2-2 ブック side
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やっとこのお話が出ましたか。他の方からのお誘いを断り続けて約4ヶ月。やっとナツさんがユニオンを設立する決心をしてくださいました。このままなにもなければこちらからお話を持ちかけるところでしたね。肝を冷やしました。
しかしどうしても人集めは難しいですね。さらにこのお2人は意外と信頼という壁は高いですから。少し助力させて頂きましょう。
「1人当てがあるのですが、聞いてみてもよろしいでしょうか?」
こうして私はある方に連絡をすることにしました。
『ご無沙汰しております。ただいま少しお時間よろしいでしょうか?』
『あ、えっとはい。大丈夫ですが?』
『突然のご連絡で申し訳ございません。実はですね、この度ナツさんがユニオン設立の決心をなされまして、加入者を探しているのですがオムさんもどうか、と思いまして。』
以前一緒に女王蜂を狩りに行ったオムさんですね。その後もナツさん達は時間が合う際は日課の課題などをお手伝いいただいていたのですが、私は個人的にも何度か交流をもたせていただいておりました。
『え、ナツさんがですか?え、それはナツさんからのお誘いですか?』
『いえ、お2人にはまだサプライズにしております。私個人からのお誘いととっていただいてかまいませんよ。』
オムさんは以前制作をお手伝いいただいた時のお話ではどこのユニオンにも属していらっしゃらないとのことでした。
人付き合いが苦手で、引っ込み思案なところがあるので集団生活や団体行動は得意ではないとのことでしたが、ナツさんはあれでいて皆さんのプレイスタイルを尊重する方ですからその点は大丈夫でしょう。
ナツさんもオムさんに関しては以前「いじったらいじっただけおもしろい!あとめっちゃ万能スキルどうなってんのかな。」などと興味を示していらっしゃったので問題はないでしょう。
もちろんおカミさんも万人に優しい方ですので全く問題ありませんね。おカミさんに関してはおカミさんご自身に敵意を向けない限りは絶対的に優しい方なので。
『えっと、それって私でいいんですか?』
『もちろんですよ。お2人も快く受け入れてくださると思います。』
『あと、ほら、私ちょっと特殊じゃないですか、その・・・。』
『その件ですが、わざわざご自分からお伝えすることではないかと思いますので聞かれたら、で構わないのではないでしょうか。』
以前お話いただいた過去のお話の方でしょうか。それともプレイスタイルの方でしょうか。どちらだとしても今回は前者の方は触れないでおきましょう。
プレイスタイルの方ですが、この方はなんとワールドランキングでトップ10に入っている方なのですよね。そのような方を、と思う方もいらっしゃるかもしれませんがご本人はとても堅実で謙虚な方ですのでご自分のことを決して自慢したりなさらないです。
『おそらくナツさんはいろいろできるすごい方という認識しかないと思うのですよ。オムさんが上位プレイヤーですとかランカーなどとは全く気付いていらっしゃらないかと思います。』
『アビスの方覚えてるかも怪しいですもんね。』
『残念ながらそうですね。』
お互いここに関しては笑うしかない。このゲームのフレンドリストはニックネームを付けて分かりやすく表示する機能がございまして、ナツさんはあれでいてマメなので1度つけたニックネームを忘れないようにフレンドリストは都度書き換えていらっしゃいます。1度拝見させていただきましたがそれはそれはユニークなフレンドリストに変貌しておられました。
『でしたら、こうしましょう。オムさんは少なからず私達のだれよりも生産スキルが高いです。戦闘力は言わずもがなですが、そちらを誇示してしまうと戦闘力に換算されかねませんのであくまで多方面のケアができるプレイヤーとして生産職枠での加入というのはいかがでしょう。』
我ながらいい提案です。オムさんは決して他の方と接したくないというわけではないので、内向的なご性格を少しもったいないように感じておりましたので、こういう機会があれば是非にと思っておりました。
その点真逆で、ナツさんは社交力の塊のような方ですのでこれを通じていろいろな方と関わっていただきたい。というのは年寄りのエゴ、お節介なのでしょうかね。ですが短い余生、悔いを残すことなく過ごしていきたいという思いもあります。ここは頑として自分の信じた道を選ばせていただくことにいたしましょう。
『この提案で、いかがでしょうか?』
『分かりました。1度話をしにいきますね。』
『ふふ。ありがとうございます。』
あとはナツさんとおカミさんですね。まあこちらは問題ないでしょう。




