2-10 オム side
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本当に嫌味とかなく心の底から思っている感じだな。正直私からしたらブックさんがだれよりもついていきたい感じなんだけど。
「あの、質問いいですか?」
「はい。なんでもお答えしますよ。本名以外でお願いしますね。」
この時、この人も冗談言うんだな。と思った。いやでもブックさんなら本当にリアルのこと以外答えてくれそうだな。
「なんでそんなにお2人にくっついてるんですか?ブックさん程の人格者からは理由が想像できないくらい特例というかそれこそ嵐のような人達ですよね?」
「きっかけはデイリークエストのランダムのマッチングでしたね。」
「デイリー?そんな絡むことないですよね、デイリーって。」
「そうですね。ですがその日、少しトラブルがありまして、そこで出たのがあのナツさんのスイッチが入った姿におカミさんの火力のコンビネーション。心が踊りましたね。終わってすぐフレンド登録をお願いしてからのお付き合いになりました。」
「あー、あれは確かに凄かったですね。よくあるんですか?」
「基本的に楽しくがメインの方ですし、あまりないですね。窮地に、というわけでは無いですがクリアが難しい時にご自身が楽しくなってくるようです。」
「なるほど。」
あのスイッチは確かに特殊だし、ヒーラーメインの人のあの火力も初級ではあんまり見ないしな。そら興味もそそられるよね。
「それから何度も誘っていただき、とにかく楽しそうなお2人のことをもっと知りたいな。と思って行動を共にしている形です。」
「初めてご一緒した女王蜂の時でナツさん達はまだ2ヶ月とかそこらでしたよね?その前からだともう半年近く一緒ですか?」
「そうですね。毎日、という訳では無いですが大半の時間を一緒に過ごさせていただいております。」
いや、ナツさんたちがどうかじゃないんだけどさすがにここまでベタ褒めするのにはもっと理由があるよね?なんなんだろう。そう思っているとこちらの考えを察したのか、見透かされたのか続けてブックさんが話す。
「ナツさん達って、そこそこちゃんとゲーマーですし、経験値とかも高いと思うんですよね。ゲームって先に進んでどんどん強くなって周りを追い越してゆくゆくはトップにという方が多いと認識していたんですよ。」
それは確かにそうかも。ランカーじゃ無かったとしてもある程度上を見て進むのが標準的というかなんというか。上達したい、高レベルでいたいとか。
「でもね、特にナツさんはよく寄り道をなさるんです。あれがしたい。これがしたい。と。ああ、なんて楽しくこの世界を生きていらっしゃるんだろう。と。私は競争社会で生きてきたので羨ましくて羨ましくて。先日なんて6時間ずっと釣りをしてらっしゃいましたしね。おにぎり食べながら。」
「6時間?リアルタイムでですか?」
「リアルタイムで、です。しかもね、1匹も釣れてないんですよ。」
そう言うと楽しそうに思い出し笑いをするブックさん。
「このゲームの釣りってそんなに難しかったんですか?」
「いえ、主を釣るから、とNPCショップの竿に1番ハイレベルのルアーを付けて釣りをされてまして、スキルもランク1をひとつ取っただけなんです。」
装備にはスキルレベルによって装備できるものとレベル1から装備できるものがある。この場合レベル1の竿に付属品として最高レベルのルアーをつけたという表現だ。
「でね、6時間とすこし経った頃、釣り上げちゃったんですよ。主。」
「え!?釣れるの!?」
「そう思いますよね。案の定すぐ竿折れちゃったんですけど。」
「だよね。絶対無理だと思います。」
レベル1のショートソードで女王蜂に挑んだって言われる方がマシだ。たしか主はユニークボス扱いのはずだし。
「でもね、ここからが面白い。湖面で跳ねて姿を見たあと、キラキラした目でこう仰ったんですよ。」
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回想シーン
「見た!?見たよね!?ヤバっ!釣れるじゃん!!」
「悔しくはないのですか?」
「え、全然!?絶対釣れないと思ってたし、でもさ!かかるんだよ!すごくない?やばっ!このゲームおもしろ!」
「でも6時間もずっと座ってただけですよ?」
「ん?釣りってそういうもんでしょ?」
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「ね?笑ってしまいません?」
「それはすごいな〜。確かにそんな余裕ある楽しみ方した事ないかも。」
私はスキルが足りないので基本的にずっとレベル上げだ。効率もさることながら戦って戦って戦って、作って作って作って。そんな楽しみ方考えたこともなかったな。
「今思うとあの時ですかね。この人について行こうと決めたのは。」
「そんな経緯があったんですね。」
ナツさんの意外さ、おカミさんの魅力、そしてブックさんがどれだけ本気であの2人に向き合っているのかを知れた、そんな一時だった。
《第2章 UNION結成 完》
第2章いかがでしたでしょうか。
UNIONというギルドを結成するまでのお話を描きました。
その中で4人の関係性や新キャラも登場しましたね。
第3章ではもう少し、いやもっと、たくさん深堀して行けたらと思っております。
ここからいくつか番外編をお届けして、第3章へ移ります。
お楽しみに!




