1-9 ナツ&カミ&ブック side
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「めっちゃしゃべるじゃん。」
すみれのこの一言で我に返る。一体今のは何だったんだろう。いや、わかる。これは間違いなくヲタクのそれだ。自分のフィールドで思わず早口でまくし立てて話してしまうアレだ。
「ハッハッハッハ!!!」
冷静になるとめちゃくちゃ笑けて来る。何だこの人。めちゃくちゃおもしろいじゃん。やば、もっと早く遊べばよかった。
「とりあえず途中から全然、フフ、全然何言ってっかわかんなかった!」
あーやば、笑い止まらん。だめだ、一旦落ち着こ。
「ごめんね、オムさん。ごめんけどちょっと待ってね。」
ほんとに笑い止まらん。だめだツボった!
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あ、ちょっと食い気味に言っちゃった。ごめん。てかナツ笑いすぎだし。せっかく説明してくれたのに気分悪くしちゃったかな。
「あ、ごめんねオムさん。とりあえずちょっと話が難しかったから、簡単に教えて欲しいです!」
いやナツ笑うのやめて本当に。釣られるから。いやでもこの人ちゃんとしゃべれるんだな。どもってるタイプの人かと思ったんだけどそうじゃないみたい。仲良くなれるかなー。地味だなー。とか思ってたけど、あれだけちゃんと説明してくれるなら絶対いい人なのは間違いないんだけどな。
「もう!ナツ!笑いすぎだから!いい加減やめな!」
いや、でも、あ、思い出したら笑っちゃいそう。やば。
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これは私のミスかもしれないですね。優れたプレイヤーは必ずしも優れた指導者ではないという証明をこの目で見た気がします。
こういう時に場を収めるのは勝手ながら私の仕事かと自負していたのですが、どうにも出遅れてしまったようですね。
ナツさんはスイッチ入ってしまってますし、おカミさんは気まずそうにしています。どうお声がけしたものか。
しかしまあ、ご教授をお願いしといてこう言うのもなんですが、私としても何を言っていたのか、確かに広範囲大ダメージは前方のみの攻撃ですが、あのモーションからの被弾は早すぎて避けるなどは厳しいのではないでしょうか。トッププレイヤーの方はやはり規格外ですね。これは後学のために覚えておいた方がいいのかもしれません。さて、そろそろこの場を収めなくてはなりませんね。
「とりあえず今のお話はなかなか難しそうですので、7割の大ダメージのところはなんとかオムさんに受けきって頂いて、回避は一旦諦めましょう。」
「え?ごめん、どこの話?」
「後ほどまた説明しますので、一旦はナツさんとおカミさんの方針をお伺いしてもよろしいですか?」
「あ、うん。わかった。」
「で、その方針を聞いてからすこーし手心を加えてもいいかな、というところのご指摘をオムさんにしていただきましょう。その方がナツさんたちの今後の成長にも繋がるのでは、と私は思っておりますよ。」
「あ、えっと、はい、わかりました。」
「オムさんもとてもご丁寧なご説明ありがとうございました。とても有益な情報でしたのでネットに流すのは少しもったいないのではないですかね?私の胸に秘めさせていただきますね。」
なんとかこの後の方針の話へ戻すことが叶いました。




