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第2話 蓮香の異世界転移

 蓮香は今ひとり茫然と立ち尽くしていた。

代々木公園で高位転移魔法陣の輝きに包まれ英美と二人で異世界テラへと

旅立ったはずが何故か英美(エイミー)の姿は辺りに見えず蓮香一人だけだった。

はじめはエイミーに置いて行かれたと思ったのだが周りを見渡してみると

ここはどう考えても自分達のいた代々木公園ではなく知らない森の中だった。

ここで転移する前にエイミーに言われた注意事項を思い出し試してみる事にした。


「ステータスオープン」


蓮香がステータス呪文を唱えると眼前に半透明なウインドウが表示された。



 カスミ・レンカ

 種族: 人族(渡界人)・女性 18

 職業: 聖なる魔法使い

 レベル1

 スキル: 聖四属性魔法(聖水・聖火・聖風・聖土) レベル1

  取得経験値2倍・異世界言語



「うそ・・・来たんだ異世界、チートぽい能力まであるし

 だったらどこに行ったのよエイミー!」


 蓮香改めレンカは異世界ショックから我にかえると早速エイミーに言われた

冒険の準備に取り掛かる。異世界で生き抜く為の注意事項であった。

まずはチェンジアイテムを使い冒険者装備に変身する。

皮鎧に身を包みフード付きローブを身に纏う。

そしてマジックバッグから言われた通りに腕輪を取り出し装着した。

エイミーが言うには身代わりの腕輪らしい。3回使えるそうだ。

どれもこれもエイミー謹製のチートな防具やアイテムなのだが

見た目は目立たないよう平凡に造ってあった。


「これでよしっ!でもほんとどこいるんだろうエイミーは

 何かトラブル起きたんだろうけど・・・きっと私の事探してるはず

 私も探すしきっと出会えるはず、自信ないけど頑張る」


 レンカは旅の準備を終え異世界での決意を新たにすると移動する前に

魔法を使ってみる事にした。

何と言っても異世界で魔法と言うこれ以上ないワクワク展開である。

エイミーから教えられた事だが異世界へ渡ると渡界人となりどんなスキルが

与えられるかは分からないが特異なスキルが得られるらしい。

そしてどんなスキルでもスキルに身を預ければ基本的な使い方が

何となく分かるのだそうだ。

レンカは聖四属性魔法の聖水魔法に身を預けてみる事にした。

すると頭に聖水球、聖水生成の2つの魔法が思い浮かび聖水球を強く意識する。

右手を前の小さめな樹木に向けて掲げると呪文を唱えた。


「聖水球」


手のひらの先に野球ボールくらいの光る水球が現れると樹木目掛けて

豪速球の如く飛んで行った。あとには聖水球の当たったところから

ポッキリ折れた樹木が残るだけだった。

しばらく魔法を使えたという感動に浸るとその後何回か試し撃ちをし

他の魔法の使い方も理解した。そしてやっとこの場所から移動する事にした。


 不安な気持ちにかられながらレンカは暫く森の中を歩くと気持ちを

落ち着かせる為にマジックバッグからタマゴサンドを取り出し食べた。

ペットボトルの水も飲んだ。お腹を満たし少し気持ちを落ち着かせると

何となく森の中の明るさの違いに気付いた。


「今何時だろう森の中じゃ全然分からないや、明るい内に何とか森から出たい」


レンカは明るい方向へ向かってみる事にした。

歩き続けるとようやく人が通った跡の小道みたいなものを見つけ

そこを明るい方へ向かって進んでみた。どれくらい歩いただろうか

やっと森が開けそうな場所が視界に入る。レンカの脚は自然と歩みが速くなる。

そして森を抜けた時そこにあったのは墓地だった。


「お墓?って事は街が近い、やっと人に会える・・・」


レンカは森を彷徨う緊張感から解放されたのも束の間の事で気付いてしまった。


「この墓地不気味過ぎる早くここから逃げないと」


 この墓地は100メートル四方の整地された土地に石版の碑銘の墓が

立ち並んでいたが最近まったく手入れがされていないかのように

荒れ果てた状況だった。

レンカが足早にここを立ち去ろうとした時、突如墓地に薄靄が立ち込め

墓の土が盛り上がり手を出し顔を出しそれは這い上がってくる。


「えっ!まさかゾンビ、こっち来んなー」


レンカは逃げようとしたが数十体のゾンビに囲まれてしまった。

何でゾンビ、異世界第1遭遇魔物はスライムとかゴブリンだよと

現実逃避しようともそこにいるのは臭い汚い触れたくないゾンビであった。


「何としても魔法を使って生き延びる、そしてエイミーに会うまで死ねない」


決意を奮い立たせたレンカは呪文を一番近くにいるゾンビに向けて唱える。


聖水球(ホーリーウォーターボール)


聖水球がゾンビに直撃するとゾンビは光に包まれ土に還った。


聖水球(ホーリーウォーターボール)


聖水球(ホーリーウォーターボール)


聖水球(ホーリーウォーターボール)


一体また一体と土に還っていくゾンビ共。

自分の魔法が効くと分かったレンカは聖水球を次から次へと撃っていくが

ゾンビを倒すより先に多くのゾンビがどんどん近付いて来る。


「ヤバいこれじゃ間に合わない何とかしないと・・・」


焦るレンカ迫るゾンビ、ここでふと思い付く。


「そうだ壁だ壁、壁さえあればゾンビを防げる」


聖火壁(ホーリーファイアウォール)


聖火壁(ホーリーファイアウォール)


聖火壁(ホーリーファイアウォール)


聖火壁(ホーリーファイアウォール)


レンカは四方に聖火壁を張り巡らした。

するとゾンビ達は脚を止め聖火壁越しに中を怨めしそうに覗いている。

墓地にはゾンビ達のうめき声だけが鳴り響いていた。


「とりあえず何とかなったけど、これだと終わんない」


焦りが募るレンカ。


「キモい臭い煩い視界に入れたくないこれ以上私の恐怖心を煽るな」


時間と共に追い詰めらたレンカはつい我を忘れて絶叫した。


「あんたらなんか大嫌い!消えろ失せろあっち行けぇー!」


すると突如として聖火壁が輝きを増し放射状に広がると

ゾンビ達をすべて飲み込んで消えた。

まさに魂の発露であった。火事場の馬鹿力とも言う。

レンカがスキルの教える基本のその先を垣間見た瞬間でもあった。


「何?私助かったの・・・」


呟きを残したレンカは意識を手放した。遠くから聞こえる足音に気付くことなく。

レンカのテラでの冒険が始まりました。いきなりエイミーとはぐれて一人旅。

でも異世界転移の王道展開ですね。

次回は「大河サハール」エイミーの冒険に戻ります。

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