第35話 雇用
アルベルトさんが倒れるなどの事件はあったものの、ほんの数分で回復したこともあり、普通に夕食が取られることになった…
「・・で、娘さんが部屋に閉じこもったのは何か理由があるんですか?」
「うむ、それなのだがな…」
「私が話す」
そう言ってアルベルトさんに変わって話し始まる
「数年前に、まだまだ歴代の貴族の中では新参者だった者がいましたとさ、そしてその者が自慢の娘として紹介した娘を王様はいたく気に入り、今まで見た娘で一番とまで言い、それからは他の貴族がこぞってその娘と縁談を持ちかけましたとさ、で、その娘が私ってわけ」
(あ~、なるほど、それでヒキニートになったのか…)
隣を見ると不幸の原因であるアルベルトさんが鼻を高くしていた
「まぁまぁ、この人の事を悪く思わないで?心の底から貴方を誇りに思ってるのよ?」
奥さんのフォローが入るが娘の目は変わらない
「しっかし惜しい事をするもんだ、王子様からの縁談さえも断るんだから…」
「あなたが余計な事をしなければそれで良かった」「グハァッ!」
(もうそろそろライフがゼロになってそうだな…)
「しっかし、学園は必ず卒業してもらうぞ、何が何でも」
「ん、それは分かってる、分かってるけど…」
「学園でも問題が?」
そう言うと全員が一斉に暗い雰囲気を漂わせる
「・・実はな、学園に一人、我が娘を狙う者がおる…」
「それは?」
「この国の第2王子、リカルド王子よ」
(よりにもよってこの国の王子が相手かよ…)
「学園内で我が娘の事を自分の婚約者だと言いふらして、我が娘を強制的に連れ回したり王城に連れて帰ろうとするのでな、私が圧力をかけて学園から家に連れて帰ったんだが、、まさか部屋に籠もるとは…」
「あの男だけは本当に最悪、誰でも嫌うと思う」
(そこまで言うのか、、どんだけやってんだその王子は…)
「んで、そこに君が現れたわけだ」
「王様とかは誰もその王子の行動を止めないので?」
「うむ、王族だからいくら言っても歯止めがきかん、まるで暴走する馬だ」
「で、このままそのリカルド殿下とやらが卒業するまで家に居させるんですか?」
「うむ、そのつもりだったが気が変わった」
その一言で全員の視線がアルベルトさんに集まる
「大和殿、大変キツイとは思うが、、、君を護衛兼疑似婚約者として雇いたい!」
「「「「えええええええええええええ!!!?」」」」
「ちょっとあなた!それはどういう、、ッ!」
「分かるか?私の意図が」
「もしかして、、もしかして?」
「うむ、この国では貴族間では決闘で奪い合い、それで勝ち取った妻こそ人生で一番幸せになれるという言い伝えがあると言いましたな?その決闘で王子を倒していただきたい」
(えー面倒くさいし、厄介事にしかならんぞそれ…)
「もちろんその王子を倒すことができたらそれで終わりです、簡単でしょう?」
「・・私が負けた場合はどうするんですか?」
「それはあり得ない、何故なら私の観察眼と自身の勘に狂いはない、必ず倒すことができると確信しております」
(えぇ、、、これ何言っても引かない奴だなぁ…)
「・・私は構わない…」
「おおい!本人も許可するのかよ!」
「だってあなたはまだまだ私の知らないことを知っている、それを知りたい」
「まぁ理由はともあれ、夫がそう言うなら私も反対しませんわ」
「・・・・・・・・・はぁ…」
3人から言われたことで俺の中で拒否という言葉が折れる
「分かりましたよ、やれば良いんでしょう?その王子を倒したら終わりですからね!」
「もちろんですとも!よろしくお願いしますよ、゛婚約者゛殿?」
「止めてください、気分が悪くなってくる…」
「期待してる」
(そんなこと言われてもな…)
そうして俺は何故かアルベルトさんの娘の疑似婚約者兼護衛に雇われたのであった…
(なんでこうなるの…)




