して行くんだとか。それを10年程のスパンで繰り返して行く為、掘り始めて40年程度経っているこの坑道には3つの野営地跡地と1つの野営地が存在していた。で、今はその1番最初に作られた第一野営地跡地に来てるわけだが・・・


「ノール。幾つか地図に無い通路が出来ている。」

 地図を頭に叩き込んでいるクロがそう伝えてくる。そうなのだ。クロの視線の先には俺の手元にある地図には存在していない通路が出来ていたのだ。野営地跡地は基本的に後から手が加えられる事がないらしいので、異常事態と言っていいだろう。

「俺はあの通路を少し調べてくる。ノール達はしばらくここで待っててくれ。」

 そう言うが早いか、黒い革鎧を着込んだクロは未知の通路の闇に消えていった。


 クロが通路に消えてから5分程経った頃。視界の端に映っていた第二野営地跡地の方へと向かう通路の方で人影が動いた様に見えた。もしかして生存者か?

「ノール。あっちの方で人影が見えたわ。確認しに行くわよ!」

 トリスも同じものを見たらしい。件の通路の方へズンズン進んで行く。

「ちょっと待て!何があるか分からないんだから1人で行くな!」

 慌てて後を追いかける俺。ミクとエリも小走りでついてくる。そうして通路に少し入ったところ。通路内の照明器具は点いてはいるものの、老朽化しているのか、その光は今まで見たものより弱々しく、ジリジリと音を立てて時折明滅していた。

 先程の人影はその照明器具の下で何故かこちらに背を向けて突っ立っている。身長は140メルほど。ぼさぼさの黒髪に薄茶色の作業着を着込んでいることから、帰ってきていない小人族の鉱夫の1人と思われた。


「アタシ達は坑道調査を依頼されて来たハンターよ。そこのアナタ。見たところ鉱夫のようだけど、なぜ今まで帰ってきてなかったの?それに他の人種は?」

 矢継ぎ早に質問するトリスに、その小人族はゆらゆらと身体を揺らすだけで、何の反応も示さない。・・・何か様子がおかしくないか?

「ちょっと、アンタ!こっちを見なさいよ!!」

 痺れを切らしたトリスが肩を掴んで振り向かせる。振り向かせた直後はちょうど照明が消えて見えなかったが、直ぐに明るくなってその顔がよく見えるようになった瞬間

「きゃああああぁ!」

 トリスが甲高い悲鳴をあげて後退る。何故ならば、人種の顔と認識するのが難しいほどに顔の皮がずり落ち皮膚下の筋繊維が露出し、眼球が飛び出ているような正に化け物(アンデッド)と呼べるような状態だったのだから。至近距離で見たのなら、慣れていなければトリスの様になっても仕方ないだろう。


「近寄るんじゃないわよ!『フレイムランス』!」

 化け物がその乱杭歯でトリスに噛みつこうと近寄る前にトリスの魔法が発動し、20本以上の豪炎を纏った槍がトリスの周囲に展開された。

 ・・・なんか、数多くないか?見る限りこの間のフレイムスネークよりも込められている魔力量は遥かに多いし。

「いっけぇー!」

 トリスの掛け声に合わせて、フレイムランスは()()()()()()()()一斉に射出される。


 一本のフレイムランスが化け物を貫き、一瞬で消し炭に変えているのが見えたが、トリスの後ろに居た俺の方にも複数のフレイムランスが向かってくる。

 ウーツ鋼製のロングソードでウェポンブレイクを発動しながら、俺は迫り来るフレイムランスを後ろに逸らさないように必死に弾き飛ばしていく。

 ミクはともかくとして、クロやエリにフレイムランスの対応が出来るかどうか分からなかったからだ。フレイムスネークのように叩き斬らないで弾いているのは、単純に込められた魔力量が前とは違いすぎて斬る事ができないためである。

 その結果、俺の後ろにフレイムランスを逸らす事は無かったのだが・・・


 かなりの数のフレイムランスが俺の後ろ側の天井に突き刺さり、それが引き金となって天井が崩落し始める。目の前を見れば魔力を使い果たしたのか、トリスが気を失って倒れ込んでいた。

「ミク!通路から出ろ!」

 トリスを抱えて通路の奥へと進むと同時に俺が叫んだ時、大量の土砂が流れ込み、抱えたトリスごと俺を流したところで俺の意識は途切れてしまった。

 アクセス数が上がっているのを見て、誰かが読んでくれているのが分かると創作意欲がわいてきますね。

 最近執筆が捗っていなかったんですけど、何とかなりそうです。

 もしブックマークや評価を頂けるなら、もっともっとやる気は出ますけど、まあ、もっと頑張って面白い話を書けって事ですよね(笑)

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