1-4 百科 辞典 side
さて!次はブックさんのお話!
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「では、会議はここまでにしましょう。お疲れ様でした。」
「「「お疲れ様でした。」」」
今日の企画会議は終了。本日の予定はこれで終わりなので、他の方に負担をかけないように帰宅するとしましょう。
私 豊橋 昴《とよはし すばる》はある企業の会長職をしています。実務は後任の社長に任せていますが、まだ着任後日も浅く決定権は私が持っていて欲しいと言われたのでその方針に従っています。
「では、私はこれで帰宅しますので、なにかあれば連絡をください。くれぐれも残業を少なめに、ご無理なきよう皆さんに伝えてくださいね。」
「かしこまりました。」
秘書にそう告げ会社を後にする。某国立大学を卒業後企業、個人的には一発屋だと思っていますがその後も会社は順調に推移しています。ありがたいことですね。
最近の私の趣味はUnique・Union・Onlineというゲームをプレイすることです。中でも、最近知り合った初心者の方々がとても前向きで応援したくなる好青年で、その方が誘ってくださるので仲良くさせていただいております。
それにしてもフルダイブVRゲームとは凄いですね。年老いた私でもなんなく激しい動きができるものですから現実との乖離が起こるんではないかと少し不安を覚えるほどであります。
☆
「あ、ブックさん!」
「お疲れ様です。ナツさん。」
この方が先ほどお伝えしていた好青年です。みるみるうちに人の輪を拡げていかれる生きることにおいて貴重な能力をお持ちの方です。この方から溢れる魅力について行きたい、と思う方はとても多いのではないでしょうか。
そしてブックさんと呼ばれている私はこの世界では百科 辞典《ひゃっか じてん》という名前で生活をしています。もう少しマシな名前は無かったのかと今では思いますが、当初はよくわかっていなかったもので後悔が残るばかりです。
ですが、今ではこの名前もとても気に入っております。お若い方にブックさんなどと素敵なあだ名をつけて頂きましたからね。他の方々にもブックさんという呼び名が浸透していて愛着を持って呼んでいたたげるので感謝ばかりが募っていきます。
そんな私のアバターは長身白髪でロングヘアーをひとつにまとめ、片眼鏡をかけています。余り若い方の装いをする気には慣れなかったのでいわゆる英国の執事のような風体でしょうか。
「して、今日はなにをしますか?」
「んー。カミがそろそろくるんだけど森エリアの女王蜂討伐行きたいって言ってたよ。女王蜂は私の敵だ。なんだって。」
「理由がおカミさんらしいですね。ですが女王蜂ですと少し難易度が不安でしょうか。装備を更新してみては?」
「そうなの?じゃあまずそこからかな〜。」
「でしたらとりあえず今のレベルで装備できる上限の装備を作りましょう。すこし素材を見てくるのでお待ちください。」
「ありがとう!ブックさん!」
それにしてもゲームの世界に入り込むというのは本当にファンタジーですね。私は召喚メインの魔法職を担っているのですが、妖精や魔獣といった絵本の中に出てくる生き物を召喚することができるとは年甲斐もなく少年心をくすぐられております。
☆
「女王蜂ってそんなに強いの?」
「少なくともナツさんだけでは受けきれないのではないでしょうか。盾持ちではないですし。」
ナツさんは二刀長剣のタンク兼アタッカーというポジションになります。以前効率のお話をさせていただいた時も、「いや、これは譲れない。かっこいいし。」と仰っていたのですが、自分を持っていて立派な方です。どうしてもよく見る方々だと攻略をメインに持っていきがちなのですがナツさんは本当に心から楽しんでいる様子が伝わってきて好感が持てますね。
「あータンク呼ぶ?だれかいるかなー。」
「ヒールは何とかなりますからね。純アタッカーか純タンクでしょうね。」
「まだ時間早いし全然フレンドさんログインしてないね。」
「いやほんとそれだわ。」
このお二人見かけによらずフレンドのことを絶対フレンドさんとおっしゃいます。これもナツさんのこだわりだそうです。本当に立派な青年だ。うちの会社の社員だったらいいのになぁ。
「あ、1人ダンジョンから出てきたっぽい。」
「だれ?」
「オムさん。」
「だれだっけ。」
「あの人だよ。初日の。」
「えー覚えてないー。」
「だろうね。」
「初めての方なんですか?」
「遊んだことはないかも。とりあえず連絡してみるね。」
この辺のコミュニケーション能力、最近ではコミュ力と言うらしいですね。これもこのお二人の魅力だと思います。
そしてメールではなく通話ですか。さすがのナツさんですね。音は聞こえませんが口がパクパクと動いていますので間違いなく通話です。
「くるって。あとタンクも出来るって言ってた。」
「それは僥倖ですね。」
「難しい言葉分からなーい!」
「とっても良かったですねってことですよおカミさん。」
「はーい!」
この方々といると本当にいろいろな出会いが待っていますね。本日の冒険もとても楽しみです。




