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3-6 現地弟子ミサスの作戦指揮 訓練後の余興

「これにて第〇〇回合同訓練を終了する」

 モノ要塞の守護隊長の号令と共に合同訓練は終了をした。

 場所は敷地内にある闘技場。遷都前はここで各地から集められた猛者たちがしのぎを削っていた。

 一段高くなった円形の闘技台を観客席で囲んでいる。集客人数は一万人ほど。

 中央には各地から集合した班の代表者と最後に行われたフラッグ戦で優秀な成績を収めたものが集まり、表彰されていた。


 観客席の一部でマツカイサ帝国騎士団が様子を見守っていた。

「お邪魔します」「もう終わりか?」

 ケコーンとフームはその一団と合流した。

 フームは、先のカズルが恩恵を使い暴走した一件から交流を深めていた。

「フームさん会いたかったです!!」

 抱きつこうとしたテプの溝内に鉄拳制裁を行い、フームは空いているところに座った。

 周りをみたら全員が魔力で作られた仮の身体を使うため、目立った外傷は発生しないが、疲労がたまっているようだった。

「うちからは戦闘人員がほぼ出場した。ミサス隊長とイーサー副隊長。ああ忘れてた。テッラがミラレアル代表として事実上三班」

 どかっと隣に座ったのはゲンノ。ケコーンと同じぐらい筋肉量がすごい。

「最優秀指揮は北方守護隊第3班のネードか。残っていた班員が道連れ戦法で私の死亡(判定)させた。最後に隊長を孤立させた。今度会ったら殺す」

 物騒なことを言っているクレパ。

「マバ! ウメ! 私に向けていじめすぎです!」

「こんな中の良い姉妹対決は稀だから燃えたな!」「チクおねえが殺し易いから」

 シジキ三姉妹の長女マバ三女ウメ次女チクを弄っている。

「フンフンフンフン」「ちょっと静かにしてください貧血気味な体にさわります」

 ノサシがコンスに一言。

「サンモは祭りの締め切り前の追い込みで不参加。先ほど入稿が終わったと連絡来ました」

「ふー。やっと終わった。シャワーが浴びれる!」

 最後にザミとペインが声をかけてくれた。


「お揃いで」

 白衣を着たままのハナが近づいてきた。ケコーンとそれを察したゲンノが横へ詰めていった。

 空いたところにハナが座った。

 フームはそこへ近寄った。

「終わってしまうのに片づけなくて大丈夫なのですか?」

「平気平気。この後の余興を楽しみにしていたから。むしろここからが本番」

「そうです。少し楽しみにしています」

「そうか。フームちゃんマウちゃんから聞いて知っていたのね」

「はい。特訓にも付き合いました!」




「参加した諸君らはこの場で待機」

 守護隊長は退席した。









 そして少しの間が空いて辺りがガヤガヤしたときに


「待たせたな」

 中央に突然全身を黒装束でまとった人物が現れた。

 転移魔法特有の身体全身に電気が帯びている。


 その姿を遠目で見ていた帝国騎士団の空気がピリついたことをフームは悟った。

「敵……ですか?」

 フームは小声で尋ねた。

「この前、任務であの衣装のコスプレイヤーにボコボコにされたのですよ」

 口の軽いテプが喋った。

「余興の演出なのですか?」

「私たちは思えないですね」







「申し遅れた。我は影王である」

 影王は辺りを見渡し、フラッグ戦の代表者を確認した。

「即時に臨戦態勢になっているものが……数人か。素手の状態で対応できる者の傾向が読み取れるな」

 影王は自らの目線がピりついていることを悟った。

「心配するな。敵ではない。ここの代表者には話を通してある」

 両手を前に出して制止のポーズをとる。


「諸君は世界を見渡したことはあるだろうか。過去の歴史と照らし合わせてかつてないほどの平和と言われている戦争が行われていない時期でも、戦争の火種はそこらに転がっている」


 少し移動させつつ、観客席まで聞こえるような声で伝える。


「このような武力の合同訓練や競技大会は各国の代理戦争の面がある。だが例年、これからの“余興”を“余興”として楽しまない輩がいるのはいけない」


 この場で確かに存在する者に向けて言い放つ。


「我からの頼み事だ。近日バイチークで大きな祭りが催される。そこに参加して世界から情報が集まるバイチークの文化を触って各地へ持って帰ってもらいたい。運営と参加者の安全を確保したく、諸君たちの力をもって警備にあたってもらう」


 辺りが完全にどよめいた。


 一人が手を挙げて影王に質問した。

「見返りもなく、仕事を頼むのは若者から労働力の搾取というのではないですか?」

「心配するな。滞在に必要な報酬はしっかり出す」


 影王が言った金額に各人おお。と、どよめきが起きた。


「条件がある。すぐに終わるテストを一つさせてもらう。彼女と戦ってくれ」


 ボンっと稲妻をまといながら黒いマントに身を包んだ女性が出てきた。

 フードを手でめくると、バイチークに拠点を持つものにとっては、なじみ深い顔が出てきた。

「皆さんお久しぶりです。そうでない方は初めまして。バイチーク同人誌即売会実行委員のマウです。こうして班長の方がいらっしゃるので、所属団体の代表として私と戦ってもらいます」


 マントを脱いだ。骨格に合わせて光る線が入っていて、身体のラインが露わになり豊満な胸とくびれに目を奪われる。

 その見た目はバイチークの青年誌で有名なキャラクターだった。

 マウはそのまま手を組み、構えた。

「本気で来てください。私は強いです」


「慰労会前の最後の課題だ。質問ある人は?」

 すっと手をネードは上げた。

「あなたは結局誰ですか? 影王?」


「運が良いなヒロの英雄。今日その解禁日だ」

 ネイキッドスタイルと呟いて、仮面を取り外した。

 その素顔に青年隊よりも訓練を管理していた大人達からどよめきが上がった。


「我が名はボックリ・マツカイサ」

 目の前には、世界の英雄と交流があり現皇帝の兄にあたる人物だった。

 当時の知り合いからは、よくボットと呼ばれ先の大戦でも大活躍した人物だ。


「因みに私がしている“影王”は、元々先代皇帝が青年期に考え出した黒歴史の塊。同人誌即売会における歴史の一つでもある」


「世界の頂点の一部に触れるチャンスだ。世界の英雄の娘は強いぞ」


 ボットは不敵に笑った。

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