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焦土と測量士  作者: today
第一章
9/35

少年と赤狐1

今回から、男密度がかなり上がりますが、決してBLじゃないのでご安心を。

と言う訳で、褐色ニヒルマッチョメンのルディング・エマヤに連れられて、竜宮城ではなく、真っ赤な狐が描かれたキャンピングカーに連れて行かれた。


それにしても、砂が舞う中でも目立つ狐のマークは、我ここにありと言わんばかりで、残骸の散らばるここにおいては、場違いなほどに目立ってる。

隣に停車している、光学迷彩仕様のアイアンフェアリーのキャラバンとは大違いだ。


「まあ、遠慮するな。これから、少なくとも数日はここがお前の家だ。必要な物があれば何でも言いな。こっちが入口だぞ。」


新人が入ったのがそんなにうれしいのか、やたらハイテンションなルディング。

重厚な防弾性のスライドドアが開き、いよいよあの鮮血狐ブラッドフォックスの本拠地に踏み入る白夜。その第一印象は…。


(汚い!くっせー。カビ生えてそう。つまりある意味3kの職場!多分危険な事するから4kに突入する。)


そう、キャンピングカーの中は散らかり放題で、ゴミと下着とタオルが床に落ちていて、ゴミ箱からいろいろはみ出している。

壁に収納できるはずの寝台も、本や地図、携帯型量子演算機ノートパソコンみたいなもの、脱いだ上着、毛布その他もろもろで埋め尽くされて、収納不可になっている。

空気はろくに換気されておらず、汗臭いにおいと食べ物の臭い、強い臭い消しが混ざってまさにカオス。

その奥には、多分キャンピングカーに連結されたトレーニングルームで、筋肉隆々の白人と、これまた体つきの逞しい覆面男がルームランナーで汗を流している。


(ここはボディービルダーの養成場か?それとも旧世代の陸戦兵の訓練キャンプか?)

「どうした?凄いだろ。凄すぎて、言葉も出ないか?」

そうですね!この惨状は凄いですね!など言えるはずも無く。

「ええ、予想外です…。」

と愛想笑いをするのが精いっぱいだ。

「そうかそうか。…おっと、すまんすまん。茶も出さずに立ち話などさせたな。」

そう言って、ゴミをかき分け冷蔵庫に向かい、紙コップと飲みかけのペットボトルを持って来る。

「まあ、一杯どうだ。正式な入団の祝いは、後日改めてと言う事にしよう。ここで入団祝いなどすれば、アイアンフェアリーから抗議が来そうだからな。はっはっは。」

こいつの自信は何処から来るのか、全く理解不能だ。

この現状を見れば、イーサがこいつらを嫌う理由が分かる気がする。

(悪い人ではないが、性格がずぼらなのがなー…。)

白夜の不安をよそに、紙コップにジュースを注いでから、ボトルをラッパ飲みするルディング。


注がれたからには飲まなくては失礼かと、紙コップに口を付けるが一気飲みをする勇気は無く、味を確かめながら少しずつ飲む。


(腐ってたりしないだろうな。目の前にいるこいつなら、腐っていても平気な胃袋を持ってそうだし。)


口に出せば無礼千万だが、そう思わざるを得ない室内。

と、よく見ていると、壁が変色している部分があった。

さっきまでゴミがあって見えなかった壁面に、銃弾の跡が残っておりそこを錆止めで塗り固めている。


「ん、これか?うちも人員不足でな。他のキャラバンからちょっかい出されて…。だから、お前さんが来てくれれば、俺達は集中して防衛できるって寸法だ。」

いきなり言われてもいまいち、この状況が分からない人間も少なくないだろう。

だが、白夜は聞いたことがあった。


測量団は戦闘時に大まかに三つのポジションに分割される。


まず、ファイター。

これは前も説明したように、陸上での戦闘を主に担当する。

銃撃、格闘で戦う旧世代の兵士と似た仕事をする。


次に、電脳士。

これは、ネット空間、電脳空間、量子ネットワーク、その他、様々な電気機器の情報を死守する役割と、時にはハッキングをするなどパッシブにもアクティブ行動する、大戦直前に登場した新しい兵士。


最後に、メカニック。

兵装や測量機器、の調整や修理を行う。


これで、一番激しい攻撃にさらされるのが、電脳士である。

一見すると、ファイターが死と隣り合わせで、激しい戦闘になると予想する人が多いだろうが、実際は違う。

測量団において、攻撃の対象は情報なのだ。

情報を売って高い金を得る彼らにとって、金にならない肉弾戦は頻発しない。


近づくにも、レーダーを潰して侵入し、銃火器さえあれば誰でも対抗してくるこのタイプの戦闘は避けられている。

その一方で、電脳世界ではフィニルを所持していなければ、只の丸腰と同じ。

フィニルは、人によっては装備できる物に制限があったり、自分に合わないフィニルのためにまともに戦えない人間も多いため、所持者は無双に近い活躍をするが、同じ保持者同士なら死闘になる。

人数不足で、フィニルを一機も保持していないレッドフォックスは、攻撃をしかけられれば、ほぼ全員でネットでの戦闘をしなければならず、車を襲う敵にまで対応できなかったのだろう。その結果、車内で銃撃戦。


(やっぱり、測量団やめようかな。)


読んでいただきありがとうございます。

どうやら、私の文は一回の投稿文が異常な長さらしいことが発覚し、今回から、適度に分割しながら書いていきます。(それでも長いですが…)

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