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車屋異世界転生記  作者: ライ蔵
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三章 銀色の乙女、学園の試験に落ちた理由がわかる



 コリオウス魔術学園へ私は入学を果たし今授業を受けている最中だ。


 しかし何故ジュエルちゃんが試験に落ちたのだろうか?


 ジュエルちゃんはリーンベルの学校でも私よりも勉強が出来ていたし、作る魔導具もダグラスおじさんが舌を巻く程の物を作っているのに...


 私にはジュエルちゃんが試験に落ちる理由が分からなかった。


 お昼になり、今日は外が晴れていたので校庭にあるベンチでジュエルちゃんが作ってくれたお弁当を食べていた。


 うん、美味しい!!凄いな~、ジュエルちゃんは何でもできて...いや、これはジュエルちゃんの努力の証だ。


 ジュエルちゃんは一時期[女を磨いて人生スーパーハードからベリーハードにするのです!!]とよくわからないことを言ってセリーヌおばさんから料理やお裁縫などを一所懸命習っていたもんね。


 ジュエルちゃんの作った美味しいお弁当を食べていると何処からか話し声が聞こえる。


 「おい、あの話聞いたか!?」


 「ああ、聞いたぞ!!入学試験の不正の事だろ!!」


 「おう、それそれ!!どうやらあれは特殊魔法科の魔導具学部だったらしいぞ!!」


 え!?魔導具学部の試験で不正!?


 私は噂話をしている生徒の方に意識を向ける。


 「入試の試験官だった先生から聞いたんだが、学力試験はトップ、その上魔力測定もぶっちぎりのトップだったらしいぜ!!」


 「マジかよ!!魔導具学部で魔力測定トップとかあり得ねえだろ!!しかし魔力測定がぶっちぎりで落とされるとかどんな不正をやったんだ!?」


 「聞いた話だがどうやら有り得ない魔導具を入学試験で提出したらしいぜ!」


 「有り得ないってどんなのよ!?」


 「ほら、最近貴族の間で流行ってる魔導ケトルって魔導具があるだろう!?あれを提出したらしいぜ!!」


 「え!?魔導ケトルってあのバカみたいに高いジュエル級の最新魔導具か!?」


 「それそれ!!...ウチのパパも欲しがってたが抽選に外れてたみたいで買えなくて悔しがってたぜ...、ってこれは関係ない話だな!!とにかく魔導ケトルを見た校長が「誰だ!!!自分で魔導具を作らずジュエル級の職人を侮辱した者は!!!こんなことをする者にコリオウス魔術学園の門を通す訳にはいかん!!!」って激怒したらしいぜ!!!」


 「マジかよ!!!バカだなソイツ(笑)!!!そんなことしたら直ぐにバレるに決まってるだろ!!!」


 大笑いしながら喋る生徒達の話を聞き謎が全て解けた。


 ジュエルちゃん、勘違いされて落とされてる....。


 ジュエルちゃんが試験に受からなかった理由が判り、午後の授業が終わった後急いでジュエルちゃんが居るラザエフ商会へと走った。




 私達は今、ラザエフ商会の応接室でトルステンさんを交えながらルリシスちゃんから私が入学試験を落とされた理由を聞いた所だ。


 「....と言う風にその生徒たちは言っていました!!」


 話を聞きトルステンさんが手をポンと叩く。


 「なるほど!!それで学校の先生が魔導ケトルを持って来て「これはこちらの商品か?」って聞いてきたのですね!!それで私がラザエフ商会のリュドレイク支店以外では今は取り扱いが有りません。と言うと怪訝そうな顔をした訳ですな!!」


 なるほど、なるほどと納得した様子で頷くトルステンさん。


 「校長先生に魔導ケトルはジュエルちゃんが作った物だと直訴に行こうよ!!」


 真剣な顔のルリシスちゃんが私にそう言いながら机をバンッと叩く。


 うーん、なるほど。勘違いですか...


 しかし今さら覆すことは無理でしょうね。先生方の判断で私は落とされたのでしょうから。

 大人に自分の判断が間違っていることを直ぐに認めさせるのは難しいですからね。


 「落とされた理由が判ってスッキリしました。ありがとうございます、ルリシスちゃん!!しかし私はやはり半年後にもう一度試験を受けますよ。」


 私の言葉にルリシスちゃんが驚き、詰め寄りながら捲し立てて来る。


 「なんで!?ジュエルちゃんは勘違いで落とされたんだよ!?」


 「そうですね...恐らくそれを先生方に指摘しても覆らないと思うのですよね。先生方も教える者としての矜持があるでしょうから。」


 「そんな...勘違いされたままなんてジュエルちゃんが可哀想だよ!!あんなに学校の生徒からジュエルちゃんが馬鹿にされたりしてたのに!!私、私、我慢できないよ!!!...」


 自分の膝を掴みながら小刻みに体を震わせ泣いてくれるルリシスちゃんを私はそっと抱き締める。


 「私は大丈夫です。一番大切な人達に信じて貰えているのですから...私は幸せ者ですね!」


 「ジュエルちゃん!!!」


 ルリシスちゃんが私に力強く抱き返してきて大粒の涙を流している。


 ごめんなさい、ルリシスちゃん。もうこのような事にならないように半年後の試験では先生方を納得させる様な物を作り上げますから...


 ルリシスちゃんが落ち着くまで暫し黙ったまま待ち、後期試験までの話をする。


 「私は後期試験に向け新作の魔導機を作ります!!」


 「魔導機って前に作った魔導ロータリーエンジンみたいなの?」


 「うーん、まあ近い物ですね!!トルステンさん、午前中は職人の仕事をしますが午後は開発に時間を回しても良いですか?」


 トルステンさんが頷き答える。


 「はい、良いですとも!!ぜひ私も新作の魔導機を見てみたい!!魔導車は製作過程を見られなかったので今度こそは見させてもらいますよ!!」


 「ルリシスちゃんは魔導具の制御関係の本をお願いします!!」


 「うん、わかったよ!!」


 「私も一所懸命に御手伝いさせてもらいます!!」


 決まりましたね!!これから忙しくなりますよ!!





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