リター王国
馬車の中で...
「それはなんですか?」
王国兵が自衛隊員の腰の銃を指さす。
「これは拳銃というものです。遠距離からも攻撃することが出来ます。
宜しければ後でお見せしましょうか?」
「ええ!是非!」
2026/02/07
11:00
リター王国
「うえええ!!気持ち悪い...」
佐川は王国に着いた時に酔いに耐えられずに吐いていた。
「暫く休憩時間を取ります。何処かへ移動される場合は兵が付き添いますので、お呼びください」
「それでは見せてください!」
兵は、目を輝かせて期待していた。
「う~ん、ここでは危ないので...。弓の練習場所のようなところはありますか?」
「それならあちらに...」
「うぇぇええええ!!」
....
「大きな音が出るので注意してください」
「では、いきますよ!」
「はい!」
的の中心に書かれた赤い印に標準を合わせる。
トリガーに指を掛け...
ドン!!
周りで弓道の練習をしていた兵達がこちらを一斉に向く。
「なんだなんだ!」
「あれはなんだ!?」
的の中心には穴が開き、後ろの木に弾が刺さった跡が出来ていた。
「す...凄い...!あの一瞬で...!」
「こ...これはどういう仕組みなのですか!?」
「余り詳しくは説明できませんが、この銃弾というこの銃専用の弾があります。
この鉛の弾の中に火薬を詰めて、飛ばしているという感じです」
「おお!凄い技術だ!」
そうこうしている間に、別の兵がやって来た。
「間もなく会談の時間です」
2026/02/07
11:42
リター王国会談
会場には、机が中心にあり、国王が王座に、それを囲むように、それぞれの大臣が座っていた。
「この度は会談までお呼び頂きありがとうございます。私は、日本国外交官の佐川 昭之です。
よろしくお願いします」
「私はリター王国国王のリター・ビルドだ。貴国は我が国でも見たことのない技術を持っているとのことだが、
それは本当かね?」
「はい、では我が国の技術をお見せします」
まず、用意していた資料を渡す。
「これは随分と上質な紙だな。どのような職人が作っているのか?」
「それは....人の手ではなく、機械で製造された紙です」
「機械?それはなんだ?聞いたことのないものだ」
「そちらは今から説明いたします」
次にプロジェクターを出す。
「カーテンを閉めて、ロウソクを消して頂けますか?」
「なにをするのだ?」
「プロジェクターという機械を使用して、このパソコンという機械の画面を写しだすんです」
「分からんが、まあ、いいだろう。そこ、カーテンを閉めなさい」
「かしこまりました」
部屋が暗くなる。
「案外暗いな..。.誰かライトを持っていないか?」
「あ、持っていますよ」
自衛隊員の一人がポケットからライトを出す。
大臣達は、あの筒状のものが暗闇に何の役にたつのかと疑問に思った。
カチッ
後ろのスイッチを押し込む。
「おお!?」
ライトが辺りを照らす。
テキパキとプロジェクターとパソコンを用意して、壁に映し出した。
その間に資料を配る。
「どうなっているのだ!?」
「どのような仕組みになっている?」
ざわざわとしている中、
「用意できましたので、少しお静かにお願いします」
と言った。
(ここから先、)
そこから、小一時間ほどの日本について説明した。
日本の製品、法律、軍事、国民、技術
そして、ここに転移してきたこと、などを大まかに説明した。
余りに長くなりそうなので、詳細の説明は今後に伸ばすこととしたのだ。
「それでは他に質問はありませんか?」
全員静かに頷く。
「では、次はリター王国についてです」
15歳ほどの少年が発言する。
「我が国は貴国より、北西に位置しており、人口は、約2000万人。領土は、世界で3番目の大きさを誇ります。
元は、隣国のガルド王国を含めてリター王国でしたが、神暦1061年、ガルド・イレイガによる奴隷の革命により、
ガルト王国とリター王国に分離しました。」
「また、リター王国で新たな奴隷により、内戦が発生。ガルト王国との衝突と重なり、リター王国は降参しました。
そこから、奴隷制の放棄と、平和を神に誓い、それを現在も保っています」
「終戦から、70年が経っており、ガルト王国とは、外交が盛んな友好国となっております」
「我が国は医療が最先端をいっており、平均寿命が65歳越えです。また、肥沃な土地を生かし、20種類の作物の
育成に成功しています」
「技術としましては、エレベーターが最新技術ですね。労働者を運ぶために使用されています」
エレベーターは昔からある技術だ。ここの国のエレベーターは石を木のベルトコンベアのようなもので
かごを引き上げ、1人ずつ運ぶことが出来るらしい。
「高度な教育を行っており、一人ひとりに本を配って、勉強をしています」
ここの世界では紙は高級品だ。それを本として、一人ひとりに配るということは、それほど国が潤っている
ということだろう。
「保険もあります。貴国では、様々な保険があるようですが、我が国には、冒険をするための保険があります」
これからも様々な説明があった。
話を聞く限り、元世界の中世ヨーロッパに似ている。
農作物が豊富らしい。
これを聞いてはっとした。
日本は食糧危機に陥っている。直ぐに外交先を取り決めないとここでの活動もできなくなる。
話が終わったところで、国王に聞いた。
「日本は、前世界で食料供給を他国に頼っていた為、食料が不足しています。我が国の農業技術と引き換えに、
食料を輸出してもらえないでしょうか」
「貴国の農業技術か....。貴国は非常に素晴らしい技術をお持ちだ。いいだろう。農業大臣。輸出の手続きを行いたまえ」
「かしこまりました。では、こちらへどうぞ。」
2026/02/07
23:00
空気が澄んでいるのだろうか。
呼吸をしていると落ち着いてくる。
涼しい風が船の上を走っていった。
食料の輸入先が決まったからには、ここでの敵はいない。
やがて、日本の街並みと港が見えてきて、ガスが抜けたように肩を楽に落とす。
明日は休みだ.......