汚くて臭かった、僕の部屋のドアを開けてくれた君へ(詩編)
死に際。
僕はいつも通り死にかけていた。
君はいつも通りそこに居る。
ずっと、ずっと。
「そうだよね、君はいつもそうだった」
「でもありがとう」
「誰もいなかった」
「君はいてくれた」
ただ、それだけを考える。
僕の両手は使い物にならない。
酒を飲んだ。
立派なものだ。
死と隣り合わせ。
怖がってるだけなんだ。
君は突然やってきた。
君の名前は知らない。
初めての言葉は、
「君は誰?」
だった。
僕は僕だ。
知らない者同士、同じ部屋で暮らした。
ジメジメした、この汚い部屋で。
君は毎日ご飯を作ってくれた。
僕は毎日仕事をした。
頑張った。
ほんとに頑張ったんだ。
いつも通りだった。
僕はもう立ち上がれない。
君は側にいてくれなかった。
部屋の片隅で本を読んでいた
僕のほうを見もしなかった。
でも、同じ部屋にいてくれた。
君はやがて、窓ばかり見る。
君の心は。
「どこまでも続く大きな川、やがて春がやってくる。」
知らないうちに。
「どうしたの?」
彼女が僕に話しかけて、
「何でもないよ、いー、」
彼女の体を知る。
なんてことない。
君の目が語りかける。
何もないよね。
「今日は良い日だね。」
どこまでも、どこまでも。
「なぜだい?」
天使がいるから?
「いいえ」
彼女は答える。
「私が泣く日だから」
死なないで
しんじゃだめ
(君は)
(私は)あなた恋人だから。