第57話 呼び出しの内容
俺は王様に呼び出され、急遽王都に向かっていた
ガタガタガタガタッ! レンガ造りの道の上を馬車が走る
「しっかし、あんな騒ぎがあったのに何の変わりもなく生活してるんだなぁ…」
「情報統制が上手く行っているせいですな、私にも情報が入ってきませんよ」
「アルベルトさんでも?」
「えぇ、ですが個人的にもあんな化け物の事なんぞ知りたくも無いので逆に有り難いですけどね」
ハッハッハッ!とアルベルトさんが笑う
(だがこれからはもっと注意深く彼女を守らないといけないな…)
今彼女は一時休息の為アルベルトさんの家で療養していた
(彼女の位置を把握する装置でも創ってみるか…)
そう思いながら俺は暫し馬車の中で眠るのであった…
〜15時間後〜
「大和殿、着きましたぞ」
「んんぅ?」
アルベルトさんの声で俺は馬車の中で目を覚ます
「いやー、出発は朝方なのにもう夕方になってしまいましたな」
そう言われて俺は外を見ると、外にはとてもキレイなオレンジ色をした空が俺の目に入ってきた
「あぁ、だいぶ遅くなったな…」(夕方でも大丈夫かな…?)
「いやー、これは流石に一日王都で過ごして明日の昼に行くしかありませんな」
(やっぱりそうか…)
そうしていると馬車は遂に王都の中へと入っていく
(・・ヨーロッパの町並みそっくりだ…)
王都の中は三層構造になっており、一層目が一般市民が住む区画、二層目が貴族達が住む屋敷や兵士が常駐する兵舎がある区画、三層目が王城がある区画になっていて、その間を厚い壁が隔てていた
(奥に進んでいくにつれて明らかに人が減っていくな…)
当然と言えば当然なのだが平民街から貴族街では往来する人が圧倒的に違っていた
「さて、ちょっと小さめですが、屋敷に着きますぞ!」
そうして馬車は道沿いにある一つの屋敷の門に入っていく
ガチャッ! 「とうぞ」
「うむ」
使用人が馬車のドアを開け、先にアルベルトさんが降りてその後に俺が続く
(小さめって何だっけ?)
そうして降りた俺の目にはどう見ても向こうの家と大差ない広さの家があったのだった…
「「「おかえりなさいませ、ご主人様」」」
アルベルトさんが玄関から入ると、屋敷の使用人のほぼ全員がアルベルトさんを出迎える
「うむ、今日は客人を連れている、丁重に扱い給え」
アルベルトさんがそう言うと全員が俺を見る
(だからそう全員俺を見ないでくれよ…)
そんな事もあったものの、何事もなくその日を過ごす
〜次の日の昼〜
「開門!」
アルベルトさんの屋敷から出発し、王城の正門前に着くとそこで一度検査を挟み、王城に入るとこの前居たのと同じ部屋に向かう
「聞きましたよ、無理矢理連れて行かれたそうですな?」
「えぇ、アレは本当に困惑しましたよ…」
「無事で何よりでしたな…」
そんな会話をしつつ部屋で待っていると、通路からこの前聞いたのと同じ複数人が歩く足音がする
ガチャッ!「入るぞ〜」
そう言ってフランクに王様が部屋に入ってくる
「お前はもうちょっと王としての自覚を持ったらどうなんだ?」
「お前こそ王に対しての言葉使いという物を覚えたらどうなんだ?」
アッハッハッと二人が笑う
(本当にアルベルトさんって何者だよ…)
「おお、今回の主役をほったらかしにしてしまったな」
「おっと、そうでしたな」
そうして初っ端から変な感じだが、今回俺が呼ばれた訳を改めて聞く
「さて、今回呼ばれた訳なんですが…」
「あぁ、概ね手紙で伝えた通りだ、既に手筈は整ってある」
「ですがしかしコレは…」
「なんだ?何か不満があるのかね?」
「不満というか疑問ですね」
「ふむ、それは確かにもっともだな」
「なんで『貴君に男爵の爵位を与える』なんですか…」(なんで貴族なんかに…)
「普通なら一般人が悪魔化した者の攻撃を数分間耐え抜き、更に止めを指すことなど世界史でも殆ど無い例だから、ということもあるが…」
「あるが?」
「悪魔の正体を知っていて尚且実力において優秀な者を放っておく訳にはいかないのでね」
「それで爵位を与えて俺を拘束しようと?」
「その通りだ、ちなみに君に拒否権は無いからな、覚悟したまえ」
(どうしてこうなった…)
そうして俺は何故か爵位を受け賜る事になったのだった…




