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車屋異世界転生記  作者: ライ蔵
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閑話 リーザ様の朝帰り


 我輩はリーザである。


 今の主達がダグラスの元に旅立ち数日が過ぎた。


 そろそろアルセンスに着く頃だろうが、呼ばれなかったと言うことは順調な旅なのだろう。


 それにセリーヌに念話であの青い羽根を主に持っていかせるように仕向けた。


 あの羽根があれば主は魔法が使える。


 多少の事は大丈夫だろう。


 しかし困ったことだ。主は自分の魔力がどれ程のものかよく分かっていない。


 我よりも強力な魔力を秘めていると言うのに...。



 ルリシスの家での生活は概ね良好だ。


 グルンを除いてな。


 アイツは猫が好きらしくさわってくるのはいいが力が強すぎる。

 我以外の猫ではアイツに撫でられるだけで骨が折れて死んでしまうぞ!


 ルリシスとルナリスに隠れて我に触れてくるが直ぐに二人にバレて怒られている。


 まあ仕方がないか、どうやらアイツは選定の神からバーサーカーのギフトを貰ってしまっているようだからな。


 あのギフト持ちは大体孤独な人生を送る者が多いらしいのだが、アイツは幸せなことに連れ合いを持て子供まで作れた。


 その上、己の力に溺れることなくこの町の警備兵長をやり部下にも慕われてるようだ。


 そう言えばグルンが最近、リーンベルの畑が夜に荒らされていると言っていたな。


 我の縄張りを汚すなど勇気のある奴だ...。


 今夜からでも見廻りを始めるか。




 晩御飯を食べ終わり夜の見廻りの為に睡眠を取ろうとするのだがルリシスが離してくれない。


 どうやら主がいなくて寂しいようだな。


 では我の腹でも揉むがよい、寂しさを我が忘れさせてくれるわ!





 夜も更けた。皆よく眠っているようだな。


 これならば我が外に出てもバレないだろう。


 空間移動で我は外に出て見廻りを開始する。


 ふむ、町中は何も異常は無さそうだな、郊外の方まで足を伸ばすか。


 郊外の畑まで来たのだが無頼の者は...いるな...



 近くの茂みの中から微かな気配がする。


 よし、念話を飛ばしてみるか。


 (貴様、何者だ!!なにゆえ我が縄張りを荒らす!!)


 (ほう!?念話が使えるのならばお前も唯の猫ではあるまい!)


 茂みからのそりと狼のような者が出てくる。


 (我は神獣である!元々ここは俺が眠る土地であるぞ!!お前の方こそ何者で、何故ここを縄張りにしている!!)


 ほう、コイツは神獣か!!!最近眠りから覚めたのだろうな。


 (我は主神エストワール様の部下、リーザである。この土地に今の我の主が住んでいるため我がこの土地を守護している。お前が我らを害する気がないのならば争いを起こす気は無い!!)


 我の話を聞き神獣がピクリと身を動かし反応する。


 (なに!?リーザと言うとあのエストワール様の両足とまで言われている使いっぱしりのリーザ様か!?)


 (...............滅ぼすぞ。)


 眼に魔力を溜め目の前の失礼な獣に神の鉄槌を下す準備を始める。


 (まて、待ってくれ!!俺はあんたと争うつもりは無い!!見逃してくれるのならばあんたの部下にでも何でもなってやる!!)


 神獣が大地の上に仰向けになり腹をさらけ出して服従のポーズを取っている。


 (争うつもりがないのならば見逃してやる!!この土地に住み続けるのならば大人しくしておくことだな。)


 ここまで言っておけばもう畑を荒らしたり人間に危害を及ぼしたりはしないだろう。


 そう思いながらルリシスの家の方向へと歩き出す。



 ルリシスの家の目の前までついたのだがあの神獣の気配がまだ周囲からしている。


 (何のようだ!!我を怒らせたいのか!?)


 我の念話を聞き神獣が姿を現す。


 (あんたについていったほうが面白い事がありそうだ。俺をあんたの部下にしてくれ!!)


 (....それを決める我ではなく今の主だ。主は今この町にはいないが帰ってきてから尋ねればいい。)


 (あんたの主は俺を雇ってくれそうなのか?)



 我は空を見上げいままで主が言っていたことを思い出す。



 (いや、無理じゃないか?犬は嫌いだと言っていたぞ。)


 目の前の神獣がその言葉を受け衝撃を受けたような顔になる。


 (マジかよ!!それより俺は犬では無く狼...)

 (対して変わらんだろう。)


 間髪入れずにそう言うと神獣が落ち込んでいる。何故か昔の我を見ているような気分になってきたぞ。


 (ま、まあ、おまえの見た目としゃべり方を変えれば受け入れてもらえるかもな...)


そう言うと神獣の瞳が輝きだし尻尾をパタパタと振りながら(じゃあ、あんたがどういう風にやればいいか教えてくれよ!!!)と少し気分が高揚している様子で喋っている。


 ...仕方が無い。こうなってはコイツは付き纏って離れないだろう。


 (では、我の言う通りにやってもらうまず....)


 神獣の調教は朝方まで続き気付くとルリシスの家の玄関が開かれる。



 「あれ!?リーザちゃんお外に出てたの!?もう!!急に居なくなってたから心配したんだよ!!」


 ルリシスに抱えられ抱き締められる。


「....えーと?この子犬は...リーザちゃんのお友達かな?」


 幼い子犬の姿に変化している神獣がルリシスの足にしなだれている。




 ...コイツやりおる....。




 「おかーさーん!!この子....」



 ふむ、後はなるようになるだろう。我はまた寝ることにするか。



 ...一応言い訳を考えるか....




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