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寄宿学校の優等生
彼女は誰よりも賢く優秀だった。
素直で優しく、stoveのように温かかった。
だからぼくは嫉妬した。
君の温かな笑顔は風のようにぼくの心を切裂く刃だった。
愛らしさも、ほのかな優しい毛糸の香りも、焚火を思わせるふんわりとした栗色の髪も、鈴のように転がる声も。すべてがぼくを傷つけた。
だから復讐してやった。
ぼくはぼくに復讐をした。
そして何も残らなかった。
僕が愛した君は去り。
僕が憎んだ君は消え。
君が愛してくれたぼくは幻想と理解した。
ぼくはがらんどうのゆきだるまだ。
うつろなタイルの瞳。聴く耳などない側頭。鼻はどこかの小枝のようにねじ曲がった根性を示し、二枚舌を隠すような一文字の板切れの口。臓腑や心などない冷たい雪の身体。
ぼくは雪の中立ち尽くす。
ゆきだるまは喋らない。
帰ってきてとなんて言えない。