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3-9 異世界同人誌即売会実行委員会 会議

ミサスの恋バナ()と会議とか

〇バイチーク 北部ブロック

「はーい皆さん。マウお姉さんが問題を出すよ! バイチークで盛んな産業はなんだ!!」

「本!」

「木工家具!!」

「カードゲーム!!」

「魚!」

「情報が集まるから株をやって為替で稼ぐ!!」

「人も集まるから中間搾取が手っ取り早く金を稼げるといってた」

「まあまあ。色んな産業あるけどお姉ちゃんはバイチークのモノづくり。難しい言葉でいうならば製造業について勉強します」

 マウは十歳ぐらいの子供たちの前に立っていた。

 初等学校からの依頼でマウは不定期にボランティアで社会勉強会を行っていた。実家からの英才教育のおかげでこうした会を行うのに資格等は困らないマウの才覚。バイチークに住む人々に広く顔を知られているマウの人徳と素直に子供が聞くと大変好評だった。


 ミサスとホッチは子供たちの列の後ろで様子を見ていた。

 大規模訓練の最後にボックリ・マツカイサの「バイチークの文化を学んでほしい」ということで社会科見学として様々な所に青年騎士や将校が派遣されている。バイチークの同人誌即売会はバイチークの住民や職人の多くがボランティアとして参加しているため、交流を深めるために設定された。


「バイチークは元々上流の人工林から切り取った大きな大木は川に浮かばせてバイチークまで運んでいます。紙等を作るためのものは筏を作って詰んで。なのでバイチークの北部に位置するここは河は多くの木材問屋が連なっています。で、」


 マウはパチンと手を叩いた。


「そこで使われる大きな機械と実際に本を作ってみましょう!!」

 子供たちの興奮は最高潮に達した。





「お疲れ様」

 ミサスはマウに近くの売店で購入した冷たいボトルを差し出した。工作教室の片づけに追われていたが、振り返りありがとうと言って受け取り手を休める。

「ホッチは外に出ているのか?」

「うん。ミサスに買い出し頼んだ時に、参加者の子供が落し物したといって戻ってきて一緒に探してもらいに行っている。私は離れられないから」

そうかとミサスは答えて二本入った袋ボトルのうち一本を取り、マウの隣に座った。


「マウは人に慕われる素晴らしい才能があるよな羨ましい」

「ありがとう」

「俺にはそこまでスキルはないからな」

「いやいや。ミサスも戻ってきた時よりは社交性はついたと思うよ。昔は野生児だったし、いたずらはそこまで好んでなかったけど食い意地は張っていたし」

「都市の暮らしの普通が分かってきたからかな。まだまだ隊員たちの考えや思考も把握していないし、団長にも詰められるし。この前だったらボット師匠にも……か」

「そうそう。影王さ……解禁されたからボット殿下と言っていいもだよね? 出番の直前に現れたけど、何か聞いている?」

「まったく。あの人は本当に最低限のことしか伝えないし、来るのも突然だ。青年隊の隊長をするときもそうだ。名前や簡単な能力が書かれたリスト渡されて、勧誘して来いと言われた」

 前にも話したかもしれないけど、全員と面談(という名の戦闘だったり)したのは骨が折れたとミサスはため息をついた。

「でもリストに入っていなかった人も入っているんでしょう? スカウトしたり」

「ああ。最近だったらフームもそうだな。ジョー師匠から推薦を受けたけど、あの人が手を回している割には上手に話が続かなかった」


 フームちゃんはかなり頑固なところがあるからなとマウは思ったが、「いやミサスが悪い」と話の流れを持って行った。


「でもフームは元気にバイチーク生活を送っているよ。最近は大学のカリキュラムでハナさんと一緒に行動していて、誰もが出来る非常時の手当てや医療技術を学んでいる。そうそう。私の稽古に付き合ってもらっていた」

「マジか。薄々気づいていたけどなー。今年はいけると思ったのだけどな」

 ミサスはがっくりと大きく項垂れた。


「そういえばホッチもリストにはなかったな。テプも自己中なイーサーが珍しく勧誘してきたから最近はいったし」

「へーテプって新入り君でしょ。ホッチは以外。最初からいるイメージあるのに」

「実はそう。青年隊は学業も納めないといけないから、大学でだったホッチに頼んだ。」


 フーン。とマウはごくごくと飲み干した。


「でホッチとは付き合っているの?」

「え。いや」


 ミサスは少し動揺し、噴き出した。


「でも最近幼馴染で可愛い子が現れたと同人作家から聞きましたが」

「別にカ、カリは好意的に感情を持ってくれているけど、良心に潰されそうだ。そっちも大学に入学したからレポート作成に休日はモンスターの観察しに近くの森へ連れていくぐらい」


 ほうほう罪な男だなあとマウはニヤニヤする


「ホッチはどうなの? ミラレアルから出ていたし。帝国騎士団から学費を直接大学に支給されているとはいえ、来年明けの第3月卒業ならもう半年はないよ。あっという間。ホッチが選択するならどこでも買ってくれる人はいると思うし」


「ど、どうかな。相手がどう思っているのか分からないし」


 ニヤニヤ。


「ホッチも女の子だし特殊性癖で逃げちゃだめだぞう。私のナイスバディに鼻血だして倒れた人には言われたくないぞう。それに中途半端なところで永遠な別れはさえないしね」


 ミサスはマウに変な気にされ、戻ってきたホッチの顔をまともに見えなくなった




〇夕方 バイチーク同人誌即売会会場予定地


「私が今回の同人誌即売会の指揮を担当するパペットだ。この度はイストール地方全土から訓練を経て、我々の催しに参加していただけたこと感謝する」


 ボランティアが終わった夜。バイチークの南西に位置する場所にミサス達は集まっていた。既に天まで届きそうな大きなドーム型のテントが張られていた。

 整列した青年達の前で話すことはないであろう一般人。パペットは普段ならそういう男だった。

 ここで任務の概要を説明される。


「先のモノ要塞でボックリ殿下から説明された通り、今回の同人誌即売会バイチークマーケット略してバケットのスタッフの概要を行っていく。会場はバイチークで一番大きな屋根付き会議場であるここだ。別大陸からの建築技術も使われている」


 中にはずっとこの建築物に視線が釘付けのものもいた。


「去年も参加していただいた方もいらっしゃるが、ノウハウの無い方にそこまで無理強いしない。君たちには参加者の誘導をしてもらう。そして救護班だ。最低、頭数がそろえればよいと考えている」


「それだけだったら楽しくない」


 パペットは拡声器(魔力を通すと大きく声が出る)


「この同人誌即売会は全員が参加者というスタンスだ。お客様とは少し違う。徹底的に周りを見つつ、こういった場があることを楽しんでほしい」


「会場の概要」

「位置関係。ブースのカテゴリ」

「参加サークルとは」

「会場内の警備はこちら」

「緊急時の対応」

「当日、サークル参加者のご厚意で見本となるものが前日にこの休憩室に並べられる。しおりを予め見て必要となるものがあれば、予約してほしい。正午をもって回収する」


 このようなバケットの概要や説明。当日のロールプレイングが休憩を挟んで夜遅くまで続いた。

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