4-1 オムside
さて、第4章 『Abyss Ohm in luce』が始まりました。
4章ではオムさんがどんどんナツ及びルーチェに染まっていく様子を描いていきます。
お楽しみください。
☆
「だめだ。やることが思い浮かばない。」
今日は日課のレベリングと素材集めを終え、時間が余ったのでボス素材を集めるために滝エリアのフィールドボスを10周してきた。もう戦闘は疲れた。素材もダブついている。
というのも、現在新規アップデートの3日前。現在最大難易度の雪山エリアは人で溢れかえって狩場の取り合いが行われる始末。こんなところにソロで行ったって邪魔になるだけだし、落ち着いて素材採取もできやしない。かといって下位素材は取っても利用用途が厳しいものがある。つまり、やることが無いのだ。
「私は今日はレベリングするの!」
「俺は今日は戦闘する気分じゃないの。」
「そんなこと言ってるからまだ岩山エリアの途中までしか行けないんじゃん。」
「別に急いでやらなくてもいいだろ。」
ログインしてきたおカミさんとナツさんがまた言い合いをしているのでとりあえずそちらへ向かうことにする。
「2人ともおはよう。」
「あ、オムさんおは〜。」
「おはよう。」
「じゃあナツ私行くね。」
「うい。」
そう言ってハウスの外へ出ていったおカミさん。ナツさんはメニュータブを開いて難しい顔をしている。
「ナツ〜!シカさん来てる!」
「ん?おう。」
慌ただしく戻ったり出たりしていたおカミさんの後を追うようにナツさんも庭へ。これはタバコだろうな。ちなみにナツさんのこだわりのおかげ?でルーチェハウスの喫煙所は近所の愛煙家の溜まり場となっている。
とりあえずシカさんもいるならコーヒーでも入れるか。
☆
「お、お邪魔します。」
「いらっしゃい。コーヒー入ってますよ。」
「あ、えっと、恐縮です。」
シカさんは私がトップランカーだと知っている数少ない人だ。聞かれたので答えただけだけど、あれ以降シカさんは私に遠慮気味。気にしなくていいのに。
「オムさん麻雀打てる?」
「え?麻雀?」
「うん。」
ちなみにこのゲームには麻雀を始め花札やポーカーにブラックジャック、果てはおはじきやメンコまで様々なミニゲームが存在している。
「いや、やったことないけど。」
「ポンジャラは?」
「それなら小さい時に。」
「じゃあ行けるか。」
そう言ってすぐだれかに連絡を取っている。
「オムさん聞いてね。とりあえずポンチーカンは無視して123でも678でもいいから連なるか333とか555とか同じのが3つ集まる形を4つと、2と2みたいに同じのが2つ。これを雀頭とかアタマっていうんだけどそれが出来たら上がりね。とりあえずルール読んどいて。」
「え?私もやるの?」
「うん。暇そうだったから。」
「わ、わかった。」
まあやること無かったしいいか。とりあえずルールをよく読むことにする。意味がよく分からない単語が多いが概ねナツさんの言ってた通りのようだ。
「あ、リーチって出たらリーチしたらいいよ。」
「はい。」
リーチとは、となったのでリーチのところの説明も読んでおく。そして、ナツさんは席を外し2階へ上がって行った。
「・・・。」
「・・・・・・。」
シカさんと2人きりになった私。なにか言いたげに口を開いては閉じているシカさん。
「あ、あのさ、ごめん。ちょっといい?」
「は、はい。なんでしょう。」
「あ、いや、あの、もし分からないところがあれば、俺で良ければお伝えできると思うので。」
「あ、ありがとうございます。後そんなに畏まらなくていいですよ。自然にで。」
「あ、うん。その、ナツは知らないんだよね?その、Abyssさんのこと。」
「多分知らないと思います。というかランカーの名前1人でも知ってるのかも怪しいです。」
「そっか。」
本当に聞きたかったのは恐らくそっちだろうな。そしてまた始まった沈黙に耐えきれず必死にルールを読む私である。
ちなみに、しばらく経ってからミスさんがハウスにやって来て、ナツさんはいつの間にか空き部屋だった部屋を麻雀ルームへと変貌させており、第1回麻雀選手権第1試合(ナツさん命名)が開催されるのだが、
「弱ぇwwwwwwwwww」
と、初心者の私をカモにしたナツさんに散々馬鹿にされるのだった。
「麻雀、覚えよう。」
悔しさのあまりそれからアップデートまでの3日間麻雀の勉強に費やした私であった。




