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ロストデウス〜神去りし地にて〜  作者: 北乃ロバ
第1章 銀の少女
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第9話 或るハンターズ職員の呟き

 私の名前はコリンズ。ハンターズファリーナ支部の副支部長を拝命しています。

 そして、私の上司はリコ・キサラギ。世界に名を轟かせるあの英雄です。500年前の魔王との戦争の功労者で、ハンターズの生ける伝説。

 100年前にハンターを引退する時は、もちろん最高ランクのオリハルコンランクでしたが、その実力は普通のオリハルコンランクを遥かに凌駕していたと言われている世界最強と謳われた人物。まあ、オリハルコンランク自体が普通とはかけ離れた存在ですが。


 ファリーナはリーベルタルス王国屈指の大都市ではあるものの、そのハンターズ支部長にリコ様が納まっているのは功績と比較すれば奇跡的なことだと思うのです。リコ様は何故かファリーナから動く事なく、支部長を続けていますが。

 ハンターであればほとんど全員が憧れの存在であるリコ様に私が初めて声をかけられたのは、所属していたミスリルランクパーティ『白銀の風』が解散した直後でした。


 『白銀の風』は派手さは無いものの堅実な仕事ぶりで知られており、土と水の魔法使いである私をリーダーに、前衛2人、後衛3人、人族の5人パーティだったのですが・・。私以外の4人は互いに結婚し、2組の夫婦となってハンターを引退したのです。


「リーダー。すまないがハンターを引退する事にしたんだ。」

 長年一緒に活動してきた仲間達の申出に、私は快く応じました。いや、応じるしかなかった!

 ハンターは危険な仕事です。私達は30代半ばを過ぎていたし安定を求める気持ちはよく分かります。

 だが。だが、しかし。私は声を大にして言いたいのです。

 この裏切り者め!と。

 私がせっせとパーティの為に書類仕事をしている間にイチャついていたかと思うと殺意が湧いてきます。


 ・・・おっと。私とした事が話が脱線を。

 そうして1人になって途方に暮れていた私に、リコ様は声をかけてくださったのです。

「やあ。君は『白銀の風』のコリンズ君だね。今回の解散は残念だったね。ところで我がファリーナ支部は今副支部長が空席になってるんだけど、君がなってみないかい?僕はコリンズ君の能力をかってるんだけど。」

 私はこの話にすぐに飛びつきました。憧れのリコ様に話しかけられて舞い上がったこと、そして、元々ハンターとしての能力に限界を感じていたことがその理由です。


 こうして、副支部長となった私は長年リコ様を支え続けています。リコ様は決して事務処理が出来ない方ではなく、むしろ処理速度は恐ろしく早いのですが、普段はあまりやる気がでないようなのです。

 私の事務処理能力を買って副支部長に誘っていただいたようなので、基本的に日々の書類仕事は私が引き受けていました。


 今から10年ほど前でしょうか。ファリーナ近郊の農村、スタイン村が異常発生した魔物の群れに襲われて壊滅したのは。

 ハンターズに魔物異常発生の急報が入り、リコ様は討伐隊の指揮を執り出立されました。魔物の群れは無事に倒し切ったものの、村の防衛は間に合わず、討伐隊はたった1人の生存者、当時8歳のノール少年を連れて帰還しました。


 リコ様は英雄と呼ばれているが、決して万人に優しい方ではありません。自分に関わりが無い人物にはむしろ冷たくすらあります。リコ様はいつも人をくったような飄々とした笑みを浮かべていますが、決して他人に心を許さず、深く関わる事は無いように思えるのです。

 ・・・関わって傷つくことをおそれているのではないでしょうか。耳長族は長命で、他の種族とは時の流れが違います。つまり、仲良くなってもその相手は先に死んでしまうのだから。

 そのリコ様が、です。何故かノール少年については過剰と思えるくらいに接していました。

 入院先の病院に毎日の様にお見舞いに行き、ついには孤児院に行くはずの彼を養育すると言って引き取ったのです。ノール少年を引き取る為にはどうしたらいいか相談を受けた時、私はアゴが外れるくらい驚いたものです。


 一夜にして両親を故郷ごと失うという壮絶な経験をしたせいか、当初ノール少年のくすんだ金髪から覗く鳶色の目はどこか仄暗い光を灯していました。

 しかし、弟子入りを志願したリコ様の激しい修行(リコ様的にはすごく優しいらしい)と、リコ様との生活で起こる様々な騒動に晒されて行く中で、彼は落ち込む暇がなくなったのか、生来の明るい気質を徐々に取り戻していきます。

 年々逞しく成長していくノール少年をハンターズ職員一同、温かい気持ちで見守っていたものです。


 ノール少年が14歳になった時、彼はハンターズに入会しハンターとなりました。それと同時にリコ様に内緒で、リコ様の屋敷を飛び出して自立をします。リコ様は物凄く寂しがりましたが、「独り立ちして、いつか師匠に認められる男になりたい!」とのノール少年の言葉に頬を染めて困惑しながら、最終的には独り立ちを渋々認めていました。

 ノール少年のセリフは単純に認めてほしいというもので恋心とは違う様な気がしますし、リコ様の方はほぼ家族として考えていた相手から告白めいた言葉を聞いて恥ずかしがっているだけの様に見えました。


 それから4年。ノール少年は18歳となり、身長は190メルを超え、若くしてシルバーランクになるなど、肉体的にも社会的にも立派に成長しました。

 その間、どうやらリコ様と会う事は一度も無かったらしく、リコ様は「僕は嫌われているのかな。」と度々愚痴をこぼされていました。それは無いと思うのですが。


 そんな中、ノール少年が異常種(アブノーマル)を二体倒したらしいという報告を聞いたリコ様は嬉々として彼を呼び出しました。希少な異常種(アブノーマル)が二体も出現したのは異常事態と言えますから、実際呼び出す大義名分としては十二分なものがあります。


 そうして支部長室で4年振りに会ったお二人でしたが・・・。リコ様は久しぶり過ぎて距離感がよく掴めない様子です。ノール少年が実力を見抜く目もない様な三流ハンター共の心無い暴言を気にしていたのは私も知っていましたが、おでこを突き合わせたり、手を握りしめたりするのはどうなのでしょうか。親代わり、師匠として見ても距離が近過ぎでしょう。


 対するノール少年の方は武技を覚えられないこと、それでリコ様まで悪しげに言われたことを思い悩んでいたのでしょう。

 リコ様の優しくも力強い言葉に安心した様な、救われた様な顔をしています。しかし、おでこを合わせられた時、手を握られた時、ノール少年も恥ずかしそうに顔を赤くしていました。

 リコ様は絶世の美女とも呼べる容姿をしていますから、無理もありませんが。


 お二人とも甘い空気を漂わせてはいるものの、師弟、親子としての親愛の情を超えるものでは無い様に見受けられます。まあ、今のところは、ですが。

 そんな微笑ましいお二人ですが、この様な場面を見せられると『白銀の風』が解散した時のことを思い出してしまいます。

 イライラして思わず「イチャつくなら他所でやってくださいよ。」と言ってしまうのは誰にも責められないでしょう。

 お二人とも耳を真っ赤にして聞こえないふりをする様子に私は胸が空く思いがしました。

 コリンズさん、最初はただのモブだったのに何故か語り出しました。


 どなたかにブックマーク登録をしていただいたようで、初めての評価ポイントがつきました。ありがたい話です。

 では、私の心象風景?は


 北乃ロバのやる気が上がった!

 北乃ロバは喜びの舞を踊っている。

 

 ドラクエ風に書くとこんな感じです。

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