2-4 カミ side
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だめだ。このままじゃ『XIII Crowns』で押し切られる。前と同じで絶対ハーレム崩壊する。それだけは阻止しないと。
私はこのゲームを気に入っている。さすがに発売後ユーザー数は常に増加。適宜アプデも入るし、ランキングもトップを独創している大型タイトル。やり込み度が違う。前のゲームみたいにパッと諦めつくほどマンネリ化し始めているわけでもない。
「だから、もう少しマシな名前にしようって言ってるじゃん。」
「何がダメなんだよ。」
「みんなで、を強調するなら自分の名前省きなって!」
「そうだね。『美女天国』とかはどうだろう?」
「ゴンゴリさんは黙ってて!」
「ふむ。手厳しい君も美しいね。」
野太い声で変なことを言っているゴンゴリさんはネカマだ。前に2人で話してる時に元気がなかったから聞いたら月のものが重くてって言ってたから間違いない。
「もっと楽しそうで華やかな名前がいい!」
「お前俺の名前に華がないって言ってる?」
こんな感じで話が進まない。 そんな時にブックさんがオムさんを連れて戻ってきた。サプライズってオムさんだったのか。あー、それはいいかも全然ありむしろありがたい。
オムさんはコミュ障っぽいけどきっちりしてるし冷静だし知識も幅広い。そしてなにより私に甘い。ここ重要。
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「とりあえず、ナツの言い分はわかった。一旦名前は置いといて、ギルドで何するかの話にしよう。」
「『XIII Crowns』でいいけど。まあわかった。」
「ノルマは?絶対これはしてください。みたいな。」
「それはなし。やりたい人がやればいい。必要になれば俺がやる。」
「わかった。まあでもハウス自体は大きくしたいし私もやるね。」
この辺はナツは寛大だ。やりたいことやれなきゃゲームじゃない。
ナツのモットーは「強制されてやるゲームなんて楽しくない。自由にできるから娯楽であり楽しいんだ。」だ。思えば数年前からそこは何ひとつ変わってない。だからずっと一緒に遊んでいるんだと思う。
「ゴンゴリさんは置いといて、オムさんは何がしたいとかある?」
「え、私?いや、私はその、あの、」
「オムさんには製造部門で力を奮っていただければと思うのですが、いかがでしょう。以前お伺いしたお話だと、私たちのだれよりも生産スキルが高いのですよ。」
「え?そうなの?じゃあオムさんは工場長だな。」
「工房長ね。」
「言いにくいだろ工房長。」
「僕は?」
「あんたは平社員だコンプラ違反野郎。」
「まあ肩書き上カミも平社員だけどな。」
そう言って喫煙所に向かうナツ。なんでこのゲーム喫煙所あるんだ。ちなみにタバコは嗜好品として普通に販売されている。もはやリアルでもほぼ消え失せてる喫煙所だからこその嗜好品とゲーム会社は言っていた。ゲーム内でのみ吸っている人も多いんだとか。一種の憧れかな。まあナツはリアルでも吸ってるけど。
「ナツがいない隙に名前考えよう。」
「本当にダメなんですか?ナツさんの作る王国はすごく興味があるのですが。」
「だめだよ。絶対にだめ。」
「真面目な話おカミの心配し過ぎな気がしないでもないよ?」
「おカミやめろっつってんでしょ。」
「へいへい。」
ナツがカミとか呼ぶから私のあだ名はおカミさんとかおカミが定着しつつある。女神様だって言ってんのにこれじゃ質素質素&質素じゃないか。全く。
「厨二っぽいのは喜ぶと思うんだけどね。カッコイイ系のなんか。」
「略称にも拘ってますよね。今だと桜でしたね。」
「ヴィラン ナイツ略してヴィーナスとかどうかな。」
「ゴンゴリさんまた私メインにしてない?」
「してる。」
笑ってんじゃないよ全く。まじでどうしよ。こういうの苦手なんだよなー。
「あの、ちょっといいですか?」
「はい。どうぞオムさん。」
「かっこよくて、略せて、どなたの主体もない名前でいいんですよね?」
「うん!そう!それ!それが言いたかった!」
いいじゃんオムさん。さあ、来い!
そして沈黙。今考えてるのかな。どんな名前なんだろう。
「あ、いや、ごめんなさい。候補とかがある訳では・・・。」
いや、ないんかーい。こうしてる間に、ナツが戻ってきてまた振り出しに戻った。




