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鍛冶屋さんは魔法使い
鍛冶屋さんは魔法使い。川の砂を持ってきて。
ブーブーパンパンコンコントントンういー。
赤い炎が伸びていく。
吹いて熱して叩いて伸ばす。
ナイフ、鋤鍬、車輪にランプ。
馬車に自動車、コンロに銃器。
炉の炎を巧みに使い。
炎の声を聴き分ける。
かんこんかんこんかんこんと。
機械のハンマーで圧延して。
お弟子さんと調子あわす。
ナイフの刃だけは鉄でなければいけませぬ。
愛しき妹よトナカイの皮を持ち旅にでよ。
僕の代わりにナイフを買ってきてくれ。
町に行かねばナイフは手に入らない。
鉄は川砂鍛冶の魔法。兄は知らぬか。
車輪が鉄の車を運び、蒸気は滑車回す。
森は切られて河汚れ、天は瓦斯灯染まる。
私たちは魔法を知る。兄は魔法を知らぬか。
教えましょうその奥義。妹はそれを学びます。
この恋の炎を操るために。
町の魔法を学ぶため。車輪の法を知るために。