3-5 現地弟子ミサスの作戦指揮その4 フラッグ戦決着
皆さま(そうでない方も)お久しぶりです。フラッグ戦決着です。
フラッグ戦は旗を奪取された時点で敗退となる。
旗は旗手となる人物を制圧、確保、殺害(判定)をすれば自動的に獲得となる。
得点方法は相手が無傷に近いほど加点が高くなる。
〇医療テント
「どちらが有利なのですか?」
「北方守護隊第三チームです。着実に点を重ねて差があいています。後はミサス隊長1人を相手すれば良い。ミサス隊長の班が圧倒的な実力で“制圧”のみの加点に拘っているとは大きく違います」
中継されている映像を見ながらフームからの質問を淡々とケコーンは答える。
「対するミサス隊長は、ネードを“ほぼ無傷で”確保しなければ逆転できません。相手はミサス隊長を殺害(判定)しようが、戦って負けようが“無傷”でなければ勝ちです」
「だったらもう詰んでいる?」
「いえ相手は前回ミサス隊長に負けたと言えど、多くの方に記憶に残ったベストバウトに数えられています。そう易々と決着はつかないと思います。“十徳刀”ミサス隊長と今を生きる“英雄”との戦いに心躍ります」
ケコーンは悠々と語るがフームはそんなことを聞いてなかった。
「いや勝つだけならば、相手のネードさんが自殺してミサス詰みじゃない?」
〇ネモ要塞 市街部訓練場
「疲れたからこのまま自殺させてくれよ。ミサス」
ネードは懐から出したナイフを胸に刺した。
ミサスは両手で受け止めた。
誰もがこのまま一騎打ちが始まるものだと思っていた。
完全に裏をかかれた者が多い勝利への執念。目の前にいたものしか分からなかった。
「ミサスにこの動きを読まれたとは、仲間達に合わせる顔がないな」
「流石に野生児みたいな一直線ではいられないからな。“英雄”さん」
「前に話したと思うけど、その名前のプレッシャーは大きいから言うな。むかつくね」
「お互い様だ」
ミサスは両手でナイフをもぎ取り、遠くへ投げた。
その直後に両手の震える痺れに気が付いた。
「保険のためにナイフには毒の罠を仕掛けておいたんだ! 得意な道具も使えないだろう?」
そのままミサスの顔面へ右の拳が飛んだ。
普通に避けて、ネードの溝内にカウンターの重い拳が入った。
そのまま建物の壁にめり込んだ。
よろけながら立ち上がり、ネードは口から出たものを拭う。
「流石に攻撃に手を出すのが早かったか」
最高火力の魔力を使って空へ跳ねて、ネードが逃げ出した。
「よし。ここまでくれば大丈夫だろう」
このまま逃げ回ってもよし。強固な魔法結界で籠城してもよし。
ミサスへ時限爆弾を仕掛けた。即効性の毒性のあるもので、すぐに結果が出る。
ネードは勝利を確信した。
「!」
上を見上げた時、頭上に影をよぎった。
すぐに迎撃態勢を整えて剣に手をかけた。
横からの衝撃に頭にが揺れた。
ネードが目を覚ますと体の自由が利かないことに気づく。もがいても手足が拘束されて、沸き上がった砂や砂利が口に含まれた。
「思ったより早く追いつかれた」
唾を吐きながら、しゃがみこんでいるミサスをネードを見上げる。
「住宅や建造物を自らの肉体や跳躍力のみで走破する。いわゆるパルクールと呼ばれているものだ。最近バイチークで休日に行っている趣味だ」
流石に両足だけでバランス取るのと、縄を縛るのは難しかったが。とミサスは付け加えた。
「蹴りで顎を強打しているなら、骨折とかで重症判定しているか?」
「いや。捕縛判定になっている」
ミサスは断言した。
殺害判定のポンっと肉体が即座に消えてないのが証拠だった。
「なら舌を噛みちぎっても意味ないな。この後の慰労会に影響したら意味ないし」
ネードは大きくため息をついた。
「くそ負けた!」
ネードの完全なる大声で敗北を宣言した。
コロナウイルスでお仕事のお休みを沢山頂いたので、放置気味の連載を少しずつ再開していきます。究極に遅筆ですが、暇つぶしにお付き合いください。




