4/10
瓦斯の灯
つめたい硝子の奥向こう。
幸い照らす明かりがともる。
明後日はお祭りの日だから。
ガラスの外でひとはかがやく。
硝子のうちで瓦斯が燃える。
カラスのように黒い夜。
硝子を瓦斯が温める。
最近でてきた自動車が湯気を出し、馬糞を踏みつけとっとこと。娘たちもブーツ踏みしめとっとこと。
ゆけゆけ兵隊さん。とっとこと。
寄宿学校のお嬢様おぼっちゃまたち。お小遣い片手にとっとこと。
冷えたvodkaで喉焼くオトナをすり抜けて。
終わらない夜の中を歩く少女たち。
長袖に潜んだ子猫の香り。
今日ははしゃいでとっとこと。
町の明かりがとっとこと。
夢の光よとっとこと。
今日の気持ちをとっておこう。
瓦斯の明かりが夜照らす。
テラスの向こうでトットコト
美味しい鍋がコットコト。
