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雪の花 【WEB】

作者: 雨澤 穀稼


   雪の花


 蒼に浮き出す 木の枝に

 新芽が ひょっこり 顔を出す

 (たお)やかな日常

 新緑(しんりょく) 薫りて

 遠来する 壱迅(いちじん)の 春風(しゅんぷう)

 ブゥッフォ〜ッと 吹き(あら)

 おはようと 挨拶したよ


 暑い日差しの 眞夏日に

 雨に 大風 黒雲黒雲

 モクモク モクモク

 ドンガラ ガッシャンシャンと

 (ひょう)が転がり

 ズカズカ ズカァ〜と

 雷落ちて

 燕蟲喰(つばめむしは)み 大地の喜び

 ズンズン ズンズン

 緑伸びゆく 風棚引きて

 ゆらゆら ゆらゆら

 草木草花(そうもくそうか)達ち


 (おぼろ)に 淡い

 月の光りに 照らされて

 淡い黄色の 丘の上

 だらり だらりと

 幾重にも 弧を描き

 そっと寄り添う 草の上


 しっとりとした 夜風に吹かれて

 葉音響かせ オ〜ケストラ

 コ〜ラス奏でる 虫たち

 水面より 顔を覗かせ

 負けじと カエルの大合唱

 連日連夜の 演奏会


 大地を染める 黒い影

 ゴォ〜ッと 北風が挨拶したよ

 お休みってさ

 そしたら みんな ぞろぞろと

 帰って行くよ

 地の中 木の中に

 石の下 水の底へ

 そして 壱条(いちじょう)の光り射す

 天の上へとね


 グレ〜の空から バラ撒いて

 眞白(ましろ)な花びら

 大地に敷き詰めて

 風にゆらゆら ゆらゆら

 揺れながら

 (しず)の 真夜中

 雪の花が 咲くんだよ


 次から次へと ふわりふわりと

 咲いてゆく

 雪の花が 咲いてゆく

 黒く 枯れた野原に

 雪の花が 咲いてゆく

 枯れ木の 森に

 眞白(ましろ)な 花が咲いてゆく


 雪の花が 冷たく閉ざされた

 固い 扉を開いてく

 そこには 寒さに凍える

 朧気(おぼろげ)な 心が(ひと)

 えんえん えんえん

 泣きながら 涙を浮かべて

 扉の外へと 怖怖(こわごわ)怯えて

 そぉ〜っと そっと

 様子見しながら 

 扉の外へと 恐恐怖怖(コワゴワコワゴワ)

 出て来たよ

 ありと あらゆるの その中に

 涙に歪めた 世界の中に

 真白(ましろ)に咲いた 雪の花を見たよ


 涙に歪んだ 眞白(ましろ)な風景

 ポツリ ポツリと

 そんな 小さな 心の片隅に

 ポツリ ポツリと

 小さく (ひと)つだけ

 枯れた心森(しんしん) 心の大地に

 眞白(ましろ)な 眞白(ましろ)

 雪の花(ひと)

 残影 (くすぶ)る 心風景(しんふうけい)

 夢の野原に

 眞白(ましろ)な 雪の花が

 咲いている

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