ある日のナツ
☆
「・・・。」
「ナツ、どうしたの?」
「考え事してた。てか今日別行動でいい?」
「いいよ?何すんの?」
「釣り。」
「いってら。」
このゲームに釣りがあったとは。鯉釣、じいちゃんとよく行ったな。ちなみに俺はバス釣り派。釣り上げたのは4.5回。基本釣れない。でもだからこそその1投が忘れられない。
「よし。」
大物を釣ろう。とりあえず竿だな。そうしてNPCショップでレベル1でも装備できる竿を購入。そして、トレードリストで1番すごいルアーを購入した。
☆
「風が気持ちいいしここでいっか。」
湖畔のほとり、手には釣竿、頭には麦わら帽子。そしてお弁当を携えいざ釣り開始だ。
「うーん!のどか!」
ゲーム内で自然を感じるというのも変な話だがこれはこれで。あらためてこのゲームの作り手のこだわりを感じるとか言っちゃうとメタかな。
『ナツさん。今よろしいですか?』
『どうしたのブックさん。』
『デイリーにお付き合いいただこうかと思いまして。』
『あーごめん。今日俺戦闘お休みするわ。』
『そうなんですね。して、今日はなにを?』
『釣り。西湖にいるよ。』
『では終わったら1度顔を出しましょうかね。』
『はーい。』
ごめんなブックさん。でも俺は今日はのんびりするって決めたんだ。
☆
「お疲れ様です。」
「ふぁ、ぶっふふぁん。ふぉふふぁれ。」
「飲み込んでからでいいですよ。」
「ブックさん。おつかれ。」
「釣れてますか?」
「え、まだだけど。」
「まだ!?2時間ですよ?」
「そうだね。」
「あ、ごめんちょっと待ってね。」
ブックさんがやってきたと思ったら今度はゴリラさんから通話が。
『ナツくん。カジノいかないかい。今日イベント日とのことなんだが。』
『あー、ごめん今釣りしてるわ。』
『あ、そーなの?じゃあまた誘うよ。』
『あ、ちょっとまってね。』
「ブックさん。ゴリラさんがカジノでイベントあるって言ってる。」
「そうですか。それは面白そうだ。では代わりに私が行きましょう。」
『ブックさん行くって。』
『了解だ。馬の前って言っといておくれ。』
『りょー。』
「馬の前だって。」
「ありがとうございます。」
こうしてブックさんは去っていく。
☆
『ナツー?』
『ん?』
『まだ釣り?』
『うん。』
『釣れた?』
『いや1匹も。』
『だっさ!私落ちるね。』
『あーい。』
☆
「どうです?釣れました?」
「いや、まだ。」
「餌があってないんじゃないでしょうか?」
「《スパイシングシザーシュリンプ》だからね。」
「すみませんそれはどういう餌なのでしょう。」
「ん?主釣るやつ。」
「それはちょっとスキル足りなくありませんか?」
「釣りはどれだけ待てるかだよ。」
「ほう。ですがもう5時間ですよ。」
「ポイントが違うのかな。何ヶ所か投げてるんだけどね。」
「そういうことでは無いのかと思いますが・・・。」
☆
「1度諦めてみてはいかがでしょう?」
「いや、俺は主を釣るよ。」
「はぁ。」
ブックさん呆れてるなぁ。まあだいぶゆっくりしたしそろそろ潮時かな。
「ん!?」
「来ましたか!?」
「きた!!!!!!きたきたきた!!!!」
ついに今日初HITだ!!重い!重いぞ!!これは主か!?
「落ち着いて、冷静にですよ。」
「うんぬ、うぉおおおお!!!!」
そして湖面から1度跳ね上がる主。そして切れる糸。
「うわぁ!!!」
そして、盛大に尻もちをつく俺。
「あぁ。残念。やはり竿が・・・。」
「ねぇ!ブックさん!!見た!?主だったよね!?」
「え、はい。あれは恐らく主ですね。」
「見た!?見たよね!?ヤバっ!釣れるじゃん!!」
「悔しくはないのですか?」
「え、全然!?絶対釣れないと思ってたし、でもさ!かかるんだよ!すごくない?やばっ!このゲームおもしろ!」
「でも6時間もずっと座ってただけですよ?」
「ん?釣りってそういうもんでしょ?」
いやー。満足だ。楽しかったー。
「帰ろっか。」
「ではお供しましょう。」
うん!いい1日だった!




