1-1 異世界転生者死す!
プロローグ
俺は異世界に転生した。
よくあるネット小説で人気な設定だ。
端末片手に読めるモノなので、好んでとても読みふけていた。
ほとんど無料な健全なアイテムなのでお勧め。
話が逸れた。
俺は異世界に転生した。
いつか俺も書こうと思って資料や色々モノを集めたりしていたのだが、そういった魔法や剣や色々出てくる好みの世界だった。
物語を書くより、その中のキャラクターになってしまった。
まぁいい。
現実世界では、引きこもりニートで鬱状態が続いていたし、心機一転新しい生活を始めた。
この世界での生活は楽しかった。
行動すれば行動するだけ学べたし、良い生活もできたし、良い女を沢山はべらせてハーレムもできた。
前世の世界には無かった、「魔法」というものもすぐに慣れた気がする。
そうそうこの世界の言語も違う。だが、こういう力と言い、ようは慣れだ。
確か外国語圏で生活すると数ヶ月で習得できると聞いた話と同じだ。
そうして成長すると、やっぱり怪物を倒したい。
リアルあーるぴーじー世界にいるのだから。怪物を狩って狩って狩りまくることにした。
報酬も出たし、名声も手に入る。
今は、イストール地方全域で狩りの免状が出ている有数ハンター集団のトップになった。
こうした生活を進めていくと、他にも似たような転生者がいることを知る。
特に今では「イーゼ」と呼ばれるヤツはとても良いヤツだ。
世界的な英雄として称えられている。
もはやそれなりに心が濁った俺にも素直にそう思えた。
いつしか転生者は転生者同士を隠し、互いの縄張りや過去の詮索をしないという暗黙の了解ができた。
折角の異世界転生で成功を収めたし、揉めて地位や名誉が無くなるといけない。
成功した地位で惨たらしく死ぬのはゴメンだ。
で、殺される。
なぜだ。
歳を食ったとは言え、俺はそこらの戦士や魔術師に不意打ちを受けたとしても、殺されることはない。
それに同行していた嫁や息子達はどうした?
体中から激痛の鐘が鳴り止まない。手や足は全く動かせない。
「おい。起きたか?」
声が聞こえる。
「その顔だと、しっかり走馬燈は見れたようだな」
声の主は目の前に現れた。黒い格好で、俺と同じくらいか。
「しょうがないだろ? 一族を全て葬らないとお前の血が残ってしまう」
「なに?」
後ろでは見覚えのある身体が真っ赤になって倒れていた。
「クソッ。お前は異世界転生者を殺す部隊だな! クソ!」
「クソクソってウンコが好きな小学生か?」
「殺す」
「ふっ。お前みたいなヤツは、三種類いる。
世界の英雄気取りのバカげたヤツか。
頭どこかへ行った犯罪者か。
本当に異世界からの転生者ってやつか」
「…………」
こいつ俺たちのことを知っているのか。
転生者のことは一般的には誰も知らない。
世界の英雄が転生者であることも、知られていないはずだ。
見た目は他の人間と変わらないし、世界で真相を知っているのは数少ない。
そもそも、話したところで誰も信じない。
「まさか、お前は転生者を狙って狩っているエイオー」
「影王な。
後、お前ら普通にこの世界の道理、法律、倫理を守っていないだろ。
現にマツカイサ帝国所有の国有地で、密漁を行っている悪者退治さ。
そして、俺は英雄になるべき人間だ」
「お前も、俺と似たやつだ、、」
転生者は大きな虚勢を張っているが、呂律が回らなくなっていた。
「そうだ。確かにお前を殺すほどではないが、世間では俺みたいに恨みがあるのは多い」
「ぐ……」
「このマツカイサで一番の俺が」
「…………」
瀕死の転生者からは返事がない。
くたばったようだ。
黒い男は、手で瞳を閉じ、頭を掴む。
火上級魔法を出し、死体を荼毘に付していく。
やがて、建物全体が炎に包まれた。
それを確認し、自らの影の中へ戻っていった。
異世界転生。
今まで生きてきた世界とは、全く繋がっていない別の世界に生まれ変わることを指すことが多い。
よくファンタジー世界に設定されるジャンルものの中の一つだ。
主人公は知識や経験というリセットされてない武器を持ち、知らない世界を開拓していく。
この世界(便宜上ホイシャルワールドと定義する)に存在する。
それは、たった一つ二つの例ではない。
古来より、この世界とは人の力では行くことのできない異世界の「凡人」の魂が、ここホイシャルワールドに流れ着き、以前の記憶を持ったまま生まれてくることが度々あった。
長らくそれが噂やオカルトでしかなかったのは、その知恵を発揮せず隠れて生活したか、成長途中に失われてしまったからと推測する。
転生者には、前世の記憶の他に、大きくの二つの特徴がある。
魔法・勉学の習得スピードが尋常ではなく、最終到達点は世界指折りの魔術師となるポテンシャルは持っている(前世で魔法を知らない存在であっても例外は、ほぼない)。
下手をしたら、国家を転覆させるほどの特殊能力(チート能力とも言う)を持つ。
他にも、不特定多数の人物に好かれる。つまり、ハーレムを形成するというもの。
これは、人間関係等の個人に依存する不確定要素が多いので、省略する。
有名どころでは、「世界の英雄」もそうだ。
この人物の評価を述べていくと膨大な分量になるから、これも省略する。
時の権力者は、異世界出身者に対抗する人材育成が急務となった。
世界が、かつてないほどの「平和である世界」の裏で、世界のパワーバランスは動いていた。
「平和という言葉に騙されてはいけない」と師匠の一人が口癖のように言っていた言葉だ。
私が生きてきた物語は、そうした異世界転生者にとっては蛇足の物語に違いない。
(マツカイサ帝国騎士団 元第二隊隊長の手記より)
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