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一人の教師の独白
気づいていました。
そんなことを今更言ってなんになりましょう。
わたしにとって彼らは野蛮で、文明に適応できない脳の構造をしている一族でありそれについて訂正するつもりはありません。
たとえ彼女がいくら優秀でも。
皆に愛されていたとしても。
誰よりも愛らしく、運動ができる子であったとしても。
わたしは、私達はこの考えを改めることはないでしょう。
悪戯を咎めて鞭打った後、寝台の薄い毛布にくるまって自己嫌悪で頬を濡らした日々も。
教育者として、女性として彼女の働きと若さに多大な期待と嫉妬を持っていたという事実も。
わたしが、たぶん私たちが皆彼女を愛していたという事実すらも。
この考えを覆すには足りません。
夢を見ていたのだと思うのです。
長い長い夢でした。楽しい楽しい夢でした。
神よもし願いが叶うなら。
空を駆けるソリに乗って私も飛んでいきたい。
彼女と共にかけていきたい。よゐこの待つ世界へ。