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序章

短いですが、全部だと収まらないので章ごとの投降になります。


この物語の単語説明

艦橋=メインデッキ=艦長やオペレーターがいる場所

ジェネレーター=発電機。電気とは限らないが、基本的に熱を生成する艦の中枢機関

ラジエーター=放熱機関

エンジン=推進機関。飛行機で言うジェットエンジン。

モニター=画面のある映像。強化ガラスにより目視で外を確認出来る艦橋の場合、強化ガラスにモニターが複合されており、様々な情報をメインモニターに表示させつつ、強化ガラス先の景色も見ることが出来る。

スクリーン=ホログラムにより展開される映像。

 その広い艦橋には、振動と共に赤色のアラートが鳴り響いていた。

「メインジェネレーター出力50%っ!」

「ラジエータ、2番からの信号途絶っ! 1番、3番の出力急速に低下っ」

「1から5号エンジン……喪失」

「右舷格納庫から居住区画まで大破っ! ブロック切り離し、出来ませんっ!」

「敵機不明っ! センサーには反応ありませんっ!」

 艦橋要員十八名。

 その内、即座に己が役目を果たしたのはその五人だけだった。

 残る者は、艦長も含め全員がただ呆然とその光景を眺めていた。

 外周カメラよりメインモニターに映し出される、我らが艦の光景を。

 全長2000メートルを誇る超弩級戦艦<グレゴリオ>。その右舷が、赤熱した断面と共に切り離されてゆく様を。

「何が……何が起きたぁっ!」

「分かりませんっ! レーダーに反応は無いんですっ! 無いんですよっ!」

「護衛艦はっ!?」

「全艦こちらに向かっていますっ!」

「無事なのかっ!? なら何故俺の船だけがこんな目に遭っているっ!」

 怒鳴りながら、艦長である男は乱暴に机を叩いた。

 同時に、すぐ目の前に優男を映し出したスクリーンが展開した。

「テメェ、ラモフィックっ! 嵌めやがったなっ!?」

『……迷惑を被っているのは、こちらなんですがねぇ』

「ふざけるなっ! テメェの差し金だろうがっ!」

『あのねぇグレゴリーさん。私達≪ケルベロス≫にとっても、今回の取引は非常に益のあるモノだったのですよ? 仮に嵌めるとするなら、取引を終えてからするに決まっているじゃないですか』

「ならこれはなんだっ!」

『そう言われましてもねぇ。……あぁ、今映像を拝見しましたが、私はちゃんと言ったはずですよ? 賞金稼ぎ共には注意しろ、と』

「してたに決まってんだろうがっ!」

『そんな大型の船で、船団引き連れて、注意した? さすがにそれは』

 苦笑する男にグレゴリーは顔を真っ赤に染めたが、怒鳴るよりも早く艦が一際大きく揺れた。

「艦体後部、切断っ!」

「何が起きてんだあぁぁぁっ!」

『……≪天魔≫、ですね。クッキー戦艦でなければもう少しマシだったんでしょうけど』

「てんまぁ? っつーか何だクッキー戦艦ってのはっ!」

『艦体自体の全高は、一番短い所で100切ってましたよね? 全体的には色々付けて厚く見せてはいますけど、まぁ、それじゃあ≪天魔≫のおやつでしょうねぇ』

「だから何だそのてんまってのはっ! どーでもいいから助けろっ!」

『お断りします』

「ンだとっ!?」

『≪天魔≫はソロの賞金稼ぎですが、船団相手だと警察か軍を引き連れて来るのでね。取引失敗に、任せた部下達の喪失。今回は大損ですよ、全く』

「黙れっ! 助けろっ!」

『状態次第ですが、拾ってあげますよ。幸い、近くにいますのでね。それでは』

 ブツンと音を立てて消失したスクリーンを、グレゴリーは呆然と見つめた。

 その先には、メインモニター。遙か彼方ほど離れた距離であろうと、宇宙空間では回るパトランプがよく見える。

「……主砲、発射準備」

「艦長、もう、無理です」

「やれって言ってんだよっ!」

 グレゴリーは、文句を言った副長の額に銃を突きつける。

 が、無理の本当の意味はすぐに分かった。

 ヴンと全てが沈むような音を立てて、世界が闇に染まった。同時に重力が消え、身体が宙に浮く。

「メインジェネレーター、停止しました。復旧は、不可能です」

「白兵戦の準備だ」

「艦長っ!」

 副長の声に視線を移せば、メインモニターにそれがいた。

 電力が落ち、そこに映るのは強化ガラスを通して目視出来る宇宙の景色。

 その色に溶け込むような黒が、そこに佇んでいた。

 黒い鳥。

 その腹部から伸びた一本の砲門が、光を灯す。

 そして。

 音も、痛みすらも無く、グレゴリーの意識は白に包まれた。

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