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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

式神召喚シリーズ

やさしい死神

作者: ソルト

 影山美月は少しおかしなしゃべり方をするお役所勤めの女の子である、

だがその裏の顔は「死神」と畏れられる凄腕のスパイ兼暗殺者であった。

今日も彼女は任務に向かう。


魔法で式神召還したら魔法少女がやってきたのスピンオフ作品


残酷な描写があります。


「はうううううっ、眠いぃ。」


あくびをしながら背筋を伸ばす、彼女の出勤時日常的に見られる光景に、

周りのものはもはや見慣れた光景なのか見向きもしない。


「おはようごさいますぅ。」


オフィスに入るときの挨拶も変わり映えのしないものなのか同じような挨拶の応酬となる。


デスクに座って、優先順位の低い書類を繰っていると、

背後に気配が立った、振り返りもせずに返事をする。


「なんですぅ、室長~」


「仕事だ・・・」


そして机の上に赤い封筒が無造作に置かれる。


「{赤紙}かぁ~」


その封筒を手にしてため息をつく彼女、影山美月は椅子から立ち上がり{個室}に向かうのであった。







オフィスの隅にある{個室}はデスクと椅子しかない部屋だが、

完全防音、盗聴などの対策がされた部屋である。


そこで、赤い封筒を開けて中身を確認する。


「んー脱法ハーブの組織の調査ぁ~?」


美月は麻薬取締官のする仕事に首を傾げるが赤封筒であることで意味を考えた。


ここで、この封筒の意味であるが、赤は調査スパイの上有罪ならば暗殺しょぶんで、

これが黒ならば問答無用で暗殺、白ならばただの調査ということになる。


「きっと、この組織うちを怒らせちゃったんだねぇ。」


そう、この国における聖域やんごとなきところに触れてしまったんだろうと考えた、

そうでなければ自分に命令書が来るはずがないのだ。


彼女は命令書を処分すると部屋を出てそのまま出かけるのであった。








都内某所


その部屋は一見ただの家族の住むマンションという感じであった、

だがその中に居るのはむさくるしい男たちである。


「うまくあのお嬢様学校にラインをつなげることができたな。」


「ああ、あの娘は○○様のご学友だからな、あれだけ漬け込んでおけばこちらの言うなりだ。」


「では姫の陥落は同然ってことで。」


「そうすりゃ何も怖くねえ、そのスキャンダルがあればこの国の連中は手が出せねえさ。」


「ちげえねえ。」


下卑た笑いが部屋に響く、この連中はこの国の最大のVIPの一族に手を出そうとしているのだ。


「いい加減にしとか無いと{仕込み}ができなくなるからそれくらいにしとけよ。」


「へいへい、わかってるって。」


隣の部屋では若い女の嬌声が聞こえてくる、どうやら手駒の調教中らしい。



その隣の部屋に向かおうとするものが一人、ドアに手を掛けた。


「へへへ、俺にも{調教}させろよ~・・・っ!」


そこまで言いながら男はゆらりと体を揺らしてドアを開けつつ倒れこんだ。


倒れた男の下に広がる赤い染み・・・それが広がっていく。


そして、部屋で調教にいそしんでいた男も、「グベッ!」と声をだして沈黙した。


ドアの開く音と同時に物が倒れる音に気が付いて、会話していた連中が立ちあがる。


だが彼らが部屋を出ることはできなかった、黒く長く伸びる鏃のようなものが、

連中を蹂躙していく。


一人を除いて全員物言わぬ姿となった。


その一人に彼女は問いかける、

そしてその答えを受けて丁寧にとどめを刺す、

そして隣の部屋に戻る。


「うーん楽にしてやったほうがぁ、良かったかねぇ。」


ベッドの上でうつろな顔をした彼女にため息をつきつつ、

任務完了の連絡をしてからこの部屋を出ることにした美月であった。










「なにをやってるんだ!」


連絡しても返事が無いことに男はいらついていた。


すでに予定より半日以上過ぎている。


足が付かないように手駒を使わなかったのがまずかったかと後悔していると、

隣の部屋で何者かが争う気配がして、しばらくすると静かになった。


すばやく拳銃を持ち安全装置をはずしてドアに構える。

ノブが動いたところで三点射する。


ドアに風穴が三つ開いた。


油断無く構えていたがドアの向こうには誰の気配も無い。


「どういうことだ?」  そのつぶやきに。


「こういうことだよぉ。」


背後から声がした。


はっと振り返るとそこに居るのはまだ若い女性であった。


オリーブ色の作業着のような上下に青緑のローブのようなものを羽織っている姿は、

見る人が見れば立体機動で巨人を駆逐する物語の主人公のコスプレかと勘違いされそうな風体である。


だがその顔は整って美しいと表現できるし、服の下にあるふくらみが半端なく大きいのだ。


この場にふさわしいとはとてもいえないのである。


「誰だ、お前は?」


銃を構えなおし相手が何も得物を持っていないのを見て取り質問する余裕も出たようだ。


「あんたが待ってる奴らに聞いてここにきたんだよぉ。」


それを聞いて男は口元をゆがめながら言った。


「そこまではたいしたもんだが、こいつには勝てんだろう、

お前がどこの差し金か聞いてやろうじゃないか、その体にな。」


拳銃を向けて自分の優位を確信する男、

だが、美月にとってそれは自分の不利を示すものではない。


「まあ、聞くのはこちらだしぃ。」


そういうと、彼女の影から黒い槍が飛び出し、男の両手両足を貫き、そのまま壁に磔にした。


「がっあぁああぁあああぁぁぁ!」


「うーんん?悪党どもの悲鳴は聞こえんなぁー」


どこかの世紀末の救世主のような台詞を吐いて、聞き耳のポーズを決める。


「おっ俺をどうするっつもりだ?」


あえぎあえぎ言葉を発する男ににこやかに迫る美月。


「質問に答えたら教えてあげるよぉ~」


「・・・ ・・・」


「ただしぃ、最後まで生きていたらねぇ。」


「ひっ!」


胆力も覇気もあるはずの男がおびえきっていた。




すべてを片付けて必要な情報を持って帰り報告する。

しばらくすると室長がやってきて又封筒を手渡した。


「又{黒紙}ですかぁ。」


先ほどの男のときも黒だったのだ。


「ああ、あと補足がある・・・徹底的にれだ。」


「了解~」










 「失敗ですか・・・意外とあてにはなりませんな{裏}の連中は。」


「今回は下請けが失敗したのだ、今度は全力でやる!」


ここに集まっているのはグローバルな活動をする企業家たちということになっている、

中にはマフィアみたいなのも混ざっているようだが。


「そうしていただきたいですね、こうしているうちに利益率が下がるので早めにお願いしますよ。」


「しかし、妨害しているのはどこの誰でしょうか?警察や公安などなら我々の力で抑えられますのに。」


「この国の機関ではないのかも知れませんな、我々の活動は世界規模です、

どこかの国かは判りませんが利害が絡んでいるのでは?」


「そのあたりも視野に入れて考慮せねばな。」


「その必要はないよぉ~」


「!」


この部屋に居る皆が窓際の方を振り返る、

そこにはいつの間にか立っている者がいた。


ガーンッ!ガンッ、 ガンッ、 ガンッ、 ガンッ、 ガンッ!


警護していた護衛たちがすかさず拳銃を打ち込む。


「無駄だよぉ~」


見ると弾はすべてその人物の前にある黒い幕のようなものに阻まれていた。


「何者だ!」


いまさらながらの誰何の台詞に口元をゆがめながら、

彼女、美月は言葉をつむぐ。


「うーん、冥土の土産に教えてあげてもいいけどぉ、土産にもならないからねぇ。」


「触れえざるものに手を触れたからあたしが来たと思ってねぇ。」


護衛がさらに攻撃しようとしたその時、彼女が動いた。


{シャドウ・チェインソウ}


影が伸びその先に回転する刃が現れ、護衛たちを切り裂いていく、

辺りに血潮が飛び散り、席についていた者たちが悲鳴を上げて転げ落ちた。


床に這い蹲りながら彼らは美月に向かって頭を下げる。


「た、助けて! 金ならいくらでも、何でもするから!」


それに対して。

「んーそんなものいらないしぃ、全員殺るのが任務だしぃ。」


まったく取り合わず。


「お祈りの時間も上げられないけどごめんねぇ。」


それが最後の言葉となったのであった。







「はぁ、疲れたぁ。」


翌日、ある病院に美月は来ていた。


そこは先日保護した少女の薬物依存を治療するために入れた病院である。

視線の先には看護士に補助されて歩く少女が居る。

薬物依存と正気を失っていた間に起きたことに対しての精神的なダメージが回復するかどうかは

医者ではない彼女にはわからない、

良くなって欲しいとは思うが。


今回の任務では彼女の身柄の確保は入っていなかった、

最悪巻き添えにしてもかまわないということである。

それ以上に護るべき対象が大事だということであった。


ゆえに放置しておいても良かったのであるが、

手配してこの病院にいれてやったのだ。


「あたしも甘いねぇ。」


そういいつつもなぜかうれしそうにして病院を後にするのであった。





ここまで読んでいただいて有難うございます。


誤字・脱字などありましたらお知らせください。



感想や評価などあれば今後の励みになります


よろしくお願いします。



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