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やはりハシゴだ。そんなことを僕は思った。
考えてもみてほしい。他のどんな手段を用いて「塔」を登れというのか。
ひいお爺様が数万頭の牛や馬を使って塔を倒せないというのならば、倒すという選択肢は僕の中にはない。ない以上、もはや登るしかないのではないか。そして、登る以上、やはりハシゴこそが重要なのだ。
僕は何度も独りでうなずいた。
方向性は間違ってはいない。なんとなく、そんなことを思った。
途中大臣が僕の思考を邪魔した。
「陛下、今年の――でありますが、――で――らしいので、つまるところ――ってほしいのです」
全然頭に入らない。そんな雑事を僕に話してどうするつもりなのか。こいつは王という存在をまるで分かっていない。僕は今全神経を「塔」に集中させているのに、なんでこいつは邪魔をするのだ。
だから僕はいった。
「雑事は任せる。好きにせよ」
王として当然の言葉だ。僕にはやらなければならない偉大な仕事があるのだ。あの頂上に何があるか、その謎を解明しなくてはならないのだ。雑事に構っていられるはずなどないではないか。