三章 銀色の乙女、両親から真実を聞かされる
今私とはは様は買い物を済ませ公園のベンチに腰掛けている。
服などを一緒に見て回ったのだがはは様が買ったのはとと様とレーベの服で私が買ったのはシルビアの服だった。
「うーん、久し振りに羽根を伸ばして買い物出来る!って思ってたけれど結局買ったものは自分の物以外になっちゃったね~。」
両手を伸ばしながら伸びをするような行動をしながらはは様が言う。
「ですね!私もシルビアがあまり服を持っていないのでシルビアの服ばかりになってしまいました。」
出店で買ったオレンジジュースを飲みながらゆったりとしていると少し離れた場所で何やら見覚えのある二人が真剣な顔で話をしている。
最近よく一緒に居る所をよく見ますが...
「あれは...ルリシスちゃんとアランさんですね。」
「あれ?本当だ!なにやら真剣な話をしてるっぽいけれど...まさか!?」
はは様がルリシスちゃんとアランさんの様子を見ながら少し興奮していますが、...もしかしてあの二人は付き合っているのでしょうか!?
「はは様、もしかしてあの二人は...」
「うん、たぶんそんな気がする!!」
はは様が私の言葉に頷く。
なるほど、ではルリシスちゃんの親友である私は二人の恋を応援しないとね!!
ルリシスちゃんも私と一緒に魔法学園に入学する事になっている。
安心して下さい!アランさん!!私がきっちりとルリシスちゃんに寄ってくる害虫を排除しますからね。
私とはは様はルリシスちゃん達に見つかる前にいそいそと家へと帰ることにした。
家へ返り着き、お留守番をしてくれていたシルビアに買い物をした服を渡すと大いに喜んでくれました。
はは様がする家事の手伝いをしているとあっという間に時間が過ぎ、夕食が終わります。
みんなでゆったりとしていると、ヴェルディットさんからとと様とはは様が私に話があるから書斎に来てくれと伝えくれた。
書斎のドアの前に立ちノックすると、とと様とはは様の返事が帰ってきたので扉を開け書斎へと入る。
そこには真剣な顔をしたとと様と少し悲しそうな顔をしたはは様が居ました。
「ジュエル...お前がアルテリアに行く前に話しておかなければならない事がある。」
...話したい事とは何でしょうか?
「はい、どのようなことでしょうか?」
私がそう言うととと様が少し寂しげな表情をして喋り始めた。
「お前は何があっても俺達二人の子供だと言うことは知っておいてくれ。...実はジュエル、お前は俺の子ではない!」
その言葉を聞き私は一瞬戸惑う。
しかし、これで今まで分からなかった事が分かってきた。
そう、私はとと様から今までに一度も産みの母親の事を聞いたことが無かったのだ。
「....私の産みの両親はこの世にはもういないのですか?」
私の問いかけにとと様はゆっくりと首を左右に振り
「分からない...お前がまだ赤ん坊の時に当時俺が住んでいた家の玄関先に置かれていたのだ...。」
私の頬に涙が流れ始める。
何故両親は私がアルテリア国に旅立つこのタイミングで真実を言ったのだろう?
私はもうこの家には戻ってはいけないのだろうか。
「とと様、はは様。私はもうこの家に居てはいけないのでしょうか...わ、わたしは...」
泣き始めそれ以上言葉が出なくなってしまっている私をとと様が優しく抱いてくれ、はは様は優しく頭を撫でてくれる。
「馬鹿者!前もってお前は何があっても俺達二人の子供だと言っただろうが!!俺達の子供であるお前がこの家に居て悪い訳がないだろう!」
確かに私は二人の間違いのない子供であるレーベと何か差をつけられていた訳でも無く今まで平等だった。
はは様が私の目線が合うまで体を屈め「ジュエルちゃんは誰がなんと言おうと私たちの子!本当の親が名乗り出ても渡したりなんてしないんだから...」と言い、私も涙で前がぼやける視線ではは様を見つめるとはは様の瞳から大粒の涙が流れ出している。
「私はとと様とはは様の子です!他の誰でもないあなた達の子です!!」
涙を流しながらそう言うと二人が強く抱き締めてくれる。
暫く時間が経ち、とと様が私が実子では無い事を告げた理由を語ってくれた。
本来は私が成人してから言うつもりだったらしいのだが、私がアルテリア国の魔法学園に入学する事になり言うタイミングは今しか無いと思ったそうだ。
今の私は15歳でこの世界での成人は16歳だ。
もう話をしても落ち着いて判断が出来るだろう歳だ、ならば早い方がいいとの判断だったと聞いた。
本当はアルテリア国に家族総出で引っ越そうかとも思ったらしいのだがこの国の色んな高い地位の人達から止められたそうだ。
私も両親とレーベはリーンベルに残って欲しい。
私はリーンベルが好きだ。
アルテリアにはおそらくそんなに長くは居ないだろう。
だいたい3年もすれば皆卒業するらしい。
卒業すればリーンベルに帰るつもりでいる。
私の帰るべき場所に暖かい家族が居る。
こんなに安心できることは無い。
これは私の我儘なのだが両親にそう伝えると頷いて「そうか。」「そうね。」と返してくれて納得してくれた。
私が誰の子であろうと私の眼前にいる優しい両親が親である事には代わり無い。
私は家族の為に出来る限りの事はしよう、そう心に誓った。