三章 銀色の乙女の目覚め
眩い朝日に顔を照らされた私は眠りから眼が覚める。
体を起こし廻りを見渡すと長い銀色の髪を持つエルフ特有の尖った長い耳を持った美しい女性が話し掛けて来た。
「ジュエル、おはようございます。良く眠れましたか?」
「シルビアさん、おはようございます。良く眠れましたよ!」
シルビアに朝の挨拶をした後、寝間着から普段着に着替えて淹れて貰ったお茶を飲み始める。
シルビアは私の長い髪を櫛でといでくれた後、ポニーテールに髪を纏めてくれる。
「やはり美しいですね!ジュエルの髪は。」
私は苦笑しながら答える。
「本当は短く切りたいのですけどね...、シルビアさんの銀髪の方が私は綺麗だと思うのですが。明るい感じの銀髪ですしね。」
「ジュエル、またそんなことを言って...あなたの髪はこれ以上短くは出来ませんし私もさせません!!....私も自分の髪が銀髪で良かったと思っています。」
エストワールに潜在能力を解放して貰ったシルビアの髪は薄緑から少し白っぽい明るい銀髪に変化した。
魔力が安定して使えるようになったようで前よりも魔法にムラが無くなったらしく威力も上がったと言っていた。
その上、回復魔法も使えるようになったようで私のカモフラージュになれると喜んでいた。
私は前世の思考を封印することで体の成長も緩やかだが再び始まり身長も150㎝を無事に越えた。
体の凹凸も徐々に出始めたのでこれから女性らしい体つきになっていくでしょう。
前世の私が深層で眠りについているせいなのか、私の前世の記憶はただ知っている知識のような感覚で夢のような彩色の少ない映像を見ている感覚で薄くあまり懐かしいと言う感情を感じなくなってきている。
ただ前世の私が好きだった物、好んだ物は今の私にも色濃く引き継がれているようでそれらの記憶には私にも強烈な彩色を残し私の好みとして残っている。
私は15歳になりもっと魔導具の勉強をするためにアルテリア国にある魔術学園に入学することにした。
当然シルビアは一緒に行くのですが何故かヴェルディットさんも一緒にアルテリア国に行くとの事。
どうやら魔術学園があるアルテリアの首都にヴェルディッドさんの家があるらしく私が学園に入学するのを期に一度家に帰る様です。
アルテリア国に旅立つ日が近づいているのだが旅立ちの日が近づくに連れはは様の元気が無くなっていく。
「今日から出発の日まで私はなるべくはは様のお部屋にいますね。出発までこの部屋はシルビアさんが自由に使って下さい。」
「...わかりました。セリーヌ様を元気付けて下さい。」
私とシルビアは自分達の部屋から出て食堂に移動する。
食堂に着くと少し暗い顔をしているはは様が朝食の準備をしている所だった。
「おはようございます、はは様。私もお手伝いしますね。」
声を掛けると少し暗い顔からいつも私に見せてくれる笑顔に変わったはは様が挨拶をかえしてくれる。
「おはよう!ジュエルちゃん。」
朝食が終わり、後片付けの後にはは様から声を掛けられる。
「ジュエルちゃん、今日は何か予定はあるの?」
「いえ、出発の準備も終わってますから今日からはゆっくりしようと予定は空けてます。」
「そっか~、じゃあ今日は私と一緒に外へ出ましょうか!」
「はい、大丈夫です。行きましょう!!」
家の掃除が終わった後、外に出る準備をする。
いつものようにローブを羽織り、フードを深めに被る。
青い羽根も勿論ローブに着けている。
よし!準備完了ですね!!
玄関で待っているはは様の元へ急いで行くとシルビアとはは様が話をしている最中でした。
「シルビア、後の家の事はお任せするね!」
「はい、お任せください!楽しんで来て下さい。」
私が玄関に来たことに二人が気付くとはは様は玄関を開きながら私に空いている左手を差し出しながら言う。
「行こうか!ジュエルちゃん!!」
「はい、はは様!!」
私ははは様の左手を握り返事をした。
「いってらっしゃいませ。」
シルビアに見送られながら久し振りのはは様と二人きりの外出が始まった。