三人の鬱結末
エルは魔法学園に通う女生徒だ。
ある日、昼休みにお喋りしている友達に誘われて、学園の裏庭にやってきた。
「あーし、金が無くてさぁ貸してくれる?」
友達と思っていた子から軽い口調で言い寄ってきた。
それでも、エルは首を横に振る。
「貸しませんよ! この話は終わりにしましょう。でないと、私の魔法、<ダークベンラァ>が火を噴きますよ」
杖を取り出して、かつてお喋りしていた友達に突きつける。
その言葉に、黄色の髪を一つに纏めた、何かも軽い気持ちで取り組む子が青ざめた。
ちなみに、先程の発言は冗談ではない。
エルは学園の中でもトップクラスに強く、それなりに自信があった。
「ふ、ふぅん。やるんだ? なら、あーしも考えがあるんだから!」
友達に思えた子は一歩下がり、叫ぶ。
「そろそろいいよ!」
すると、一人の大男がエルの前に立ち塞がる。
「あ。ああ…」
今度はエルが青ざめながら自らの身をたきしめた。
実は大男はエルにトラウマを植え付けた存在であり、どう足掻いても勝てないのだ。
「おぅ、可愛くなったなぁ。エルぅ〜」
「は、はぃぃ…」
「金を貸しなくてもいいから、俺と付き合ってくれよ」
「はい。貸します…。ゆ。許してぇ…」
エルは震える手で金袋を取り出し、大男に渡す。
大男はやれやれと言いながら、立ち去ろうとする。
「待ってぇ!? その金であーしとデートしようよ」
ひょいと黄色の髪が揺れて、エルの友達だった子が大男を引き留める。
「あぁん? 嫌だね。オメー一人で行けよ。何ならお前もトラウマを植え付けてやろうか」
「ふふーん。できるなら、あーしにやってみなさいよ!」
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十分後。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい。あーしが悪かったです。許してええええええええ!!!!」
大男が鬱小説を耳元に囁き続けた結果、かつてエルの友達だった子は心を折れてしまった。
地面に転がり、頭を抱えながら叫ぶ。
「よーし。俺の言う事を聞いてくれるよな?」
「はいぃいいいい!! 聞きまぁす!」
友達だった子は怯えながら立ち上がって敬礼する。
「俺とエルと一緒にダブルデートしてくれよ」
「ハイ、ヨロンデー!」
その言葉を聞き届けた後、大男はエルと友達だった子を抱き締める。
そして、彼は邪悪な微笑みを浮かべた。




