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893の妹は覚悟を決めます  作者: 白李
思春期
6/13

家出少女を保護

「咲夜さま…そちらの女子は?」

「家出中の中学生だ、少しの間だけ保護する」

「お願いします」

また深白は深々と頭を下げた

咲夜の側近である桜田は咲夜と深白の顔を交互に見た


「誘拐じゃない、誤解するな」

「はい!私が自分でついてきました」

「それもそれで問題がありますが…」

咲夜は着替えて来る間に手当てを頼むと桜田に言い残した


「ではえっと…」

「深白でいいです!」

高校生の咲夜より少々年上桜田は中学生の深白にどう接すればいいのか分からないが一応指示通り手当てをすることにした


「…聞いていいのか分かりませんが、これらの傷は何が?」

深白の腕の手当てをしているとき桜田はそう問いかけた


深白は少し困った顔で笑いながら答えた

「父が厳しい人で…私が課題を合格できなかったらこんなふうに…」

教育のレベルではない傷に虐待の2文字を思い浮かべる


「でも兄が庇ってくれてて、これでもマシな方なんです」

深白の安心させるためにした笑顔が逆に桜田の心を締め付けた

親がどんな理由があろうと子供に手をあげてはいけない

しかもこんなに傷が残るほど酷く…


「お前の父親はお前に何の課題を与えている?」

制服から着物へと変わった咲夜が深白に聞いた


「読唇術とか対人術とか武道とか…色々です」

「なるほどな」

桜田が咲夜に目を向けるとなにか考え込む顔をしていた


「桜田、お前にはこいつの本名を教えておいてやる

他言無用だ」

「はい」


「こいつの名は浦 深白だ」



「…!!」

桜田は反射的に目を開いた

浦と言えば我ら珊組の敵対組織であり、なにかと確執のある相手


そこの娘だというのなら深白は早めに手放すか人質に取るべきだ

しかし咲夜は優しい

人質に取ることはまずないだろう


「こいつは中学生には必要とは思えない教育を家庭でされている

しかも追いかけて来ていたやつの人相からしてカタギのものではない


こいつが浦組の娘であることは確実だろう」

「…なら早く行動を起こさなければ!!

幹部会を開き、浦組への対策をするのです!」

「しない」

「何故!!」


「こいつの首をもって浦組に行けば確実に戦争になる

例え戦争にならなくても火種にはなってしまう

そうすれば多くの人間が死ぬ

それだけは避けたい」

桜田はなにかを言おうと口を開いたがしばらくして閉じた

「あなたは私が何を言ってもそうするおつもりなんでしょう」

「よく分かってるじゃないか」

桜田はため息をついた


「深白、一応家にだけ連絡しとけ

誘拐と思われてたら面倒だ

友達の家に泊まるとでも言っておけ」

深白は返事をするとメールを打った

すぐに返信が来たらしい


「咲夜さん、兄が友達で電話に出てほしいって

でないと通報するって…」

深白が携帯を咲夜に渡すとしぶしぶ電話に出た


「はい、電話変わりました」

「へぇー妹と友達ねぇ、お久しぶり珊組若頭さん」

「察するに浦組若頭さんですね?」

桜田の顔色が変わった

走り出す前に一応止めておいたが、万が一は走って貰わなければならない


「若頭の妹を誘拐とはおたくらも学習しないねぇー

小学生のあいつを誘拐した時に学習させたと思っていたんだがなー」

「誘拐ではない本人がついてきただけだ」


「へぇついていったんだー

そんな主張誰が信じると思う?

敵対組織の娘を誘拐すればそれなりにそっちも上手くいくんじゃねぇの?

財政難らしいし、うちに身代金でも要求すればがっぽりよ」

「その財政難にしたのはどこのどいつだ」

「俺ーー!!」

そうだ、組織のものが誘拐をした後浦組は次々と珊組の傘下の組織を回収していった

浦組お得意の暴力と権力によって、それをこいつは悪びれる様子もない


「まあいい、とにかく深白はこちらで預からせてもらう

こんな傷がある少女を家には返せない」

「はーいよー、まあいいよ

こっちも親父の教育止められなくなってきてたしそっちの方が安全だろうしな」

「案外すんなり聞くんだな」

「当たり前だろ、その気になればあいつを理由におたくら完全に潰せるんだから」

「クズが」

「言われ慣れてるよー

じゃあ深白をよろしくねー」

プツッと電話の切れる音がする

携帯を深白に返し、深白の隣の席に乱暴に座る


「お前の兄貴から許可は貰った

当分ここにいていいぞ」

「本当にですか?」

「嘘ついてどうする、あと敬語やめろ

お前は俺の部下じゃない」

はい、…うん?

と疑問をつけながら返事を少したてば慣れるだろう


「あと家の中を自由に動けるわけではないからな

お前は曲がりなりにも浦組の人間でこちらに浦組に恨みを持ってるやつも少なからずいる

桜田に飯とか運ばせるが俺の部屋から出れると思うな」

「大丈夫です、慣れてますそういうの」


「敬語」

「…大丈夫、慣れてるから」

「よし」


その日から深白の珊組での生活が始まった

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