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同じにおいの2人。

 すっかり温まって、体も揉み解されて、ポカポカフワフワ気持ちよくなって。

 なんとか濡れた下着を脱いで寝巻きに着替えた。


 それをまちかねたように、またレオが私をお姫様抱っこをしてベットまで連れていった。

 もはや私の思考はゼロ。抵抗する体力もなく、されるがままになっていた。


「さて、だいぶ疲れも取れたと思うけど、どうする?さっき出来なかった背中も揉む?それとも、寝落ちるまで話しでもする?」

「んー……」

「……ふ。もう寝そうだな。よしよし」


 と、濡れた私の髪を撫でた。

 そして、晒しを1枚持ってるくと、髪の毛を挟んでパンパンと軽く叩き、優しく吹き始めた。


「……」

「あー、ありがとう〜……。こんなに良くしてもらって、なにかお礼、しなくちゃ」

「お礼?そんなん要らねぇよ」

「そんな……わけには……」

「つか、コレが俺からのお礼なんだわ。だから、お礼のお礼って、変じゃね?」

「うーん、そうかも……」

「もういいから寝ちまえよ。明日もどっか行くんだろ」

「明日は……ちょっと遠い町のほうに……」

「じゃあますます寝なきゃな」

「うん……」

「……はぁ。束縛監禁男の心境が理解出来る俺ってヤバイよな」

「……ん?」

「なんでもねぇよ。おやすみ」


 と、ベットから立ち上がろうとしたレオのズボンを掴んでしまった。


「どうした?」

「もう少し……居て」

「イイよ。それでアンタがグッスリ眠れるなら」


 レオは優しい。

 その優しさにつけ込んだ、私の甘えにあっさり答えてくれる。

 甘えっぱなしはイカンなぁ。良くないなぁとは思うものの、思考力0の私はレオのズボンを離そうとしなかった。

 レオは私の背中をポン、ポンと優しくたたき、優しい笑顔で鼻歌混じりにご機嫌だ。

 心が暖かい、この幸せな時間があれば、私はきっと、永遠に幸せに生きていられる。

 そんなふうに思った。




翌朝。

 ご機嫌で台所に立つレオが


「おはよう、パティ!」


 と、さらにご機嫌に挨拶してきた。

 近くまで寄ってくると、クンクンと匂いを嗅ぎ


「へへ。同じ匂いだぜ」


 って上機嫌に笑ってた。


「あ、そうそう。護衛兵さんが、なんか手紙受け取ったって言ってたぞ。飯の準備しとくから、受け取ってこいよ」


 というので、手紙を受け取った。

 差出人は、妹だった。


「なになに?誰から?俺も見て平気なやつ?見ても文字読めないんだけど」


 なんて言いながら、食卓に朝ごはんを並べてる。


「うん。見ても良いよ。相手は私の妹」

「マジか!なんだって!?」


 と、机に両手をバンとのせて身を乗り出した。


「うん。要約するとね。久しぶりに会いたいって。レオの事も知ってるみたい。あなたにも会いたい、是非お越しくださいって書いてある」

「招待されたからには、行くよね。俺も」


 と、レオは目をキラキラと輝かせた。


「そんなに興味ある?」

「そりゃもちろん!パティの妹だろ?俺、会いたい!会ってみたい!」


 と大興奮だ。


「妹は私と違って美人で可愛いよ。気になる?」

「いや気になるけど、妹さん個人には興味ねぇなぁ」

「そうなの?」

「そうだろ?あくまでも『パティの妹』だから興味あんだよ」

「ふーん?」

「そんなことより早く飯食おうぜ!朝の果物は金ってバーちゃん言ってた。それと、ソーセージとスープだ。このソーセージ美味かったから、買ってきたんだ!」

「うふふ。食べるの楽しみ。いただきまーす」


 と、レオが用意してくれた朝ごはんをしっかり食べれたのは、昨日念入りに体を揉み解されて疲れが軽減しているからに違いない。

 お風呂っていいものだな。

 ……レオってば、すっかりスパダリだな。それとも家政夫かな?って、ソーセージを頬張りながら、チラリとレオを見た。



 食後。

 お茶を飲みながら地図を広げた。

 レオがあまりにも妹に会いたい会いたいというからだ。

 だから、今日は馬車での外出は止め、護衛兵たちにも休暇を取ってもらうことにした。


 妹は、私より6つ年下の19歳、名前は『エドルガルド』だ。

 適齢期を迎えるとともに、東国に近い領地を持つ侯爵家に降嫁して行った。

 盛大に行われた結婚式には私も参加したのだけど、妹のあまりの綺麗さに、言葉を失ったのをよく覚えている。

 もちろん、先に結婚した妹に『先を越された』とか『悔しい』という気持ちは一切ない。

 だって私は、自分で結婚しないと決めたのだから。

 それに、貴族の結婚がどういうものかよく知っている私たちは、それが義務であり、幸せなものでは無いとよく知っていた。

 そんな話をレオにも軽く伝えたのだが『好きでもねぇ相手と結婚出来るのは理解出来ん。もっとも、パティが他の野郎と結婚してたら、相手ぶっころす。んで強奪してたかもな』

 とのこと。

 なんで私じゃなくて、存在もしない架空の旦那様に愛を吐くのか、私も理解ができないよ、レオ……。と、半分呆れた。


「オーケー。方角は覚えたから、早速行こうぜ!」

「うーーん、普通は行きますよって、先に手紙を出すものだけれどね〜」

「まどろっこしい。いつでもおいてくださいって、書いてあったんだろ?」

「そうなんだけどね〜。いいのかなぁ」

「いいっしょいいっしょ。てか、手紙のやり取りしてたら何日掛かるんだよ。結構な距離あるんだろ?一応手紙出してもいいけど、結局追い抜くことになるぜ」

「そうだよね」

「それにさ、もう今日は護衛兵たちにも休み出しちゃったんだから、結局ココにいたら護衛兵たちにも迷惑かけるじゃん?」

「うっ。そうだね」

「じゃあ、行くしかないじゃん?」

「もう。レオには敵わないなぁ」

「そうと決まれば行動あるのみ!行こうぜ!」


 と、地図を片手に扉を開き、私の方を振り返って手を広げた。


「パティ!」


 って、嬉しそうに。

 ほんと、レオには敵わないや。

応援ありがとうございます!

今後もよろしくお願い致しますm(_ _)m

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