4日目~中編~
だいぶお待たせしてしまい申し訳ないです。
後編は再来週までには完成させたいと思います。
5日目からはまた前後編で掲載したいと思います。
”ピーンポーン”
チャイムの音で目を覚ました。
どうやらお粥を食べた後また寝てたようだ。
今は夕方か。ずいぶんと寝てたみたいだ。
体調も良くなってこの分なら明日には学校に行けそうだな。
「信君。桜と夏樹君がお見舞いに来てくれたよ。大丈夫? 起きられるかな?」
「うん。大丈夫だよ。大分良くなったみたい」
「本当! 良かった~。じゃあ、桜達呼んでくるね」
たかだか1日休んだだけでお見舞いに来てくれるとは思わなかった。
少し嬉しく感じる。
「信、体調はどう?」
「信、先生から今日の分の手紙と宿題貰ってきたよ」
「桜さんに夏樹ありがとう。でも、宿題はいらないかな」
「信君、だめだよ。ちゃんと勉強しないと私と同じ大学いけないよ?」
「雪……あんたの中では同じ大学に行くことは決定なのね」
「桜さん、当たり前じゃないですか。あの雪さんが信と違う大学にいくとはとても思えないですよ」
確かに違うとこ行っても追いかけてきそうだな。
まぁ、そもそも同じ大学に行く予定だけど。
近くに経営と調理の両方が学べる大学があってよかった。
「その顔を見ると信も雪さんと同じ大学に行くみたいだね」
「信も雪も大学で何すんの?」
「私が料理を勉強して、信君が経営を勉強して一緒に喫茶店開くの。それで、それで~私と信君がお客さんからおしどり夫婦ねって言われるんだよ!
それでそれで自分達で作ったウエディングケーキで結婚式をするんだよね♪」
「確かに喫茶店やろうって言ったけど、そこまでは言ってなかったよね!?」
「それいいわね! 信! 雪の代わりに私としない?」
「桜さんも何言ってるの!? ゴホゴホッ」
「2人とも信はまだ治ってないからその辺で抑えて」
「夏樹……」
やっぱり夏樹はいい奴だ!
普段からかってくるけどこういう時は頼りになる!
「治ったら一日中甘えていいですから」
「ちょっ!? 夏樹!?」
「本当!? 信君! お風呂も一緒でいい!?」
「もちろんです!」
「やた~♪」
「なつきぃー!」
「なら私はデートね! 信にたっぷりお姉さんの魅力を教えてあげるわ!」
「なら桜さんのデートの日程は僕がやっておきますよ」
「まて!? 本当にまて!」
「ありがとう! 信の次は夏樹ともね?」
「あはは。 いいですよ」
「少し前の気持ちを返せー!」
「信君…まだ休んでないと体に響くよ?」
「3人の所為だよね!?」
うぅ~理不尽だ!
雪姉とお風呂なんて……なんて……か、確実に理性が飛ぶ。
断言できる。理性なんて1秒も持たない!
「うふふ、信てばかわいいわぁ。私の弟もこれだけ可愛いければよかったのに」
「そういえば~桜の弟君、元気なの?」
「元気も元気で最悪よ。反抗期になってから可愛げなんてあったもんじゃないわ」
「桜さんって弟いたんですね」
「信も初耳なのか。なら僕が知らないのも無理はないですね」
「あれ? 言ってなかったっけ?」
「信はともかく僕は知らなかったですね」
「俺はともかくってどういう意味だよ」
「信は雪さんの事で頭いっぱいで忘れてるだけかもしれないし」
「そうなの信君?」
「それはもう当然ですよ。信は1年365日いつでも雪さんの事で頭がいっぱいで授業中も雪姉~雪姉~って言ってるんですよ」
「信君!♪」
「ちょっと待て!? 何その捏造!?」
「本当の事だろ? 入学式の後、信ってば寝言で雪姉~って言ってたし」
「なっ!?」
き、記憶にねぇ!? ほ、本当に言ってたのか!?
夏樹ってばこの手の嘘はつかないから本当の可能性が高いけど!
何もこのとき言わなくても!?
って、雪姉が静か……?
「ゆ、雪姉? あ、あのだな」
「……信君」
め、目が潤んでる!? 声かすれてる!?
な、何が起きた!? 泣くような台詞が今の会話の中にあったのか!?
夏樹か!? 夏樹かー!? 夏樹の所為なのか!?
「な、なつきー! ど、どうすんだ!? 雪姉泣かしたらお前だってただじゃ置かないぞ!!」
「直接な原因は信だよ」
「俺が何をした!?」
「信君」
「な、何!? どうしたの? どうすればいいの?」
「私と結婚してください」
どういう流れだ!?
どうしてプロポーズされた!? 俺からするまで待ってるんじゃなかったの!?
何か!? 夢を見るまで私を必要としてる! 私感激! もうこれは結婚するしかない!! ってことか!?
「なるほど。分かったわ」
「桜さん? 何が分かったんですか」
「今の雪の思考の流れよ」
「教えて貰えますか?」
「要するに、夏樹の言葉で妄想スイッチが入ってた雪は、信君が夢にまで私を必要としてる! 嬉しさでもうどうにかなっちゃう! こんな嬉しさをくれた信君には結婚して恩返しするしかない! 私は信君と結婚したい!!…って感じね」
「なるほど~流石は雪さん。そしてそこまで理解できる桜さんも流石ですね」
「ま、もっとも信も分かってたみたいだけど」
「あぁ、信は雪さん検定1級を持ってますから」
何その検定!?
「ねぇ? 信君……大好き」
…………はっ!?
意識が一瞬飛んだ。
なんていう精神攻撃。今の俺なら紙に判子を押してしまいそうだ。
「何の紙に?」
もちろん婚姻届だ。
「信、今自分が何しゃべってるか自覚あるか?」
ん? おかしいぞ。
心の声と会話してる?
「全部しゃべってるけど?」
「……夏樹、どこから?」
「意識が一瞬飛んだからかな」
「最初から!?」
「ちなみに雪が幸せで死にそうよ? 信、うらやましいから次私ね?」
「雪姉が死にそうって……」
どうして雪姉が俺の腕の中に居るんだろう?
さっきまでベッドの上で上半身だけ起こしてる状態だったよな?
んで、今は俺の脚の上に雪姉を横座りで抱っこして、顔を胸に抱き込んでる状態。
……あれ? おかしくない? いつの間に雪姉を抱きしめたんだ?
「信、混乱するのも良いけど、そろそろ雪さんがとろけるよ?」
「あわわわ!? ご、ごめん!」
「やぁ~、もうちょっと~しんくん~ぎゅ~うってして~」
「とろけたわね」
「とろけましたね」
「ゆ、ゆきねぇ!?」
「えへへ~しんく~ん。だ~いすき~」
感想を心の底からお待ちしております。