第一章 少年と電脳空間
ここからがいよいよ本編となります。
読んだ人はできるだけ、感想を聞かせていただきたいです。
まだまだ、文章力が拙く読みづらいなどのご迷惑をおかけするかもしれませんが、ご指摘いただければ、改善に努力いたしますので、今後もよろしくお願いします。
それでは、本編をお楽しみください。
少年は青の淡い光の中でたたずんでいた。
そこが、少年のお気に入りの場所だからだ。
ガラスの様に透明で、紙の様に薄い地面に青い光のラインが交差しながら、形を変えてゆく。
その下には、青白い液体の中に、光の粒が揺らめいている。
視線を上げると、針金の様に細い柱が、たったの三本で大きな噴水のオブジェを支えているものや、崩れかけのビルが立ち並んでいるのが目に入る。
どれもこれも、重力を無視した設計で、現実の世界ではありえない構造をしている。
そう、ここが電脳世界であるために存在が許されている場所だ。
少年はそこに電脳体で侵入していた。
危険であるが故に、誰も侵入せず、一人になれる世界。
それが大好きで、この空間を散歩するのが日課になっている。
不意にスクリーンが空中に出現し、警報を鳴らし始める。
スコーピオン三、侵入型二、と表示される。
遠方に目を凝らすと、機械のサソリが三体こちらに向かってきている。
少年はまだ、サソリ型との距離があるのにもかかわらず、高く跳躍した。
普通の人には絶対不可能な高度まで跳躍する。
すると、今まで立っていたガラス質の床が、悲鳴を上げて割れて、液体の中に沈み、その中から無数の機械の腕が這い出してきた。
少年は、左腕のガントレットに似た物体の上をなでる。
すると、球状のシールドが全身を包み、またその内部でパワードスーツを身にまとった姿になっていた。
黒と紫に染まったデザインだが、禍々しさを感じないフォルム。
フィニルを展開したのだ。
それから、虚空を掴むとハンドガンが出現。
引き金を引くと、鉄色のラインが機械の手の群れの中心を打ち抜く。
それから数秒の静寂の後、今度は時間を巻き戻すように、鋼の腕は水中に力無く落ちて行きまばゆい光を放ち、微かな爆音と共に消失した。
だが、少年の表情は険しかった。
「ちっ。逃がしたか。」
舌打ちをしていると、シールドの表面に衝撃が走った。
衝撃の走った方向を見る。
そこには、警備ロボがライフルを構えて立っている。
それに向かって、無造作にコンバットナイフを投げつけ機能を停止させる。
その瞬間、ロボットの背後から、ヒルに似た形状の液体金属が飛び出した。
すかさず、ハンドガンが鉄色の光線を放つ。
そのレーザーは、液体金属だけを焼き、それ以外は一切傷つけないようにコントロールされていた。
三十メートル以上離れた場所に、たったの数センチしかない物体のみを、破壊したのだ。
破壊した煙は、一瞬大量の文字を撒き散らしながら、空気に溶けて行く。
「一匹目。」
ホバリングするフィニルの中で、少年の口は少しだけ緩む。
目付は捕食者の物に変わる。
読んでいただきありがとうございます。
今後はスローペースの投稿となりますので、ご容赦ください。
次も読んでいただけるように努力いたしますので、今後ともよろしくお願いします。