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フィリップ・メイシーのドラマティック冒険記  作者: m.gru
『アルバート・アラゴンの檻の城』
1/13

1 俺は冒険家

青い星に眠る未知を追い求める冒険家『フィリップ・メイシー』という名の男がいる。

その求めた未知が偽りだったとしても結果が分かれば未知でなくなる。未知を追い求め世界各国を渡り色々な地をその目で見る。全ての過程がフィリップ・メイシーことフィルにとっては大冒険なのである。


「そう、俺は夢を追い求める冒険家だ!」



‐ 俺は冒険家 ‐



 未知の生物を求め雪山で遭難したことがあった。未知の洞窟を探して遭難したこともあった。砂漠の何処かにあるという城を探した時も当然、遭難したが未知なる城は俺の心の中にあった。そう砂漠のど真ん中でぶっ倒れた時に見たあの城……。きっと限界を乗り越えたものが辿り着ける夢の城だったんだ。


「それを世間一般では蜃気楼と言うんじゃないのか……」

「蜃気楼を見尽くした後だったからあれは蜃気楼じゃない! 俺はもうあの時は蜃気楼を見抜けるまでに成長していたからな!」

「砂漠のど真ん中まで迎えに行ってやった俺を蜃気楼と間違えたのは何処のどいつだ」

「俺さ!」


 いやっほう! とテンションを上げて言えば頭に拳骨を落とされた。

 二週間程前に砂漠から帰還した俺、フィリップ・メイシーは本日やっと病院から退院出来た。脱水症状で死にかけたが生きてたぜ、ラッキー!

 そして退院する俺を迎えに来てくれた相棒、アレックス。お伽話のプリンス並のキラキラ男前。その上、軍人も負かす強者でゴリラ並に握力ハンパ無い。キミは何処の物語からやって来たんだい? と問いたいくらいの超人男だ。

 ある意味、俺の身近にも未知なる存在がいるというわけだ……。


「あ? なんだよ」

「いや、今日も横顔が眩しいなぁと思って」

「テカってるって? ぶん殴られてぇのか?」

「お前に殴られたら首がもげるよ」


記念に家の天井に吊るしてやるよ、とアレックスが笑う。ホント、シャレにならないから。素手で熊を倒す男に殴られたら本当にもげちゃうから。

 アレックスの運転する助手席に座ってぼんやりと窓の外を眺めた。美味しい物が食べたい。ガッツリと濃い物が。


「アレックス、チキン買って帰ろう」

「胃が痛ぇって後で泣くだろ」

「泣かないから! お願い!」

「じゃあ、チキンか冒険かどっちか諦めろ」

「オーケー。チキンを諦めよう」


 クソが、とアレックスが舌打ちをした。

 アレックスは俺の相棒ではあるが、俺の冒険が何よりも嫌いだ。俺が冒険に旅立とうとするといつも怒る。物凄い剣幕で怒るが結局は折れて大体は付いて来てくれる。だから相棒だ。

 ただ前回の砂漠はなかなか折れてくれなかった。ダメの一点張り。仕方がなく俺は諦めた振りをして一人で出掛けたんだが……。いやぁ、死にかけたね。砂漠まで迎えに来てくれたアレックス、マジで良い奴!


「はー、砂漠は凄かったなぁ」

「……」

「次、何処行く?」

「行かねぇよ!」

「ふっふっふっ、実はもう決まってるんだなー」

「黙ってろ」

「次はー、秘境の地にあると言われているらしい黄金の泉を探しに行くぞ!」

「無い。黙れ」

「黄金の泉って何で出来てると思う? 俺はハチミツかなーと思うんだけど」

「黙れ」

「もしくは、金の岩が敷き詰められた泉でキラキラと金色に輝いてるのかもしれない!」

「黙れ」

「それかー」

「黙れ」

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