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一日目~前編~

入学初日の朝から昼休みまでです。

そう、雪姉はブラコンだ。

しかし、雪姉が言うには、


「私、ブラコンじゃないよ? 私は”シンコン”……信君コンプレックスなんだよ! シンコン…いい響きだよね!? だってだって! 新婚だよ! キャー!!! もうお姉ちゃん幸せすぎて困っちゃうよ!」


らしい。

これを街中で白昼堂々と言い切ってくれた。

おかげで一夜にして俺達は有名人だ。

それだけじゃない。

雪姉は身内というのを除いても可愛い。

だから中学の頃から何人にも告白されていた。

まぁ、そいつらは決まって、


「信君以外に興味ないから嫌!」


ってフラれてたけど。

他にも爆弾発言連発されることも多々と…。


「信君、信君って、信って奴は弟だろ? 弟なんてほっといて俺と付き合ってよ!」


「弟だから何よ! 国に認められなくても結婚できなくても、子供はできるんだから!!」


だそうだ。

いいのかそれ?

毎回同じ様なやり取りのために今では告白も少なくなったらしいが…。

少なくなっただけだでなくなってないんだよな。

うん、今度それについて詳しく調べておかなくちゃ…。

雪姉を変な奴には渡せないしね。

まぁそれはいいとして、そうなると俺も有名人になるのは当り前だろう。

雪姉と別れ、教室に向かったが…。

新しい学校の新しい教室の新しい人達が皆して「あれが雪先輩の弟らしいよ」って会話をしている。

有名人の気持ちが少し分かった気がする。

言われるのは嫌いじゃないが…少し恥ずかしい。

とりあえず、空いてる席、窓際がいいかも…。

初日だし席とか決まってないようだしね。

隣に誰かいるけどそこに座らせてもらおう。


「これから1年間よろしくね」


うん。

雪姉も言ってたけど、最初の挨拶は大事だよね。


「うん! よろしくね! 信君!♪ あ、でも〜1年なんて言わないで、これからず〜〜〜〜と一緒がいいなぁ〜」


なぜ雪姉あなたがここにいる!?

ついさっき別れた時に、妙にすんなりと別れたことに疑問を持つべきだったか!?


「どうしたの信君? 緊張してるの? 大丈夫だよ〜。 お姉ちゃんがついてるから!」


うん、それならすごく頼もしい…じゃなくて!

雪姉は1年生ではなく2年生だから!

しかもなんで俺よりこの教室に馴染んでいるんですか!?


「こら〜! 雪! 1年生のクラスで何やってんのよ!」


「あっ!? 桜ちゃん! 信君に会いに来たの? でもダメだよ! 信君は私のなんだから!」


「何言ってんのよ! こんな可愛い子を独り占めなんてさせないわよ!………じゃなくて! 下級生のクラスで何やってんのよ!」


「何って? 信君と一緒にいるだけだよ?」


「だ・か・ら! あんたのクラスはこの下! わかる? し・た! 2年でしょ! 1年の教室に馴染まないの!」


「桜こそ何言ってるのよ! 信君の隣が私の居場所なのよ!」


「学年違うでしょ!」


「そんなの関係ないもん!」


「雪姉、やっぱり自分のクラスに戻ったほうがいいよ」


「でもでも、50分も離れちゃうんだよ?」


「あんた、休み時間ごとに来るつもり!?」


「雪姉…雪姉が怒られるの嫌だな………」


「…信君……うん! わかった! お姉ちゃん頑張るよ!」


「私、無視されてる!?」


「信くん、充電していい? ぎゅって…して……」


「ゆ、雪姉!?」


「ねぇ、お願い…50分がんばれるように、ね? ぎゅってして?」


「…う、うん。わかった」


「信く〜ん…あったかい」


「………いいなぁ〜雪。私もされたいなぁ」


桜さん、雪姉を止めに来たはずでは?

ミイラ取りがミイラになった?

まぁ雪姉を抱きしめてる俺が言える立場じゃないけどね。

それにしても雪姉は相変わらず抱き心地がいい…。

なんていうか俺仕様?


「…いつまで抱き合ってるのよっ! 早く私と代わりなさいよ!」


…あれ?

本当にミイラになってる?


「何言ってるの? 信君は私のなの!」


「いいじゃない! 少しくらい!」


「だめ! それにもう時間もないもん! 信君に迷惑でしょ!」


「そう言いつつ雪はまだ抱き合ってるじゃない!」


「私は良いの!」


「なんでよ?」


「私は信君の所有物だもん! もう身も心も信君のものだもん!」


”き―んこーんか―んこーん”

”ガラッ”



「みなさ〜ん、席に座ってくださいね。 あら? 2人は上級生…雪さんと桜さんね。教室に戻りなさい。 信君のお世話は休み時間に、ね?」


「は〜い。信君、頑張ってね? 何かあったらすぐにお姉ちゃん呼ぶんだよ?」


「ほら、雪早く教室戻るわよ」


「うん。雪姉も桜さんも頑張ってね」


さすがに先生の言うことは聞くか。

ふぅ、これからはこれが日常になるんだろうなぁ〜。

嬉しいような恥ずかしいような。


「まさか、初日から噂の姉弟が見れるなんて、先生ビックリだわ〜」


…先生の間でも噂になってたのか。

はぁ〜。

有名人っていうより動物園のパンダだな。

…今日もいい天気だ。




………んっ?

……何なんだろう。

…何かに突かれてるような?


「…ん…だれ?」


「あ! 信君、起しちゃった?」


どうやら俺は授業中(初日だから授業と呼べるようなものは無かったのだが)に寝てしまったようだ。


「ん、おはよう」


「おはよう、信君」


目の前に雪姉の顔。

どうやら雪姉が寝ている俺の頬を突いていたらしい。


「信君信君、はい」


「はい?」


はいってなんだろう?

目を瞑って口を突き出してる?

…何がしたいんだ?


「信君? まだ?」


「えっ? まだって?」


「おはようの、キッス」


「…はっ?」


「こ〜んの〜バカ!!! 雪あんたねぇ! こんな人前で何考えてんのよ! うらやましいでしょ!」


…桜さんいたんだ。

ていうか、そこ怒るとこじゃないし。


「何よ! いくら親友でも私と信君の時間を邪魔したら許さないよ! せっかく信君もしてくれそうなのに!」


いや、するつもりは無いのですが…。


「あんたは毎日家でイチャついてるんでしょ! 学校ぐらい私に譲りなさいよ!」


「人の弟に手出ししないでよ!」


雪姉、言いながら人を抱き締めないで欲しいのだが。


「いいじゃない! あんたこそ弟に何手出ししてんのよ!」


「私と信君ならいいの!」


「なら私ともいいじゃない!」


…話の論点がずれてる。

でも、指摘すると色々と面倒になるし…。

桜さんって年下好きだっけ?

昔雪姉が注意しろって言ってたような気がするけど…。


「桜さん、俺でいいの?」


「えっ?」


「そうよ、そうよ。桜、人の信君を取らないで!!」


「何いってんのよ! いい! 信はねぇ、容姿は可愛い系で甘え上手で優しいのよ! ほら私のストライクゾーンじゃない!」


「当たり前でしょ! 私の信君なんだから!」


「…すごく過大評価な気がする。それに甘え上手かな?」


「今だってさりげなく雪に甘えてるじゃない!」


「いや、これは雪姉が」


「信からも抱きしめてるのに?」


「ふふ〜ん。いいでしょ〜! 私と信君は相思相愛なんだから! 幸せな家庭も秒読みなんだよ!」


え!?

そこまで発展するの!?


「ずるいわ! 私もイチャイチャしたい!」


「だめ! 信君は私とするの!」


この二人の間に俺の意見は通るのだろうか?




2,3時間目の休み時間も雪姉と桜さんが来て嵐のように帰って行った。

たぶん、この数時間だけでもこの学校に一番名前が知れ渡ったであろう。

元から知れ渡ってたのもあるだろうけどね。

そして昼休み、どのクラスの窓からも見える中庭のど真ん中で、ランチマットを広げて座っている三人組。

そう、俺たちだ。

何をしてるかって?

そんなの決まってる。


「はい、信君♪ あ〜ん」


「あ、あ〜ん」


誰の目もない家でやるのは良いけど、こんなに注目されるとすごく恥ずかしい。


「雪ばっかりずるいわよ! 信、こっちもあ〜ん」


さらに桜さんまで対抗意識を燃やしてくるし…。

人目がなければ天国なのに。


「信君信君! 私にも〜あ〜ん、して欲しいなぁ〜?」


「雪姉…う、うん。いいよ」


雪姉の上目使いは、俺的にはクリーンヒットだ。


「くっ…雪、やるわねぇ。でも、私のショタ魂も負けないわよ!」


「俺ショタって歳でもないんだけど…」


「ふん。いくら桜でも私が信君を思う気持ちに比べれば天と地の差があるんだから!」


「どうだかね。雪はどうだかわからないけど、私は信にだったら身も心も全て捧げられるわよ」


「そんな程度なの? 桜、それじゃ私の勝ちだよ」


「えっ!?」


…なにか嫌な予感……。



「私はもう信君に全部あげちゃったもん♪」


「えっ!!!」


「!?!?」


なななな何言ってるのかな!

全部あげちゃった? 何を? 誰に? へっ?

…もしかしなくても俺って今ヤバイ?

あっ…周りからの殺気の乗った視線が…。

何より桜さんの方を向けない!

やべぇ、怖!!


「し〜ん〜!!! いったいどういうことよ!! 事と次第によっては私にも同じことしてもらうわよ!!!」


「ここでは無理ですよ!?」


「そこにツッコムの!?」


外野うるさい。

何か間違えた?


「さぁ! 雪、信! キリキリ吐いてもらうわよ!」


「な〜に〜? 桜、そんなに羨ましいの?」


雪姉!

それは火に油だよ!


「当り前よ! こんな可愛い子とだなんて!」


「じゃあ、教えてあげるよ〜。ねっ信君」


俺も教えてもらう側なんですけど………。


「信君とは〜、少し前に、一緒にお風呂入って、一緒にお布団で寝て〜、将来まで誓い合ったんだよ! 羨ましいでしょ!♪」


「おおおおおお、おふろ!? ねる!?………」


さ、桜さんが倒れた!?

って気にしてる場合じゃない!


「ゆゆゆゆゆ、雪姉! 何いってるんだよ!」


「? 何って? 全部本当だし、隠すことじゃないでしょ?」


「いやいやいやいや! 隠すことだし、少し前って10年前の話でしょう!?」


「うん、そうだよ? 何かまずかったかな? あっ! 分かった! 信君、照れてるんでしょ? 可愛いなぁ〜。 信君信君、ギュってしていい?」


言いながらもうすでに抱きついてるから!

というより、10年前を少しと言わないでくれ…。

精神的にも肉体的にも客観的にも全然違うから………。

ほら、10年前って聞いた途端周りが興味を失ったよ…。


「…小さい頃の信…ヤバイわ。ヤバすぎる。もうこれは(―――自主規制―――)しかないわね」


1人はさらに興奮してるけど…まぁ例外でしょ?

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