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焦土と測量士  作者: today
第一章
4/35

ノイズ

長すぎる部分を編集したので、これは、以前の第一章の一部です。

 深く息を吸い込み、電脳の世界を脊椎で実感していると、無粋にも警報のウィンドウが開く。


 他アドレスより不正なリンク、ジャンプ。

 現領域へプロテクトをデリートしての侵入。

 ウィルス:スコーピオン 一

 電脳体 一 :備考 スーツ型フィニル展開中 不正侵入により周囲にパルスノイズ発生一時的にログアウトが困難になります。


 次から次へと警告の表示が増えてゆく。

 警報音を聞き飽きた時、空間パルスはが発生し深紅の人型が出現した。


 フィニルだ。


 少年が自分以外のフィニル保持者を直接見るのは初めてだが、こうして見るとその存在感は他のテクスチャーとは比べ物にならないほどに印象的だ。


 出現したフィニルの形状は、現実世界には存在しない機械生物を思わせる。

 空中に浮かぶ姿は攻撃態勢のスズメバチのようで、全体の獰猛さはカマキリに近い。

 だが、表面は滑らかで甲虫のように高い防御性能を持つボディーに覆われている。

 頭部はハチやカマキリの様に全体が三角のヘルメット、両腕はパワーアームによって覆われ、手の甲には先の尖ったチェーンソーが装備され、その他の武装は背中側の装甲の下に格納されているのだろう。

 全身を包む深紅の甲冑を虫に近い印象にしているのは、恐らく腰から下側に大きく突き出した追加パッケージの印象が大きいのだろう。


 何に使うのかは知らないが、着地時にかなり邪魔になりそうな武装だ。

 と、ここで出現したフィニルに気を取られ過ぎていて気がつかなかったが、スコーピオン型のウィルスが哀れにも、フィニルの腕から突き出したチェーンソーによって貫かれ殆ど機能停止に近い状態になっていた。


 刃が回転するたびに手足を揺らし、緑色のオイルを噴き出す。


「ふふふ。ふはは。あーはは。腐れ腐れ腐れ!」


 突然フィニルのパイロットが笑いだした。


「全くなんてバカなウィルスなの?逆らってはいけない相手すら分からない自立システムなんて、自立している意味があるのかしら。」


 初めの笑い方は深窓の令嬢と言える感じだったが、後からは嗜虐的な声の女パイロットだ。

 声に同調し機体の方も深紅から赤紫に変化してきている。

 それから、腕をウィルスから引き抜くと背中の装甲の隙間から射出されたブレードが標的を切りつける。


 落下する暇すら与えずに腕や足を切り刻み、空中に留まらせる。

 その間も、優越感に浸っている高笑いが続く。

 スコーピオンウィルスが手も足ももがれて、装甲もボロ雑巾の如く穴だらけになり動く事すらままならない。


 ついに心臓部だけになった鉄屑に向かい、飛び散ったブレード全てを引き戻し、全て突き刺す。そして、無残に文字列と成って消失する。


「はーはっは。あーぁ。意外とやわなのね。あぁ刻み足りない。」


 声音に、何か恍惚としたものが含まれ、虚空に向かいなおも刃物を振るい続ける。

 少年は危険な香りにログアウトキーを押したが、さっきのノイズのせいでネットワークからの離脱ができない。


 少年もフィニルを所持しているが、対人スキルなど一般人が持つはずも無く、正直言って到底撃破できると思えない。


 フィニル保持者は大抵、軍隊所属か、測量団の凄腕だからだ。

 万が一、相手も一般人の所持者でも、正面からぶつかれば無傷では済まない。


 嫌な汗が噴き出しそうだ。


 ログアウトが無理ならば、この領域を出なければならない。

 だが、アドレスやURLのリンクにアクセスしても、全てエラー表示だ。


 推測でしかないが、あの赤紫の期待は、周囲にノイズを発生させたり、セキュリティブレイク(電子ロック、暗号などを解析し突破する)をしたりする機能が搭載されているようだ。

こうなれば、脱出方法はゲートにたどり着き、ジャンプするしかない。


 ―――電脳世界は、一続きになった世界であると同時に、異なる世界を繋げた世界でもある。現実世界に例えるなら、国や州が存在し、それぞれに法律が存在しているのとおなじである。国や州は電脳世界で言うサーバーだ。そして、それらがそれぞれに世界法則を作っている。それらを繋ぐ国境がゲートだ。だから、ログアウト不能な世界から抜け出すにはゲートから隣のサーバーに逃げ込みそこから脱出するしかないのだ。―――


 少年はバーニアを吹かし電脳世界を駆け抜ける。

 警告画面には、『相対速度危険値:衝突時の衝撃ロジック大』の表示。

 知った事か。あんな切り裂き魔に襲われれば確実に息の根を止められてしまう。

 毎日の散歩で隅々まで把握しているこのフィールドであれば、逃げ切れるし、物にぶつかる事は無いと確信しての行動だ。


 ビルの合間から黒く重厚な門が見えた。


 迷う事なく、ゲートに突っ込む。


 と、肩口を金属がかすめ、装甲が火花を散らした。

 振りかえる必要は無い。

 さっきの異常者がそこに居るのはもう、見なくとも分かっている。

 もう一度、飛来したチェーンソーを回避して、黒いゲートに手のひらを着くと、体に妙な浮遊感が発生し、視界が真っ白になった。




 それから数秒、コンテナの立ち並ぶ空気が茶色の空間に出てしまった。

 薄気味悪い空間だ。

 これがあのゲートからたどり着く隣国サーバーの一つ。

 今頃、敵はこちらの位置を探すのに手間取っているはずだ。

 ここからさらに、でたらめなアドレスを入力し、別のサーバーに飛ぶ。

 別サーバーへの移動で目まぐるしく光の粒が流れてゆく途中で、ログアウトプロセスを起動し、虚脱感と共に意識がブラックアウトした。




現在、長すぎる部分を編集中です

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