ある日のカミ
☆
『ねぇ、ナツ前出るのやめて。』
『え、出てなくない?』
『あの斧の人、タゲ取ってないんだよね。ナツが叩くと攻撃全部ナツに行くの。』
『でもそれじゃ終わらなくない?』
『うーん。』
今はナツとブックさんとデイリー消化中。デイリーは何種類かあるけど、今は1ボスのみの短いダンジョン攻略中。
「どうかしましたか?」
なにかを察したのか小さい声で話しかけてくるブックさん。
「なんかね、タンクの人タゲ取ってないからナツが叩くと被ダメが全部ナツにいくの。だから前出るのやめてって伝えたの。」
「なるほど。少し様子を見ましょうか。」
☆
そしてボス戦。
「ナツ!バック!」
「あーもう!」
だんだんナツのフラストレーションが溜まってる。
「あの、斧の人、すみませんけどもう少し多めに《ウェルム》打ってください。」
《ウェルム》とは敵のターゲットを自分に固定する為のスキルだ。タンクプレイには必須のスキル。
「は?打ってるけど?」
「え?じゃあもう少し多くしてください。すみませんがよろしくお願いします。」
「は?だりぃ」
なんだコイツ。あ、やば、ナツがキレそう。
『ナツ。我慢ね。』
『・・・はいよ。』
だけどその後もナツがスキル使う事にタゲがナツに移る。
『あの方、自分の方に向いてる時に打ってますね。』
ブックさんから通話が入る。だからナツに向いてる時には打たないのか。そして諦めたのかナツがなりふり構わず攻撃しはじめた。しかも自分で《ウェルム》打ってる。だめだこりゃ。
「ねぇ、1回もどって?」
まさかのタンクから戻れとの指示。タンクがバトルを放棄したので安全エリアまでさがる。
「なんでお前《ウェルム》打ってるの?」
「は?お前が下手だか・・・!?」
思わずナツを叩く。喧嘩買ってどうすんのよ。代わりに私が説明する。
「あの、できれば他の人にタゲが向きそうなときに打ってもらえますか?見ていると意味の無いところで使っててリキャスト回ってないように見えるので。」
「は?なに?俺のせいってこと?ていうかヒーラーのあんたもさ、ちゃんと俺の事ヒールしてくれる?」
は?してるだろ。
「いつも一緒にやってる人は俺のHP半分超えたことないよ?下手なのはしょうがないけど。下手なんだから彼氏庇ってないで上手くなる努力しようよ。おばさん。」
あー。だめだこれ。もうだめだ。
「おい。カミだめだぞ。だめだからな。」
「だれが下手だって??お前そもそも最初からずっと下手だろうが!!!だいたいなんでそんな装備してて紙耐久なんだ?あ?つーかお前今おばさんっつったよな??誰がおばさんじゃぶっ〇すぞお???だいたいてめぇそんなイキってるけどお前がだれよりも1番下手なんだよ、いいよ、ナツのことは、こいつも出過ぎだしタゲもキープしててDPSとしてはダメだよ。わかるよ!ただなぁ!!それはお前が下手だからだし、お前が下手じゃなかったらあーしもお前だけ回復してれば済むんだよわかるか?おい聞いてんのか返事しろよク〇ガキがよ???だ!い!た!い!お前最初っからは?とか言ってたよな??まずだいいちお前誰に向かってもの言ってんだ?なんなら1からタンクについて教えてやろうか?お?お前のツレってだれだよ??あーしより上手なんだろ?だったら今から目の前に連れてこいっつーの!!どーせいつもひとりでぼっちプレイで人に迷惑かけてだれもフレンド登録してくれねぇんだろ?あ?図星か??フレンド多いなら今この場であーしにフレンドリスト見せれんのか?あ?やーいやーい!ぼっちやろうーーー!!!今ここで土下座して謝罪しろやボケが!!!!あーしのことおばさんっつったこと後悔させてやる跪けドカスが!!!!はやく!!!やれよ!!!!ぶっ〇すぞ!!!このやろうが!!!!」
「よし、とりあえず解散。ごめんなタンク君。こうなったら俺もこいつ止められないんだ。あと彼氏じゃないから。」
「ふむ。喧嘩両成敗ですね。今回に関してはこちらも悪いので謝罪しましょう。」
「あ、あとタンク君。今こいつが怒鳴り散らしてる間に掲示板見てたんだけど君のスレ立ってるから見てみた方がいいよ。じゃ!」
こうしてふたりに連行された私は不完全燃焼のままこのク〇タンクと引き離されるのであった。
「次にあったら覚えとけよ!!!名前、覚えたからな!!タイタンフォール!!!!次会ったら崇めさせてやる!!!!!!」




