1-3 God Venus side
1-3はGod Venusことおカミさんのお話ですよ!お楽しみに!
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「直人も一緒にできたら良かったのにね。」
「まあそれは仕方ないよ。出張決まってたからみんなを誘わなかった訳だしね〜。」
私脇坂 すみれ《わきさか すみれ》の夫、脇坂 直人《わきさか なおと》は商社に務めている。直人は海外赴任も多く、家を空けることも多いがその分めちゃくちゃ稼ぎがいい。直人のプロポーズの言葉は、「あなたをお姫様にしてみせます。」だった。口下手な直人がまあよくもそんなセリフを言えたものだと思ったものだ。
実際都内タワマンに住まわせてもらって自由に過ごす日々を与えてもらっている私は、自分の仕事も時短社員に変更した。やめてもいいよ。と言われたが直人がいない日も多いので暇という理由で続けている。もちろん仕事はきっちりこなしている。思っていたより私は動いていないとダメな性格のようだ。
というわけで、私は今晩からユニユニを始めることになった。直人のソフトをそのまま私のヘッドギアで使うのでインストールに時間はかからない。
「どーせまたナツはイケメンキャラメイクするんだろうなー。性格でモテるんだからイケメンやめたら揉めないのに。」
実際女性関係で揉めたゲームは前回のゲームだけではない。ただ、本人にその気が無さすぎるのが逆に問題といった感じではある。以前バッサリ切り捨てていたときの言葉は異性の私からしたらひどすぎると思った。
「ゲーム内で恋愛とかだるいから。リアルで会ったこともないのにそんなの持ち込まないで欲しい。迷惑。とか言われたら泣くどころか恋愛恐怖症になりそうだけどな。」
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金髪ロングの高めポニーテールに、褐色つり目の黒ギャル仕様である。いやに好戦的な見た目をしているが基本スタイルは後衛魔法型が得意だと自負している。とくにどのゲームでもヒーラーが好きだ。
「キャラクター名ねー。ナツはまたコミュニティ拡げていくから全員に崇めさせないと行けないからなー。あ、そうだこうしよう。」
キャラクター名 God Venus《ゴッド ヴィーナス》。神様女神様。これでみんな私の事を崇めるだろう。全員に女神様って呼ばせてやる。
なお、後々におカミさんと呼ばれることになるとはこの時のすみれは知る由もない。
装備はレザーアーマーでいっか。フルプレートなんて絶対着ないし。よし、おっけー。ナツはインストールしてからだしもっと遅くなると思うけどログインしちゃお。
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「え、なにこれダッサ!」
自分の姿をみて驚愕。初期装備のレザーアーマーを着ている黒ギャルという変な構図が出来上がっている。
「とりあえずプライドが許さないから防具屋かな。」
こうして防具屋へ向かった私だが、アルビガンは最初の街だ。当然NPCの防具屋もスターター向けの装備しかない。
「可愛くない!」
余談だが私は意外と情報収集をするタイプだ。ユニユニに関してもプレイはしていなかったがいろいろなメディアやサイトから情報を集めている。
ユニユニにはトレードリストというものがあり、プレイヤーの制作物やドロップ品などをトレードできるツールがある。
「これ可愛いなー。こっちもいいなー。つか高ぇ。」
などとネットショッピング感覚で見ていたがどれもこれもキャラを作ってすぐでは買えない高価なものばかりだ。
「うん。一旦落ちよ。」
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「直人。はい。」
「あれ?もうやめたの?」
自室で仕事をしていた直人にソフトを渡す。
「ううん。一旦ログインして全額私に振り込んできて。」
「どゆこと?」
「服買いたい。」
「あー。わかった。」
そういってユニユニに消えていく直人を見送る。それにしても仕事してたのか。夜食作って置いといてあげよう。残り物だけど。
こうして直人の全財産をかっさらい欲しい装備を買い漁る私。さらに、出来る夫は可愛い装備をお金と一緒に用意してくれていたのだった。




