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Unique・Union〜トップランカーなのに奴隷をやっています〜  作者: 三笠 どら
第4章 『Abyss Ohm in luce』

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4-3 オムside

 

 ☆


「グランドクエスト?」


 攻略も落ち着いたある日、のんびりと過ごしているナツさんにおカミさんがナツさんの進行状況を確認したことがきっかけだった。


「え?もしかしてナツ知らないの?」


「そんなのクエストリストにもないけど?」


「ハッハッハ!これはまた予想外ですね。本当に読めないお方だ!」


 あろうことかナツさんは半年以上メインストーリーを全く進めてないという。


「えっとね、ナツさん。ユニユニにもメインストーリーが一応あってね、各街のこととかボスがなんなのか、っていうのを解き明かすというか教えてくれるクエストがあるんだけど。」


「うん。」


「ナツも最初始めた時クエストリストにあったでしょ?」


「ない。」


「あるわい。」


 おもわず突っ込んでしまったが、ないわけがないのである。

『Grand Quest・己が轍』|《グランド クエスト・おのがわだち》というクエストが最初にクエストリストに表示されている。自分で破棄しない限りなくなるわけがないのだ。


「ナツさんクエストリスト削除した?」


「いつ?」


「初めの頃!」


「あー、なんか楽しくて街の人に話しかけまくってたらめっちゃクエスト受けちゃって全部消したことあるかも。」


「「それだ!!!!」」


 おもわずおカミさんとハモってしまったがそんなことはさておきだ。実際受け直すこともでき、喪失することはないので問題は無いのだが、この人はほんとにもう。


「やらなきゃいけないやつ?」


「むしろやらずにそこまでスキル上げてるのすごいですよ。」


「経験値おいしいもんね〜。」


 グランドクエストは経験値報酬が大きい。言わばこれを進めていけばある程度大丈夫ですよ。という運営側のメッセージである。


 実際ユニユニではグランドクエストに行き詰まったらレベリングをするという人も少なくないのである。


「ナツさん、グランドクエスト面白いよ!!!」


「おもしろいの?」


「わたしはあんまり話聞いてない。NPCの話長いし。」


「なんで!?おもしろいのに!?あのね、ナツさん、まず最初の重要キャラがいてね、それでその人のことは覚えておいて欲しいんだけどね、最初はダラダラ話してくるんだけどね、あのね、」


「あ、うん。大丈夫。」


「掲示板でも賛否両論あるようですが、ちゃんと聞けばよく考えられた物語だな。と思いますよ。」


「ふーん。すぐ終わる?」


「ナツが釣りとか料理研究とかしてる間に終わらせてる感じだから何日もかかるとかはないかも。」


「このゲーム自由だなー。って思ってたんだよ。じゃあ俺グランドクエスト進めてくるわ。どこいけばいい?」


「まずはアルビガンですね。クエストフラグまで私がお供しましょう。」


「え?つ、続き聞かなくていい?今からいい所なんだけど。」


「ありがとうブックさん。オムさんごめん大丈夫。長そう。」


 こうしてナツさんとブックさんはアルビガンへと向かった。



 ☆


『オムさんヘルプ。アルビガンのカフェ前で。』


 その日の夜中、恐らくグランドクエスト進行中であろうナツさんから通話が飛んできたので言われた通りアルビガンへ向かうと、ナツさんがカフェのテラス席に陣取っていた。


「どうしたの?」


「まあ座りなよ。チョコパフェ奢るから。」


 言われるがままパフェを奢られる私。


「グランドクエスト進んだ?」


「今おじさんに会って色々して来いって言われたところ。」


「あ、うん!そのおじさんがさっき言ってた重要キャラなんだけどね!そのあとね!」


「あ、ごめんその話は大丈夫だわ。本題は、これ作れなくて。」


 そう言って私にアイテムウィンドウを見せるナツさん。アイテム名は『鉄の斧』。


「これ1番初歩の制作ツリー開放すればいいだけだよ。」


「俺さ、今ね、もう少しでシャイニングオーバーレイに手が届きそうなんよ。」


 シャイニングオーバーレイとは長剣光属性強攻撃スキルだ。なんと消費コストは25だとか。私は高いコスト払って取るほどでもないし長剣を極めることも無いのでスルーしている。このスキルを取れば長剣上級者と言われている。


「でね、こんなところで必要ないスキル取ってらんないのよ。だから作って?」


 悪魔のような笑顔で語りかけてくる我がギルドマスターだが、その手には乗らないぞと反抗する。


「いや、ナツさん。ここはそれ取っとかないと今後躓くよ?っていうクエストからの指示だと思うな。現に制作ツリーも多少なりとも進めていかないと制作の幅も広がらないよ?」


「制作は料理できればそれでいいよ?」


 そうだったこの人はこういう人だ。いや、だがしかしここで折れてはこの人の為にならない。ここは頑としてスキルを取らせるのだアビスオーム。と自分で唱えた矢先ナツさんの指が私の手元を指さしている。


「え、なに?」


「食べてるよね。パフェ。」


「え?うん。」


「報酬払ってるよね?だからよろしく!」


「なっ!?えっ!?あっ!!!」


 くそっ!そのためのパフェだったのか!してやられた!恐らくそんな表情をしていたのだろう。私の慌てぶりを見て爆笑モードに入っているナツさん。

 こうして何かにつけては甘いもので釣られもはや経験値の足しにもならない初期制作や初期採取を幾度となくやらされるのであった。

 そして私にグランドクエストを語らせてください!!!!!



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