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第1話 2000年振りのテラ

「ダダンダンダダン、ダダンダンダダン…」


 誰もいない静かな砂漠に突如雷光と共に現れた素っ裸の女は

お気に入りの映画音楽を口ずさんだ。

見た目には日本人の少女にしか見えないエイミー・ロンド・レンドノアは

地球での旅を終え2000年振りに故郷である剣と魔法の支配する異世界テラへと

帰還した。英美のテラでの名はエイミー・ロンド・レンドノアだった。


「ウフフフフ、絶対これやってみたかったのよね絶対!

 誰もいない砂漠だから完璧な仕上がり。

 映像メモリーに永久保存したことだし

 次は2000年振りのテラを冒険だよね」


と言いつつ空間魔法であるアイテムボックスから服を取り出すことなく

地球の技術を参考に開発したチェンジアイテムを使いセーラー服姿へと変身した

エイミーはまたまたSF映画を参考に造った相棒を呼び出す。


「魔像召喚、出でよ執事ロイド」


エイミーが呪文を唱えると召喚魔方陣が輝き50代のダンディーな雰囲気を纏う

タキシード姿のオジ様執事が現れた。


「これはこれはエイミーお嬢様、お呼びで御座いましょうか」


恭しく礼をしながら応えるオジ様執事。


「まぁね、これからさ2000年振りのテラを冒険するから

 旅のお供にロイドあなたを選んだわけ。

 昔とは色々変わってるだろうからよろしくね、ヨロシク!」


エイミーが笑顔いっぱいで応えると主人のテンションの高さにロイドは

「旅のお供喜んで勤めさせていただきます」と努めて冷静に返した。


「じゃーロイドに紹介するね友達の蓮香」と周りを見渡すがどこにも

蓮香の姿はなかった。ロイドも訝しげに主人を見ている。

少し焦ったエイミーだったが気を取り直すと今後の方針をロイドに話した。


「転移に成功したのは間違いないから、おそらく世界にある24の現界地点の

 どこかに蓮香はいるはず。世界を冒険しながら現界地点も回っていけば蓮香の

 情報もいずれは手に入るし運命は二人の再開をきっと望んでるはず、きっと。

 それに蓮香にはアイテムも渡してあるし、何より渡界人だから」


「私めも早く蓮香様にお会いしとうございますな」


 どこにいるとも知れない蓮香の事を思いながら

エイミーは周りを見渡し昔とは余りに違う環境変化に驚いていた。

二人はまずは今いる砂漠から北へ向かう事にした。

そこは2000年前に英雄の都と呼ばれた環海に面する都市ヒイロンのあった場所。

エイミーの目的はテラの現在の状況を把握するのに必要な衛星ドローンを

作るための材料を集めること。そしてヒイロン近くにある現界地点で友達探し

その為にヒイロンへ向かう事にしたのだ。


「今ヒイロンがどうなってるか分からないけどまずは行ってみて

 情報収集だよね。この場所だって昔は砂漠じゃなくて森林だったもの。

 昔ここには王国があったはずだけど今は見渡す限り砂だよ、砂。

 ここから北に進めば母なる大河サハールが見えてくるはず。

 後は下流に向かえばヒイロンだね」


「では参りましょうお嬢様」


 まだ見ぬあるかどうかさえ分からぬ英雄都市ヒイロンへ向けて

二人が旅立とうとしたその時。

「ズバシャシャ、ジャザァシャーン!」と砂塵を吹き飛ばし

体長5メートルはあろうかという魔物が襲い掛かって来た。


「これはスナサソリね、丁度いい獲物が来たって事かしら、エモノ」


「お嬢様ここは私めにお任せ下さい」


「待って、試したいものがあるから私にやらせて」


「装具召喚『節状鞭オーベンカ』、散開せよオーベンカ」


エイミーは節状鞭オーベンカを手にするとオーベンカを構成する24条の節が分離し

空中に散開した。時を同じくしてスナサソリもハサミで二人に掴み掛かって来る。


「6条防壁展開、18条は敵スナサソリへ攻性烈火砲照射」


6条防壁の展開で幅5メートル、正六角形の防御シールドがエイミーの前方に展開し

スナサソリの攻撃を食い止め18条の攻性烈火砲がスナサソリの周囲に展開し

強力な火炎魔法を照射すると最期の雄叫びを上げながらスナサソリは息絶えた。


「お見事ですお嬢様」


「まぁね、これが錬金術師である私の戦い方だから」


錬金術師であるエイミーは自ら作り出す至高の武器防具アイテムを使った戦闘を

得意とするのだった。最近の研究は日本のアニメ漫画に多大な影響を受けた

ロマン武器が中心である。無論それだけではないのだがそれはまた後の話である。


「ちょっとこいつ相手には過剰戦力だったみたいだけど。

 アニメのあれを人の身で鞭でやるとかひとつの浪漫ね、ロマン。

 実験成功、いざ出発!」


「お嬢様のロマンは最高ですな」


 エイミーと執事はスナサソリの外殻と魔石を回収すると他愛もない会話を

しながらはぐれた蓮香の事を思い浮かべ今度こそヒイロンへ向けて出発した。

読んで頂きありがとうございます。英美と蓮香のテラでの冒険が始まります。

第1話はエイミーと執事ロイドの冒険の始まりでした。

次回は「蓮香の異世界転移」です。


※プロローグと齟齬のある部分がありましたので削除しました。

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