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2日目~後編~

俺ってば課題が忙しいのに何やってんだろう…


…もう放課後か……5時間目の所為で精神的疲労が………

くぅ〜目を瞑ってもフラッシュバックが! あの感触が!!


「何身もだえしてるのよ」


「信君どっか痛いの? お姉ちゃんが付きっきりで看てあげるよ?」


「雪姉!? と桜さん? いつからそこに!?」


「なんか私おまけ扱いね」


お、おかしい。

HR終了と同時に屋上に来たのに…どうしてここが…?


「信君だったらどこにいても見つける自信があるよ!」


「確かに一度も迷わずに来たわね…。少し異常かもね」


「そういえば俺、雪姉とかくれんぼとかして1分持ったことないなぁ」


「……ある意味犬以上ね」


「だって私を構成してる成分のほとんどが”信君”だもん! だから信君がどこにいたって体と本能がわかるよ」


「本能って雪…」


「私の”信君レーダー”は10km以内は有効だよ〜」


「雪姉…それって人間やめてるから」


「ん〜、そこまで言うなら少し試してみたいわね」


「信君に迷惑かからなければ良いよ〜」


「だって。 信、実験してみたくない?」


「…そうだね。 してみようか」


雪姉と離れて少し落ち着きたいしね。


「じゃあ、今から私が信と隠れるから探し出して。範囲は校内限定で制限時間10分でどう?」


「良いよ〜。でも、桜は私とじゃないの?」


「もし信に何かあったら何されるか分からないから一応ね」


「桜と二人きりのほうが危ないよ!」


「どういう意味よ!」


「そのまんまだよ。桜ショタコンだし」

[桜]「ショタコンじゃないわ! 年下が好きなのよ!」


「同じだよ」


「それは違うわ! ショタは小さい男の子だけど私は年下の男が好きなのよ」


「違いが分からないよ〜」


「…もういいわ。さっさと始めるわよ」


「むぅ〜。信君と二人きりなんてずるい」


「すぐに見つければいいでしょ? 信君レーダーあるんでしょ?」


「分ったよ。信君すぐに見つけるから心配しないでね?」


「それじゃあ始めるわよ。信、行くわよ」


「5分後に探し始めるから。桜、信君に変なことしたら…」


「はぁ〜。しないから。じゃあね」




………

……


「この辺でいいかしら?」


「…学長室…ですか? 入っていいんですか?」


「さぁ? 良いんじゃない?」


「さぁって…なんか今わかった気がする」


「何が?」


「あの雪姉と何で親友になれたか」


「良い女だからでしょ」


「自分で言っちゃだめですよ」


「細かいことは気にしない。ほら入るよ」


「あっ! さ、桜さん」


「失礼しま〜す」


ほ、本当に入ってちゃったよ。

学長が居たらどうするつもりだ?


「うん、やっぱりいないわね」


えっ?

居ないって知ってて入ったんですか?

ていうか鍵は?

無用人過ぎるだろ…。


「ん〜と、この机の影にでも隠れよっか?」


「はぁ〜、もう何も言わないよ…」


「ほら、もうそろそろ5分経つから早く隠れて」


「はいはい」


学長室の机はでかいから2人ぐらいなら隠れられるけど…。

学長が帰ってきたらどうするんだろう?


「なに、信? 学長が帰ってこないか心配?」


なんで考えてることがわかった?


「何でわかったの? って顔ね。 信はよく顔に出るからね〜」


「・・・そんなに顔に出ますか?」


「すっっごく分かりやすいわよ」


「力説されるほどなんだ…」


うぅ〜地味にショック…。


「あはは。まぁ良いじゃない。それも信の良い所よ」


「それよりも、信の友達にいた…え〜と…名前なんだっけ?」


「夏樹の事ですか?」


「そうそう! 夏樹くん」


「夏樹がどうかしたんですか」


「ん〜とね、夏樹くんってどんな子なのかなぁ〜て」


「どんな子…ん〜…温厚で明るくて、でも少し抜けてる所もあるやつかなぁ」


「へぇ〜、私の理想に近いかも」


「えっ? 何か言いました?」


「なんでもないよ。それよりも夏樹くん彼女はいるの?」


「彼女がいるって話は聞いたことないですよ」


そんなに夏樹に興味があるのかな?

もしかして狙ってる?

いやいやまさか。


「よし!」


…まさかね…。

……夏樹なんかごめん。

桜さん悪い人じゃないから怨まないでくれよ。


「なに虚空に祈ってるのよ」


「いや夏樹に怨むなよって」


「どういう意味よ!」


「あははは〜。お手柔らかにしてくださいね?」


「無理だよ〜」


「その通りよ! 全力で行くわ」


「だよね〜。夏樹くんてば桜の好みにクリーンヒットしてるもん」


「あ〜やっぱりそうだんだ」


「まあね。顔よし、性格も良いみたいで、年下! 完璧ね!」


「信くんほどじゃないけどね」


「そんな事ないよ雪姉…ん?」


あれ?


「はいはい。まったく信も雪も相変わらずイチャイチャして。やってられないわ全く…ん?」


「ん? どうしたの? 桜も信君も固まってるよ?」


……おかしいな?

今いるのって俺と桜さんだけのはず…あれ?


「「………」」


「ん?」


二人のはずだったのに…。


「あ〜……雪姉いつからそこに?」


「気づかなかったわ…」


「ん〜? 最初からいたよ?」


「最初って?」


「夏樹君のことを聞くと事から〜」


ほ、本当に最初からいたのか!?


「ず、ずいぶんと早いね?」


「うん! 信君と約束したし桜に何されるか分からないもん!」


「だから何もしないって!」


「うん。そうだね〜。桜の今のお熱の相手は夏樹君だもんね」


「うっ! そ、それよりも早く着きすぎよ。どうやって来たのよ?」


「真っ直ぐ来ただけだよ〜」


「真っ直ぐ?」


「うん! 信君がどこにいるのかなんてすぐわかるもん」


「途中で他の教室とか探さなかったの?」


「いないって分かってるのに探す必要ないよ〜」


す、すごい自信だな。


「どうして分かるのよ」


「だから本能でわかるんだよ〜」


「あ、あはは。すごいね…」


「にゃはー♪ 信君に褒められちゃった♪」


褒めてない、褒めてない。


「信、愛されてるわね〜」


「愛してるもん!♪」


そんなにはっきり言われると恥ずかしい。

恥ずかしいだけで別に嫌じゃないけどね。

むしろどちらかと言えば…まぁ好きだよね。

家族だし、優しいし、いつも俺のこと考えてくれてるし。

うん嫌いになる要素が無いよね。

でも、一人の女の人としてみたら好きなのか?

うぅ〜よく分からない。

まぁ、今は雪姉が好きだってことは分かってるしいいよね?

あ! もちろん家族としてだから!

うん。それなら雪姉は好きだ。


「信はどうなの? 好き?」


「好き」


「………」


……あれ?

今俺何言った?

好き?…えっ?

口に出した?

え? えっ? え!?


「信君!! うっ嬉しいよ!♪ ねぇねぇ! 桜も聞いたよね!♪ 信君が♪ 信君が!♪ 私のこと好きだって♪♪ 好きだって♪♪♪」


や、やっぱり口に出してた!!

こ、これていわゆる告白!?

告白になるのか!?

なな何してんだ俺!?


「信…あんたも言うわね」


「さささ、桜さん今、今のはちが」


「今更弁解は無理ね。ほら」


「へ?」


「えへへ〜♪ 新婚旅行はどこがいいかなぁ♪ 海? 温泉? いっそうのこと海外? えへへへ〜♪ ハネムーンだよ♪♪」


「………」


「ね?」

い、いったいどこからパンフを出した?

というかハネムーンて…。


「ゆ、雪姉……?


「あっ! 信君♪ 新婚旅行どこがいい? ほらほら〜いっぱいパンフレット貰ってきちゃった♪」


も、貰ってきたっていつ、どこから!?

って問題はそこじゃねぇ!


「雪姉、少し落ち着いて欲しいなぁ〜」


「落ち着いてるよ〜♪♪ あ! そっか〜結婚式がまだだよね! そっか〜♪ 信君から告白されて舞い上がってるね♪♪ うんうん。信君の言う通り落ち着いてなかったね♪ でもでも、そこは信君がしっかりフォローしてくれるし私達最高の相性だよね!♪ えへへ〜信君はどこで式挙げたい?」


「まってまって! 雪姉! 俺まだ結婚できる歳じゃないから!」


「信にとっての問題ってそこなんだ…もっと根底に問題があるのに」


「ないよ! 私と信君の間に問題なんてあるわけないよ!」


「あんたたち姉弟じゃないの?」


「そうだよ?」


「血の繋がった姉弟は結婚できないの知らないの?」


「あはは〜、日本の法律なんて関係ないよ〜♪」


「そこは関係あるでしょ!?」


「ま、まぁまぁ。桜さんも雪姉も少し落ち着いて! あっ! そ、そうだ! 雪姉にお願いしたいことがある…ような…」


「なになに? 信君のお願い事なら何でもOKだよ!♪ 指輪のサイズが知りたいの? 婚姻届ならハンコは押してあるよ?」


なんで押してあるんだよ!?


「用意周到ね」


「準備万全って言ってよ〜」


意味変わってないから!


「語感の響きの問題だよ〜」


「心を読むの禁止ー!」


「顔に出てるよ〜。 それよりお願いってな〜に? またキスしたいの?」


「なに!? キスしたの!?」


「だー! 何暴露してるんですか!!」


「はぁ〜、このバカップルは…」


「えへ〜照れるよ〜♪♪」


「ゆ、雪姉ぇ!」


「あっごめんね〜。お願いってな〜に?」


「えっ!? あ〜…その〜…」


や、やばい!

話逸らそうと何も考えずに言っちゃた!

うぅ、ここでやっぱり何もないなんて言えばそのまんま暴走してるだろうし…。

何かないのか?


「信君? 婚前交渉はOKだよ?」


「雪! どさくさにまぎれて何言ってんのよ!」


「お、お姉ちゃん! お姉ちゃんと買い物行きたいなぁ」


「ふぇ?……し、信君」


「あ〜ぁ」


え?

な、何この反応?

な、なんかミスったぽいし

どうしよう〜



「信君…」


「は、はい」


「そ、それって」


な、なんだ?

何を言われる?

やばいのか?



「それってデートのお誘いだよね!♪ きゃはー♪♪ 桜、桜! 聞いた聞いた!?告白の後にデートのお誘い!♪ もうこれって間違いないよね!♪ それに”お姉ちゃん”だって♪♪ もう信君かわいいよ〜♪♪ 何着て行けばいいかな? 新しい服買いに行ったほうがいいかな? あっ! でもでも〜信君とのデートで選んで貰うっていうのもいいと思わない? そうだよね〜♪ その方がいいよね♪」


「……」


「……」


「デートはどこに行こうか〜♪ 繁華街? 港の方? 公園? 教会?…教会?…結婚式場? 結婚? 信君と私が? …結婚♪ 新婚♪ きゃはー♪ 信君と教会で結構してあま〜い新婚生活だよ〜♪♪」


「………」


「………」



「信君は教会で結婚するのもいいよね♪ それとも神社がいいの? う〜ん…信君が両方がいいっていうなら両方やろうか♪♪ そのあとに新婚旅行♪♪ どこに行こっか〜♪ 温泉がいいかなぁ〜♪♪ 海外がいいかなぁ〜♪」


「…もう止まりそうもないわね」


「ミスった…」


「しばらくすれば元に戻るかしら?」


「たぶん……」


「信君♪ 信君♪♪ プロポーズの時は雪お姉ちゃんって言ってね!」


「えっ!? ぷ、ぷろぽーず?」


「うん!♪ 絶対だよ! お姉ちゃんとの約束だよ?」


「は、はぁ」


「信てば雪にプロポーズするんだ?」


「えっ!? あ! ち、ちが!」


「ちがうの…?」


「えっ?」


「ちがうの?」


な、泣く!?


「わ、わかったから!」


「きゃはー♪ 信君だいすき〜♪♪」


な!?

う、嘘泣き?

さっきまでの涙目はどこにいった!?


「やっぱりするんじゃない」


そんな呆れた顔で見ないで〜!

し、しかたないことなんだ!

俺には雪姉を泣かせるなんて選択肢は無いんだから!

そう!

仕方なかったんだ!


「必死に自己弁護してるようだけどつまりはシスコンでしょ?」


「…自覚してるけど他人から言われて傷つく言葉ってあるよね……」


「信君信君♪ 私、信君からのプロポーズず〜っと待ってるからね?」


「き、期待しないで欲しいな〜…」


「信から告白する事は決定なんだ?」


「…桜さんさっきからツッコミしかしてない」


「ツッコミどころ満載なのよ、あんた達」


「羨ましいんでしょ? 桜も早く相手を見つけないとね〜♪」


「う、うっさい!」


「えへへ〜信君、好き! 好きだよ♪ だ〜い好き♪♪」


こんな幸せそうな顔でいられたら俺でなくても拒否しづらいって。


「信君♪ プロポーズ楽しみに待ってるね?」


拒否できないって…

こうやって外堀は埋まってくんだよね。





「信君信君♪ 忘れ物な〜い?」


「え〜と、うん大丈夫」


「プリントとか宿題も?」


「うん。大丈夫だよ」


「じゃあ、帰ろっか〜」


「そうだね」


はぁ〜、心を落ち着けようと思って屋上に行ったのにかえって落ち着けなかった…。

はぁ〜。

しかも、あんな事まであった後に二人きりで下校か…まだ心臓がやばい事になってるし。


「ん〜? どうしたの信君?」


「えっ!? い、いやなんでもないよ」


「でも顔真っ赤だよ?」


それは雪姉が腕に抱きついてるからです!

いつもなら気にならないのに、流石にあんな事があった後だと目茶苦茶意識するんですけど!

特に柔らかい感触とか、ふっとした瞬間に香る匂いとか温もりとか!

あ〜もう! 一言やばい!


「ねぇ? 本当に大丈夫? 無理してない? どっか辛いの?」


辛いのはこの状況だから!

さらに強く抱きつかないで!

くっ!

わざわざ少し屈んで上目遣いするのはやめて!

俺がそれに弱いの知っててやってないよね?


「ん〜 熱はないよね? ん〜と?」


だいたい雪姉は自分の可愛さが分かってないんだよな〜。

仕草の一つをとっても可愛いのにこんな近くでそんなことされたら…近くで?

ん?

…ん!?

か、顔近くない!?

っていうか今も近づいてる!?

ぇ?

ぇえ?

なななななんでこんなに近づいてくるの!?

こここここんな場所できききききすとかないよね? ね?


「ゆゆゆゆゆきねえ? ななななにしてるのかな?」


「ん〜と」


”こつ”


「ん〜…うん、熱はないみたいだね〜。 よかった〜。 あれ? さっきよりも顔赤いよ?」


「ししし心配しなくて大丈夫だから! うん! すごく健康だよ!」


な、なんだ。熱測っただけか。…少し残念。

って何考えてんだ。

今日は少しおかしいかもしれない。

うん。

今日が特別おかしいだけだ。


「う〜ん、信君がそこまで言うなら…」


「ゆ、雪姉、はやく帰ろう。おなかすいちゃったな〜」


「ん? そう? じゃあ帰ったらすぐに用意するね♪」


はぁ〜。

雪姉に振り回されるのはいつものことだったけど最近は少し違う気がする。

気のせいかな?

新しい環境になったせいで敏感になってるだけかな?


「じゃあ〜今日は信君からいっぱい幸せもらったから、いつもの以上に愛情込めてご飯作るね♪」


「いつも入ってるんだね」


「あたりまえだよ〜。私の料理の半分以上は愛情で出来てるんだから♪」


「どこの薬品メーカーですか…」


「うん? 惚れ薬とか栄養ドリンクとかなら入れてるよ?」


「入れちゃダメだから!?」




「ただいま〜」


「おかえり〜信君♪」


隣にいたはずなのになんで毎回俺を出向かいできるのだろう?

こういうのって考えたら負けか?


「ん? どうしたの信君」


「なんでもないよ。雪姉もお帰り」


「うん♪ ただいま!」


「ゆ、雪姉! 顔埋まってるから! 抱きつかないで!」


「どうしても?」


「だめ」


「信君…だめ?」


うっ…そんな悲しい声で言われても。


「だ、だめ」


な、涙目になってきちゃったよ。

うぅ、俺は悪くないのに罪悪感が。


「本当にダメなの?」


「う、うん」


お、俺悪くないよね?


「しん…くん……」


そ、袖を摘まんでの涙目なんて反則だよ!


「し、信君!? わっ! わっ!♪」


…はっ!?

いつの間に雪姉に抱きつかれた!?


「信君あったか〜い♪」


あ、あれ?

抱きつかれた?

あれ? むしろ抱きついたのは俺のほう?


「ご、ごめん!」


は、離れられない!?


「だめ〜もうちょっと〜」


雪姉の手が巻きつかれてる!?


「ちょ、は、離して」


「何で? 信君から抱きしめてくれたんだよ? 私すごくうれし〜な〜♪」


「(そ、それは雪姉が可愛いかったから思わず……)」


「私可愛い?」


「うっ。聞こえてた?」


「うん」


く、口に出した覚えはなかったのに。


「私可愛い?」


「あ、当たり前だよ。雪姉は可愛いよ」


「信君♪ 私嬉しすぎちゃうよ〜♪ 信君、信君…大好き!♪」


やっぱり雪姉は可愛いすぎるよ。



「信君、ご飯作っちゃうから少し待っててね」


「うん」


もう長年やっているからスムーズに料理が出来上がっていく。

料理ができない俺から見れば手品や魔法みたいだ。


「信君ちょっと待っててね。今日はハンバーグだよ」


「みたいだね。…ねぇ、その瓶って何が入ってるの?」


「うん? これ? 栄養ドリンクだよ」


「俺の記憶が正しければハンバーグにそれは必要ないよね?」


「えっ? 隠し味だよ」


「いらないから」


「え〜でもでも〜信君の体力回復とかに必要でしょ?」


「いらないから」


「…うん。わかった」


よし、今日は安心してご飯が食べられそうだ。


「信君栄養ドリンク嫌いなのかな?」


そういう問題じゃないよ雪姉。



「信君、ご飯できたから食べよ?」


「わかった。じゃあお皿ならべるね」


「ううん。信君は座ってて。私が用意するから」


まぁ雪姉が俺に用意させてくれないのは分かっていたけどね。

下手に手伝うと暴走するし。この前なんて掃除を手伝ったら…

「愛の共同作業…幸せな家庭…」

ってなぐあいに暴走したし。


「信君用意できたよ。早く食べよ?」


「あ、うん」


「それじゃあ」


「「いただきます」」


「はい、あ〜ん」


来るのはわかってたよ?

毎日のことだし。


「あ、あ〜ん」


でも、この恥ずかしさには慣れない。


「信君、私もして欲しいなぁ?」

これも来るのもわかってたさ。

まぁ、誰も見てないし…


「…しょうがないなぁ〜。はい、あ〜ん」


「あ〜ん♪ うん♪ 信君に食べさせてもらうとすごくおいしいよ〜♪」


「味は変わらないと思うよ?」


「うん。でも、信君に食べさせてもらうとお腹だけじゃなくて心まで満たされるんだよ♪ 全身で幸せを感じられるからすごくおいしいよ♪」


「そ、そうなんだ。ありがとう?」


「うん! そうだ〜! はい、あ〜ん。幸せのお裾分けだよ♪」


恥ずかしいことを躊躇いもなく言うなよ。

家の中で良かった。


「信君あ〜ん♪」


「…あ〜ん」


「どう? 幸せになった?」


「う、うん。幸せだよ」


こんなことしなくても幸せなんだけどね。


「うん。幸せな家庭にまた一歩近づいたね♪」


「うぇ!? か、家庭!?」


確かに姉弟だから家庭っていうのも間違いじゃないけど…。


「うん。え〜と、あなた〜もう一口いかが?…えへへ〜このセリフ恥ずかしいね〜」


それは俺のセリフです!


ふぅ〜。ご飯も食べて、お風呂も入ったし、あとは寝るだけかなぁ〜。


「雪姉?」


「………」


あれ?

寝てる…。

雪姉疲れてるのかなぁ?

当然だよな。

学校でも家でも雪姉に面倒掛けてるし…。

ベッドに運んであげないと。

部屋は…どうせ夜中とかに起きてもぐり込むなら最初から俺の部屋でいいか。

間違っても俺が一緒に寝たいわけじゃないぞ。

…誰に言い訳してんだろ。


「バカなこと考えてないで運ぶか。よっと」


結構軽い。


「…うぅ。しんくん……」


「! な、なんだ寝言か」


起こさないように注意しないと。


「結婚式はお姫様抱っこ〜……」


……本当に寝てるのか?

というかどんな夢みてんだよ。

まぁ、雪姉らしいか。


「おやすみ雪姉」





〜〜雪視点〜〜



………

……

あ、れ?

寝ちゃってた?

んっ…信君の部屋?

信君、隣で寝てる。

信君が運んでくれたんだ。

それも、自分の部屋に…。

嬉しいな。

信君も一緒に居たいって想ってくれてるのかな。

そうだといいなぁ。

今日は幸せな一日だったよ〜。

朝から信君、積極的だったし。

信君から腕組んできたのって今日が初めてだよね?

びっくりしちゃった。

でも、それ以上に嬉しかった。

桜に邪魔されちゃったけど、

デートもしたし。

…いつかちゃんとデートしたいな。

……今日ってキスしちゃったんだよね。

ずっとずっと、とっておいたファーストキス。

初めてだけは信君からして欲しくて唇だけは避けてたけど、

やっと、やっとしてくれた。

ファーストキスって信君が知ったとき顔真っ赤になってたっけ。

少しは女の子として意識してくれてるって事だよね。

ふふ。

信君気づかなかったかな?

キスされたとき私も顔真っ赤になってたの。

顔赤いの見られたくなくてぎゅーって抱きしめちゃったけど、

そのせいで余計赤くなっちゃた。

見られなかったよね。

きっと、信君は自分のことで手がいっぱいだっただろうし。

それに信君がいけないんだよ。

私が勇気出して言ったのにしてくれなくて、

もう諦めようとしたらするんだもん。

心の準備とか出来なかったよ。

屋上に行くまで何度も何度も心の中で覚悟を決めてたのに…。

勇気出したのに分かってくれないし。

2回も言わせないでよ。

…確かに恥ずかしくて少し遠回りに言ったけど。

でも、ちゃんとしてくれたから許してあげる。

信君だけの特別なんだから。

…信君にしか言うつもりも無いけど。

でも、なんで言うつもりになったんだろう?

本当はもっと断られないような雰囲気のときに言うつもりだったのに。

断られたら気まずいもんね。

ううん。

それだけじゃなくて、信君が私から離れていく可能性だってあった。

嫌っ!

それだけは絶対嫌!!

信君が離れていくなんて耐えられない!

そんな世界いらない!!

怖い。

恐いよ。


「ふぁ!?」


しん…くん?

…ありがとう信君。

信君はいつもそう。

私が不安になってるとぎゅって抱きしめてくれる。

ねぇ?

本当は起きてるんじゃないの?

タイミング良すぎるよ。

寝てるときの抱き癖なんて嘘で本当は起きてて私のこと助けてくれてるんだよね?

しんくん…。

今日はありがとう。

今日は本当に幸せな一日。

明日も今日みたいな日がいいな。

でも、私がもたないかも。

信君が隣にいてくれるだけで幸せで、

抑えが効かなくなってきてる。

もっと信君に近づきたい。

もっと信君見て欲しい。

もっと…もっと……。

ねぇ?

私、がんばるから。

もっと信君に好きになってもらえるように。

だから…

信君も、私を見て。

誰よりも近くで見てて。

ねぇ?

私を好きになってくれるかな?

………

……

今日みたいに寝坊したらダメだよね。

もう、寝ないと。

おやすみ、信君。

今日も信君暖かいなぁ。

そろそろプロットとか設定をちゃんと決めないといけないかと思う今日この頃…

キャラブレ、設定の矛盾が出てきそう。

この話しは基本俺の妄想で出来てるからなぁ~……

妄想が続く限り書いて最後に改訂で大丈夫かな? かな?

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