一章 覚悟を決めた男
短いのでもう一本、投下します。
ミスで投下しちゃったのでもう一本は0時に投下します。
すみません。
もうすぐでアルセンスの封鎖がようやく終わるようだ。
俺は今ギルド長から呼び出されている。
既に何度も呼び出されているのでおそらくは今までと同じ話だろう。
「それで用と言うのはなダグラス君、何度も言うが君に冒険者ギルドへ復帰してほしいのだよ。」
「...それは無理でしょう、ギルド長。自分は辞めてから長期間経っています。現役の時のような動きは出来ないでしょう。それに今は娘も小さく、危険が付き纏う事はなるべくしたくはない。」
ギルド長は俺の変わらぬ態度を見て一度深いため息をつく。
「ダグラス君の兵士と現役冒険者との訓練を見たが現役時代と変わらない動きが出来ていたじゃないか!それにヴェルディットさんが引退すると言ってきた。あの人に今辞められるとこの地域のギルドは弱体化してしまうのだ。だからこそ右足の治った君に...」
「ギルド長、自分は何を言われても戻る気はありませんよ!」
ギルド長は俯きもう一度深いため息をついた後、顔を上げ俺に言う。
「...分かった、今回は引こう。しかしもうしばらく考えてみてくれ...」
ギルド長に頭を下げ部屋を後にする。
今の俺にはジュエルがいる、現役の時とは違い守らなければ行けない物も沢山ある。ヴェルディットさんが辞め、熟練の人材が抜けてしまい頭を抱え込んでいるギルド長には悪いが冒険者に戻る訳にはいかない。
そんな事を考えながら借家に帰りつく。
「お帰りなさい、ダグラス!!ギルド長の呼び出しは何だったの?」
セリーヌが出迎えてくれ、ギルド長の呼び出しについて聞かれる。
「ああ、復帰の要請だったのだが断った。」
「そう...。」
「ジュエルはもう寝てるのか?」
「うん、リーンベルに帰る準備をはりきって手伝ってくれたから疲れちゃったみたい。」
玄関からリビングにセリーヌと一緒に移動しながら会話をする。
「そう言えばシルバーソーンまで持ってきていたんだな。そのお陰でジュエルが魔力切れの時にシルバーソーンに溜めていた魔力をジュエルに補給できて良かったのだが。」
「うん...シルバーソーンを見たときに何となく必要になるかもって思って。」
椅子に腰掛けるとセリーヌがお茶を入れてくれ、カップから湯気が立ち上っている。
お茶を一口飲み、気になっていたことを思いだしセリーヌに聞く。
「...ヴァルダーの飾り羽根もジュエルに持たせていたな。あれはどうしてなんだ?」
ジュエルのローブに青い色の羽根を付けていた事をセリーヌに尋ねる。
「...実は不思議な事があったの。シルバーソーンや必要な荷物を倉庫から取り出した時に急に頭の中で声が聞こえたの。「我の羽根を娘に持たせろ。」ってね。信じてくれる?」
自分がおかしな事を言っていると思っているのか心配そうな顔で俺に問い掛けてくる。
「...信じるさ。しかしやはりあの子は...」
俺はジュエルを育てていて気になっていた事をセリーヌに伝える。
「...そう。ジュエルちゃんはダグラスが思っている通りヴァルダーの生まれ変わりかもしれないね。私もダグラスが思っている通りの気がするもの!」
真剣な顔つきで頷いて俺の予想を肯定してくれた。
「なんにせよ、あの子は俺の子だ!いやもう少しで二人の子だな。」
「うん!...でもジュエルちゃんに拒否されたら....。」
セリーヌが拒否されたときの事を考えてしまったらしく悲しげな表情になる。
そんな不安に際悩むセリーヌに不安を払拭させるように抱き寄せる。
「大丈夫さ、あの子は受け入れてくれる。心配することなど何もないさ。」
「...ええ、そうね。ジュエルちゃんは優しい子だものね...。」
セリーヌの柔らかな髪をゆっくりと撫でお互いの不安をかき消すように優しく口付けをした。
「リーンベルに戻ってから一緒にジュエルに話をしよう。俺達の今後の話を....」