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車屋異世界転生記  作者: ライ蔵
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一章 元オッサン異世界で既に餌付けされていた様です。


 後でエメリッヒにご褒美のリーザの腹を揉みしだく権利を与えてやるかと家に戻りながら考えている最中に頭の中で声が響いた。


(ジュエル、これから我は念話で話をしようと思う。我が喋れることは他に分からない方が良さそうだ。)


リーザの声が聞こえ俺はビックリするが当然そちらの方が良いと思い了承する。


 「ですね。私は通常通り話し掛けても大丈夫ですか?」

(そうだな。大丈夫だろう。しかし我が離れてる場所で我が必要になった時などには念話で話せ。我を想像しながら語り掛ければ通じるはずだ。)


 「なるほどですね、分かりました。」


 俺はそうリーザに答え、家の中に続くドアを開け家の中に入るといい匂いが漂ってくる。


 今日はセリーヌさんの得意料理であるシチューだな。


 匂いに吊られ俺は台所に行くと金髪のエプロン姿の女性が鍋の中身をゆっくりとかき混ぜていた。


 「ん、ジュエルちゃんか。もう少しすれば夕御飯が出来るからねって...なにその猫、可愛い!」


 俺とリーザに気づいたセリーヌさんが素早く側に近付き顔を近付けて来る。

 おぉう、やっぱりセリーヌさんは美人だな!

 緩く少し巻いている少々癖毛の金髪、エメラルドのような翠色で大きめのパッチリ瞳、鼻筋が通り整っている顔。


 クソ、今の俺が成人男性なら「嫁に来ないか?」って言ってしまいそうだ!

 いや、イカンイカン。

 俺は馬鹿な妄想を振り切りセリーヌさんに答える。


 「リーザです!とと様の了承は得たのでもう私達の家族です。!」


 俺がとびきりの笑顔で答えるとセリーヌさんが抱き付いてきた。


 い、いた痛い..くっ苦しい、力が強いなこの人。しかもリーザも俺とセリーヌさんに潰されて変な叫び声を出してるし。


 「セリーヌさん、痛い、痛いです!」


 必死にそう伝えると直ぐに気づいたらしく離してくれた。


 「ごめんなさい!...あまりにも可愛かったからつい...」


 言ってくれればリーザを渡したのになって思っていると頭の中でリーザの声が聞こえる。


(我は家の中を見て回る。潰されるのはもう懲りた。用がある時に呼べ。)


 そう言い俺の腕からするりと降り、台所から出ていく。


 「あら、リーザが何処かに行っちゃったね。さわりたかったな~....」


 「大丈夫です!夕食の後でいっぱいさわれますよ。」


 俺がそう言うとセリーヌさんも「そうね。」と笑顔で言いながら食事の準備に戻る。

 俺もセリーヌさんを手伝うか!腹も減ってきたしな。


 セリーヌさんを手伝い、食器を出したりしているとオヤジ様と弟子2人が家に帰って来る。


 エメリッヒとジャンだ。

 この2人はまだ結婚していなくて夕食を俺たちと一緒に食べていた。


 セリーヌさんがオヤジ様達が帰ってきた事を確認し、食卓に食事の準備をする。


 「ジュエルちゃん、もう座ってていいよ。お手伝いありがとう。」


 そう言われ俺ははにかみながら椅子に座り、リーザを呼ぶ。

 リーザも食卓に表れ俺の膝の上に乗り興味深いそうに食卓の上を眺めている。

 オヤジ様達も席に着き、セリーヌさんがシチューを器に注いでいく。


 「さあ、今日の夕食はシチューですよ!沢山食べなさい。あっリーザのはこれね。」


 セリーヌさんがそう言いながら床にリーザ用らしきシチューの入った小皿を置く。

 そして皆で食事の前の言葉を言う。

 いただきます。のようなものだ。


 「神の恵みに感謝します。」


 皆でそう言い食事を始める。しかし神かアイツに感謝したくねえな、アホだし。いやリーザも一応神だったな。よし俺はリーザに感謝しとこう。

 俺も食べ始め、シチューを口に入れていく。うん、やっぱりうまいわセリーヌさんのシチュー。


 食事が進み俺がパンをかじってるとリーザが膝に乗ってきた。床の皿を見ると綺麗に無くなっていたので気に入ったらしい。

 始めは熱かったらしく皿の周りをグルグル回っていたが。流石は猫だ。


 もう膝の上で丸くなってる。完璧に猫になってるなリーザ...





 食事が終わり食器の洗い物の手伝いが終わってからダラダラしているとオヤジ様からお呼びの声が掛かる。

 オヤジ様の居るリビングに行くとオヤジ様とエメリッヒ、そしてエメリッヒに腹を揉みしだかれてるリーザがいた。

 ジャンはもう帰ったらしい。

 リーザは全てを諦めたような無表情で腹をさらけ出し揉まれている。


 すまん、リーザ。だがその内慣れるはずだ、たぶん。


 「これをやろう。リーザの首輪だ。」


 赤く染められた革製で鈴の着いた首輪渡される。

 首輪にはリーザと刻まれた鈍く光る銀色のプレートが付いている。


 「その首輪、凄いんだよ。ダグラスさんが作ったんだけどそのプレートがミスリルと魔石を合成した物で出来てる魔導具なんだよね。急にリーザが居なくなったりしたらジュエルちゃんが悲しむからってその首輪で居場所が分かるようになっているんだよ。」


 エメリッヒがそう言いながらまだ腹を揉んでいる。


 「ダグラスも親バカよね~、まあ気持ちは判るけどね!」


 セリーヌさんもリビングに入ってきてそうオヤジ様に言いながらエメリッヒと競うようにリーザの腹を揉み出した。


 「とと様、ありがとうございます!」


 そう答えるとオヤジ様が穏やかな笑顔で頷く。


 ひっくり返されて二人に好き勝手にされている死んだ目をしたリーザに首輪を付けてやる。

 その時に(そろそろ我を助けろ。)と懇願するようにリーザから念話が来たが(無理だ、今日は諦めてくれ。)と念じると伝わったらしく絶望したという顔をする。

 すまね、大丈夫だ。死なねえからたぶん。


 「そろそろリーザをジュエルに返してやれ。」


 オヤジ様がエメリッヒとセリーヌさんにそう言葉を投げると二人共残念そうにリーザを解放する。解放されたリーザが直ぐに俺の後ろに隠れエメリッヒとセリーヌさんを睨んでいる。


 リーザ...逆にそれ可愛いからな。


 「おっと、もうこんな時間だ。僕はそろそろ自分の家に帰りますね。」


 「じゃあ、私も帰ろっと!じゃあねジュエルちゃん、ダグラス。お休みなさい。」


 「お休みなさい。エメリッヒさん、セリーヌさん。」


 「気を付けて帰れよ、二人共。」


 俺とオヤジ様は家に帰る二人を送り出す。

 玄関を出て二人に手を振ると二人が振り替えしてくれる。

 まぁ、エメリッヒの家は知らないがセリーヌさんは家がお隣だからな。

 セリーヌさんは独身で隣の雑貨屋を営んでる。自分の店が終わった後、オヤジ様と俺しか居なかった俺達の家の世話をしてくれている。


 ありがたい人だよな。


 二人共まんざらでも無さそうなのだが結婚はしないようだ。

 今生の俺の母親はどうも俺の記憶には無いのでおそらく早くに亡くなったのだろう、オヤジ様が話題に出すこともないので話を聞いた記憶もない。どうせならば二人は結婚しても良いと思うが。

 俺が居るからか?でも俺の意識が蘇る前でも俺はセリーヌさんになついている。セリーヌさんが母さんだったらなっとまで思っているしな。俺の胃袋もがっちりセリーヌさんに掴まれてるし機会があればオヤジ様とくっつけられるかやってみるか。


 家に戻るとオヤジ様が風呂の準備をしている。

 とは言っても湯船に水は張っているからお湯を沸かす魔導具を起動させるだけだがな。


 普通の家庭には高価だからあまり無いらしいが流石は魔導具職人の家、当たり前の如くにある。


 俺にとってはありがたい。やはり清潔で居たいからな。オヤジ様も職人で仕事中に汗だくになるからだろうが毎日風呂に入っている。


 「リーザもお風呂に入る?」


 足元にいるアメショーに聞くと露骨に嫌そうな顔をして走り去った。

 完璧に猫になってるなリーザ...


 リビングでゴロゴロしているとオヤジ様が呼ぶ声が聞こえる。

 風呂が沸いたらしいな。


 俺はオヤジ様が呼ぶ風呂場に行き、オヤジ様と共に服を脱ぐ。

 女の子の服って脱ぎにくいな、と思いながら脱ぐのに手間取っているとオヤジ様が手伝ってくれた。

 風呂場に入り、体を洗い終わった後オヤジ様と共に湯船に浸かる。


 ふぅ、やっぱり風呂は命の洗濯場だぜ!


 そう思いながら浸かりオヤジ様も同じような事を考えているらしく気の抜けた顔をしている。

 おそらく、オヤジ様は30歳位だ。セリーヌさんは25歳位と俺の記憶にあるからマジで結婚すればいいのにな。

 オヤジ様も渋いオジサマでイケメンなのに。

 オヤジ様は基本無口であまり喋らない。

 俺との会話もあまり無いがオヤジ様の愛情は行動の端々から感じるから不器用な人なのは判る。

 セリーヌさんとオヤジ様はどうも俺が産まれる前から付き合いはあるらしいから後は切っ掛けだろうな。


 「そろそろ出るか。」


 オヤジ様がそう言い湯船から出る。

 俺も今考えていた事を止めオヤジ様に付いて出る。

 まぁ、オヤジ様とセリーヌさんの事は追々時間が決着を着けるだろう。結局は本人同士の問題だからな。

 お湯で湯気の立っている体をタオルで拭き、寝間着を着ながらそう思う。

 リビングでリーザを撫でながらこの世界の絵本を読んでいるとウトウトしてきた。

 今の俺はやっぱりお子様だな。直ぐに眠くなる。

 ウトウトしている俺をオヤジ様が抱え上げ移動を始める。

 俺の部屋のベットまで抱えられベットで俺を降ろすと布団を掛けてくれる。

 すると俺の胸の辺りが重くなる。

 4本足に乗られる独特な圧迫感がある。

 リーザ...そこは重いんですがね。


 オヤジ様が布団を開けリーザを布団の中に押し込む。

 俺の頭を撫でオヤジ様が言う。


 「おやすみジュエル。」


 そうオヤジ様が言い俺の部屋から出ていく音が聞こえた所で俺の意識は途絶えた。




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