〜プロローグ④〜
☆
ご飯が足りない。と呼び戻された私は大急ぎでギルドハウスに戻った。戻ってすぐ工房に入り料理の追加を用意する。
「あ、戻ったって言っとかないと。」
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遅くなりました。
もう着いているのですぐ追加作ります。
From Abyss Ohm
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ひとまずこれでいいだろう。同じメニュー出すのも味気ないからとりあえずパッと出せるもの出してから少し手の込んだものを用意することにしよう。
「おかえりなさい。」
「ただいま。ブックさん抜けてきていいの?」
「戻ったって聞いたので手伝いにきました。」
「わー!まじか!ありがとう!助かる!」
ブックさんとは百科 辞典《ヒャッカ ジテン》というキャラ名でナツさんにブックさんと名付けられた我がギルドのサブマスターである。ゲームに豊富な知識量を持つと同時に一般社会においてもものすごく物知りな落ち着いた方だ。さらに召喚をメインに戦闘をしている為、戦闘中も本を開いているという。
「あ、そういえばフィールドボス初討伐おめでとうございます。」
「あ、ありがとう。初って知らなかったからびっくりしたよ。」
「ソロ討伐ってオムさんだけですよね?すごいなー。」
「廃人なだけでしょ。私と同じ時間やってればみんなも出来ると思うけどな〜。」
「またまた、ご謙遜を。」
こんな会話をしていると工房のドアが勢いよく開く。
「オムさん!!お腹いっぱい!ケーキ食べたい!!」
こんな感じで勢いと欲求を飛ばしてくるのはもちろんおカミさんだ。
「皆さんもうご飯いいの?」
「知らない!私が食べたい!」
「えぇ・・・。」
「とりあえずもう少しデザートは待ちましょうか。今新しい料理ができたところなんですよ。私が知る限りおカミさんはまだ食べたことがない料理だと思いますよ?」
「え、そうなの?じゃあ待ってるー!早く持ってきてねー!」
ブックさんのこういうところは流石だ。このギルド内でも上手く全員の意見を取り入れ緩衝材となっている。なぜこんなにもできた方があの2人についているのだろうと思って以前聞いてみたことがあるが、その時もなんてよく出来た方なんだろうと思ったものだ。
「さて、嵐も去りましたしこちらお持ちしますね。」
「ありがとうブックさん!」
「ケーキよろしくお願いしますね。私は製菓のスキルは取っていないので、すみませんが。」
そして料理を運ぶためにパーティ会場へと戻っていくブックさん。
ちなみにこのVRゲームは味覚が反映されているので美味しい不味いといった表現や新しい料理なども魅力のひとつだ。料理ギルドなどもあり日々開発が繰り広げられているとの噂である。
「とりあえず、ひと段落かな。」
ケーキ作りも終わりひと段落。なんだかんだで5種類も作った私である。このゲームはできることが多くてとても楽しいのである。一息つくと急に疲れが押し寄せてきた。思い返せばフィールドボス討伐から今の今まで動きっぱなしだった。
「ふぅ。一旦落ちようかな。」
1度落ちてご飯とお風呂を済ませてしまおう。落ちる前にナツさんに連絡だけ入れておかないとな。
『ナツさん、私一旦落ちるね?』
『ん?じゃあ一旦そっち行くわ。』
『え?はい。』
ほどなくしてナツさんが工房に入ってくる。
「お疲れオムさん。」
「ほんとだよ。バッタバタだったんだから!」
「事前に準備しとかないからそういう事になるんだよ。」
さすがは我がマスターである。このパーティの準備聞かされたの一昨日なんですがね。
「今日もう戻らんの?」
「多分戻ると思うけどね。あ、でもいつも通り景品系のは不参加でいいよ。」
「わかった。それでね、はいこれ。」
手渡されたのは『黒曜鉄鋼』という素材だった。岩なのか鉄なのか分からないが鉄鉱石系のレアドロップ素材だ。
「すごいじゃんこれ!くれるの!?」
「は?ミスミズがくれたんだよ。俺が前から欲しいって言ってる長剣の素材なんだって。今日じゃなくていいから作っといてね。」
そしてまたパーティ会場へと消えていったナツさん。
「は?はひどくない?」
このように、私はワールドランキングトップランカーなのに中規模ギルドの奴隷をしています。
な・・・なんて不憫なんだオムさん。
と、このようにドタバタと展開しながらアビス オームという主人公を中心にVR MMOゲームを題材にしての物語を描いていきます!
どうぞ今後ともよろしくお願いしますね!




